母乳の免疫パワー 〜分泌型IgAの役割〜
看護師国家試験 第108回 午前 第7問 / 必修問題
国試問題にチャレンジ
母乳中に含まれている免疫グロブリンで最も多いのはどれか。
- 1.IgA
- 2.IgE
- 3.IgG
- 4.IgM
対話形式の解説
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サクラPOINT
母乳中に最も多く含まれる免疫グロブリンがIgA(特に分泌型IgA)であることと、新生児の粘膜免疫における役割を理解しているかを問うています。
解答・解説
正解は1です
問題文:母乳中に含まれている免疫グロブリンで最も多いのはどれか。
解説:正解は1です。免疫グロブリン(Immunoglobulin; Ig)はB細胞から分化した形質細胞が産生する抗体で、IgG・IgA・IgM・IgD・IgEの5クラスがあります。母乳、特に出産後数日間に分泌される初乳には分泌型IgA(sIgA)が豊富に含まれ、新生児の腸管粘膜を病原体から守る重要な役割を果たします。sIgAは2量体に分泌成分(secretory component)が結合した形で、消化酵素に分解されにくく腸管内で安定して抗体活性を発揮できるのが特徴です。母乳に含まれる免疫グロブリンの割合は約90%以上がIgAで、残りはごく少量のIgG・IgMなどです。なお胎盤を通過して胎児に移行できる唯一の免疫グロブリンはIgGで、生後6か月頃までの新生児を感染から守る「移行抗体」として機能します。したがって新生児の感染防御は、胎内で獲得したIgGと、出生後に母乳から得るsIgAの二段構えで成り立っています。
選択肢考察
- ○1. IgA
IgAは母乳・唾液・涙・腸管粘液など分泌液に多く含まれる抗体で、特に初乳には豊富なsIgAが含まれ、新生児の腸管免疫を担います。
- ×2. IgE
IgEは血中濃度が最も低い免疫グロブリンで、I型アレルギー反応(花粉症、アトピー、気管支喘息)と寄生虫感染に関与します。母乳中にはほとんど含まれません。
- ×3. IgG
IgGは血中で最も多い免疫グロブリンで、胎盤を通過できる唯一のIg。新生児の移行抗体として機能しますが、母乳中にはIgAほど多く含まれません。
- ×4. IgM
IgMは5量体構造で分子量が最も大きく、感染初期に最初に産生される抗体です。胎盤を通過せず、母乳中にもわずかしか含まれません。
免疫グロブリン5クラスの特徴まとめ:IgG(血中最多、胎盤通過、移行抗体、2次応答の主役)、IgA(粘膜免疫・母乳、sIgAとして分泌)、IgM(5量体、1次応答、感染初期の指標)、IgD(B細胞表面、機能未解明部分あり)、IgE(I型アレルギー、寄生虫感染、肥満細胞に結合)。覚え方として「GAMDE(ガムデ)」や「多い順はGAMDE」と暗記します。新生児の感染防御はIgG(胎盤経由)+sIgA(母乳経由)の二段構え。母乳栄養の乳児は人工栄養児より感染症・アレルギー発症が少ないというエビデンスは、この免疫学的メリットに基づきます。
母乳中に最も多く含まれる免疫グロブリンがIgA(特に分泌型IgA)であることと、新生児の粘膜免疫における役割を理解しているかを問うています。
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