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心不全患者の夜に潜むあの呼吸──Cheyne-Stokes呼吸を波形から見抜く

看護師国家試験 第115午後20 / 必修問題

国試問題にチャレンジ

115午後20

呼吸のパターンを図に示す。 Cheyne-Stokes〈チェーンストークス〉呼吸はどれか。

  1. 1.
  2. 2.
  3. 3.
  4. 4.

対話形式の解説

博士博士
今日は異常呼吸パターンの中でも国試頻出の Cheyne-Stokes〈チェーン・ストークス〉呼吸 を取り上げるぞ。波形を見て見分けられるようにするのがゴールじゃ。
サクラサクラ
名前は聞いたことがあるんですけど、波形になると他の異常呼吸とごちゃ混ぜになっちゃうんですよね…。
博士博士
安心せい。Cheyne-Stokes呼吸の最大の特徴はたった一つ、「無呼吸→だんだん深く速く→ピーク→だんだん浅く遅く→また無呼吸」を周期的に繰り返すことじゃ。波形にすると紡錘形の山と平らな無呼吸が交互に並ぶ。
サクラサクラ
あ、漸増漸減(クレッシェンド・デクレッシェンド)型ってやつですね。今回の問題でいうと③がそれにあたるんですか?
博士博士
その通り!①は規則的な呼吸、②は深さも間隔もバラバラに無呼吸が割り込む不規則型、④は大きな呼吸がずっと続く持続型。漸増漸減と周期的な無呼吸の両方を満たすのは③だけじゃ。
サクラサクラ
じゃあ②や④は何呼吸なんですか?
博士博士
②はBiot〈ビオー〉呼吸に近い形じゃな。深さもリズムも不規則で突然プツッと無呼吸が入る。延髄の障害、つまり髄膜炎・脳幹病変・頭蓋内圧亢進などでみられる。④はKussmaul〈クスマウル〉呼吸じゃ。深く大きな呼吸が規則的に続く。糖尿病性ケトアシドーシスや尿毒症などの代謝性アシドーシスで、体がCO2を吐いてpHを上げようとしている代償反応なんじゃ。
サクラサクラ
なるほど、波形だけじゃなくて背景の疾患もセットで覚えるとよさそうですね。Cheyne-Stokes呼吸はどんな患者さんで出るんですか?
博士博士
代表的なのはうっ血性心不全、脳卒中などの中枢神経障害、尿毒症、麻薬や鎮静薬による呼吸抑制、そして終末期じゃ。特に心不全患者では夜間睡眠中に出現することが多くてな、SpO2が落ちて中途覚醒の原因にもなる。
サクラサクラ
どうしてそんな周期的なパターンになるんですか?
博士博士
ポイントは「呼吸中枢のフィードバック制御に時間遅れが生じる」ことじゃ。心不全では心拍出量が落ちて肺から脳までの血液の循環時間が延びる。すると、肺で酸素化された血液のCO2情報が脳に届くまでにタイムラグが出る。脳幹の呼吸中枢はCO2に応じて換気量を調節するから、情報が遅れるとオーバーシュート(過換気)とアンダーシュート(無呼吸)が振り子のように交互に起きてしまうわけじゃ。
サクラサクラ
フィードバック制御が遅れて発振しちゃうんですね。脳卒中の場合は?
博士博士
脳卒中や尿毒症では、呼吸中枢のCO2感受性そのものが鈍くなる。すると低いPaCO2でも反応せず無呼吸になり、CO2が溜まりすぎて初めて慌てて過換気する──結果として同じく周期的な振動が生まれるのじゃ。
サクラサクラ
看護師として現場で見たら、どう対応すればいいんでしょう?
博士博士
まずバイタルとSpO2の継続モニタリング、意識レベルの確認、そして原因疾患の評価が大事じゃ。心不全に伴うものではASV(adaptive servo-ventilation)や在宅酸素療法の適応となることもある。終末期にCheyne-Stokes呼吸が出てきたら、看取りが近いサインとして家族へのケアも視野に入れる必要があるな。
サクラサクラ
同じ波形でも、心不全の夜と終末期の数時間前では意味が全然違うんですね…。
博士博士
その通り。だからこそ「波形=Cheyne-Stokes」だけで終わらず、患者の全体像と背景疾患を読む眼が看護師には求められるのじゃ。

