心不全患者の退院指導を整理しよう
看護師国家試験 第104回 午前 第93問(状況設定問題)
国試問題にチャレンジ
状況設定
Aさん(54歳、男性)は、10年前に心筋梗塞(myocardial infarction)を発症し、2年前に慢性心不全(chronic heart failure)と診断され外来受診を続けてきた。1週前からトイレ歩行時に息苦しさがあり、4日前から夜に咳と痰とがみられ眠れなくなっていた。本日、Aさんは定期受診のため来院し、心不全(heart failure)の増悪と診断され入院した。入院時、体温36.3℃、呼吸数24/分、脈拍96/分、整で、血圧124/72mmHgであった。心エコー検査で左室の駆出率28%であった。体重は1週間で4kg増加し下肢の浮腫がみられる。
入院治療によりAさんの症状は改善し、2日後に退院予定である。退院後の受診についての説明で最も適切なのはどれか。
- 1.「夜間の咳で受診する必要はありません」
- 2.「体温が38.0℃以下なら受診の必要はありません」
- 3.「今回のように体重が増加したときは受診してください」
- 4.「仕事から帰って足に浮腫がみられたら受診してください」
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
退院後の心不全自己管理において、受診を要する増悪兆候を正しく説明できるかを問う問題です。
解答・解説
正解は3です
問題文:入院治療によりAさんの症状は改善し、2日後に退院予定である。退院後の受診についての説明で最も適切なのはどれか。
解説:正解は3です。短期間での体重増加は体液貯留を反映し、心不全増悪の最も早期かつ客観的なサインです。Aさん自身が体重を指標に受診を判断できるよう指導する必要があります。
選択肢考察
- ×1. 「夜間の咳で受診する必要はありません」
夜間の咳嗽は臥位で肺うっ血が悪化することで生じ、左心不全増悪の重要な徴候です。放置するとさらなる呼吸不全に進展するため受診を促すべき症状です。
- ×2. 「体温が38.0℃以下なら受診の必要はありません」
心不全患者では感染による頻脈や代謝亢進が心臓に負担をかけ、たとえ微熱であっても増悪の引き金になり得ます。発熱を認めた場合は早期受診が推奨されます。
- ○3. 「今回のように体重が増加したときは受診してください」
1週間で2〜3kg以上、または3日で2kg以上の体重増加は心不全増悪の警告所見です。毎日同じ条件で測定し、急増があれば受診するよう指導することが標準的です。
- ×4. 「仕事から帰って足に浮腫がみられたら受診してください」
夕方や立ち仕事後の軽度浮腫は健康な人にもみられる生理的変動です。一晩寝ても改善しない持続性浮腫や体重増加を伴う場合に受診が必要となります。
心不全の自己管理ではセルフモニタリングが鍵となります。具体的には毎朝排尿後に同じ服装で体重測定、毎日の血圧と脈拍、息切れや浮腫、夜間の咳の有無を記録します。心不全手帳の活用や、3日で2kg増加・夜間呼吸困難・安静時の動悸などをアラームサインとして共有しましょう。塩分6g/日未満の制限と適切な内服継続も重要です。
退院後の心不全自己管理において、受診を要する増悪兆候を正しく説明できるかを問う問題です。
「循環器系」の関連問題
心房細動はなぜ怖い?左心耳の血栓が脳に飛ぶメカニズムを徹底解説
心房細動の病態生理(無秩序な心房興奮・P波消失・不規則RR間隔)と、それに伴う左心房内血栓形成リスクを理解しているかを問う問題。塞栓症予防としての抗凝固療法の必要性につながる基礎知識である。
115回
動かないと血が固まる?深部静脈血栓症(DVT)とウィルヒョウの三徴を完全マスター
深部静脈血栓症の危険因子を問う問題。Virchowの三徴(血流停滞・血管内皮障害・凝固能亢進)の枠組みで考え、選択肢のうち血流停滞をもたらす因子を選ぶことがポイント。
115回
肺血栓塞栓症の手がかりはDダイマー!血栓マーカーの読み方を完全マスター
肺血栓塞栓症(PTE)を疑った際に上昇し、補助診断・除外診断として最も用いられる血液検査項目はどれかを問う問題。血栓の形成と分解の過程で生じる「Dダイマー」がキーワードである。
115回
硝酸薬の使い方と退院指導のポイント
不安定狭心症患者に対する硝酸薬(舌下錠・スプレー)の退院指導における、保管方法・発現時間・服用方法・副作用予防の正しい知識を問う問題です。
115回
MRIとペースメーカーの危険な関係 ─ 検査前確認が命を守る
電磁波・磁場を利用する検査がペースメーカーに与える影響を理解しているかを問う問題。強磁場を発生させるMRIが代表的な要確認検査である。
115回