POINT

代表的な異常呼吸パターンを呼吸曲線(グラフ)から識別できるかを問う問題。Cheyne-Stokes呼吸の「漸増漸減+無呼吸の周期性」という形状的特徴と、Biot呼吸・Kussmaul呼吸との鑑別点を押さえることがカギとなる。

解答・解説

正解は3です

問題文:呼吸のパターンを図に示す。 Cheyne-Stokes〈チェーンストークス〉呼吸はどれか。

解説:正解は 3 です。Cheyne-Stokes(チェーン・ストークス)呼吸は、無呼吸の状態から徐々に呼吸の深さと速さが増大していき、ピークに達したあと再び徐々に浅く遅くなり、最終的に数十秒程度の無呼吸に至るというサイクルを周期的に繰り返す異常呼吸である。呼吸曲線で見ると「紡錘形(紡錘状)の山」と「平坦な無呼吸」が交互に現れる漸増漸減(クレッシェンド・デクレッシェンド)型のパターンを示すため、図中の③がこれに相当する。発生機序は、延髄の呼吸中枢のCO2に対する感受性低下や、心拍出量低下に伴う肺‐脳間の循環時間延長によりフィードバック制御に時間遅れが生じ、PaCO2が過剰に振動することで起こると考えられている。臨床的にはうっ血性心不全、脳出血・脳梗塞などの中枢神経障害、尿毒症、薬物による呼吸抑制、終末期の患者などで観察される。

選択肢考察

  1. ×1.  

    深さ・速さ・周期が一定で規則的な正常呼吸(または整った呼吸)に近いパターンであり、無呼吸を伴う漸増漸減はみられない。Cheyne-Stokes呼吸ではない。

  2. ×2.  

    不規則な深さ・リズムで突然無呼吸が挿入されるパターンはBiot(ビオー)呼吸の特徴に近い。延髄レベルの障害(髄膜炎、脳腫瘍、頭蓋内圧亢進など)でみられ、漸増漸減を示すCheyne-Stokes呼吸とは異なる。

  3. 3.  

    呼吸が次第に深く速くなったのちに次第に浅く遅くなり、続いて数秒〜数十秒の無呼吸期を挟むというサイクルを周期的に繰り返す。この漸増漸減(クレッシェンド・デクレッシェンド)型こそがCheyne-Stokes呼吸の典型像である。

  4. ×4.  

    深く大きな呼吸が一定のリズムで持続するパターンで、Kussmaul(クスマウル)呼吸の特徴に合致する。糖尿病性ケトアシドーシスや尿毒症などの代謝性アシドーシス時に、CO2を排出して代償しようとして出現する。漸増漸減や無呼吸期を伴わない点でCheyne-Stokes呼吸と区別される。

代表的な異常呼吸パターンは整理して覚えておきたい。【Cheyne-Stokes呼吸】無呼吸→漸増→漸減→無呼吸を繰り返す。原因はうっ血性心不全、脳血管障害、尿毒症、麻薬・鎮静薬による呼吸抑制、終末期など。心不全では循環時間延長、中枢神経障害では呼吸中枢の感受性低下が背景。【Biot呼吸】深さも間隔も不規則で突然の無呼吸を伴う。延髄レベルの障害(髄膜炎、脳幹病変、頭蓋内圧亢進)でみられる。【Kussmaul呼吸】深く大きな規則的呼吸が持続。代謝性アシドーシス(DKA、尿毒症、乳酸アシドーシスなど)の代償として出現。【中枢神経性過呼吸】中脳〜橋障害で深く速い呼吸が持続。【失調性呼吸】延髄下部障害で深さもリズムも全くバラバラ、臨終期に近い。看護の場面では、心不全患者が夜間にCheyne-Stokes呼吸を呈してSpO2が低下することがあり、就寝中のモニタリングや在宅酸素・ASV(adaptive servo-ventilation)導入の検討にもつながる。

代表的な異常呼吸パターンを呼吸曲線(グラフ)から識別できるかを問う問題。Cheyne-Stokes呼吸の「漸増漸減+無呼吸の周期性」という形状的特徴と、Biot呼吸・Kussmaul呼吸との鑑別点を押さえることがカギとなる。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。