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なぜ赤ちゃんはよく吐く?正期産児の生理を解剖から読み解く

看護師国家試験 第115午前60

国試問題にチャレンジ

115午前60

正期産で出生した健康な乳児で正しいのはどれか。

  1. 1.出生36時間後に初めて胎便が排泄される。
  2. 2.学童と比べて胃食道逆流現象が起きやすい。
  3. 3.母乳栄養児では生後3か月以降も生理的な黄疸が遷延する。
  4. 4.経腟分娩で出生した児の腸内細菌叢はDöderlein〈デーデルライン〉桿菌が優勢である。

対話形式の解説

博士博士
今回は正期産で生まれた健康な乳児の生理的特徴について学ぶぞ。新生児・乳児期は成人と全然違う体の仕組みを持っておるから、しっかり押さえるのじゃ。
サクラサクラ
はい、よろしくお願いします!選択肢を見ると、胎便、胃食道逆流、黄疸、腸内細菌叢と幅広いですね…どれが正しいんだろう。
博士博士
では一つずつ整理していこう。まず胎便じゃが、これは胎児期に腸内にたまる暗緑色の便で、いつごろ出ると思う?
サクラサクラ
えーと、生後すぐではなくて、しばらくしてから…2日目くらいですか?
博士博士
惜しいのう。正期産児なら通常は出生後24時間以内、多くは12時間以内に初めての胎便が出るのじゃ。48時間経っても出なければ、鎖肛やHirschsprung病、胎便性イレウスなどを疑う重要なサインになる。
サクラサクラ
え、そんなに早いんですね。じゃあ選択肢1の「36時間後に初めて胎便」は遅すぎるから不正解ですね。
博士博士
その通り。次に選択肢2の胃食道逆流じゃ。赤ちゃんって、授乳後によくミルクを吐き戻すじゃろう?あれにはちゃんと解剖学的な理由があるのじゃ。
サクラサクラ
確かに、よく聞きます。なぜ逆流しやすいんですか?
博士博士
理由は3つある。①下部食道括約筋(LES)が未熟で締まりが弱い、②胃が成人のような鉤状ではなく縦型のトックリ型で内容物が貯まりにくい、③食道と胃の接合角度(His角)が鈍角で逆流を防げない、ということじゃ。
サクラサクラ
なるほど、構造そのものが逆流しやすくできているんですね。学童になる頃には改善するんですか?
博士博士
うむ、生後4〜6か月から徐々に改善し、ほとんどは1歳までに自然軽快する。だから選択肢2「学童と比べて胃食道逆流が起きやすい」は正解じゃ。
サクラサクラ
看護では具体的にどんな対応をするんですか?
博士博士
授乳後の排気(げっぷ)、上体をやや挙上した体位、少量頻回授乳などが基本じゃ。体重増加不良や誤嚥性肺炎、無呼吸を伴うようなら病的なGERD(胃食道逆流症)として治療対象になるぞ。
サクラサクラ
次の選択肢3、生理的黄疸が3か月以降も続くというのは?
博士博士
生理的黄疸は通常生後2〜3日で出現してピーク後、1〜2週間で消えるものじゃ。3か月以降まで続くのは異常で、母乳性黄疸でも長くて1〜3か月、それ以上続けば胆道閉鎖症などを疑って精査が必要じゃ。
サクラサクラ
じゃあ「3か月以降も生理的黄疸が遷延」は不正解ですね。最後の選択肢4、デーデルライン桿菌って何ですか?
博士博士
Döderlein桿菌は成人女性の腟内に常在する乳酸桿菌で、腟内を酸性に保ち感染を防ぐ働きを持つ。経腟分娩児はこの産道菌叢の影響を受けるが、乳児の腸内ではビフィズス菌(Bifidobacterium)が優勢になることが知られておる。
サクラサクラ
じゃあ「デーデルライン桿菌が優勢」も不正解。腸ではビフィズス菌が主役なんですね。
博士博士
その通り。特に母乳栄養児はビフィズス菌が顕著に優勢で、これが免疫やアレルギー予防にも関係するとされておる。

POINT

正期産で出生した健康な乳児の生理的特徴を問う問題。乳児は消化管機能・解剖が未成熟であり、胃食道逆流が起こりやすい点を理解しているかが鍵となる。

解答・解説

正解は2です

問題文:正期産で出生した健康な乳児で正しいのはどれか。

解説:正解は 2 です。乳児は成人や学童と比べて消化管の構造・機能がまだ未成熟であり、特に下部食道括約筋(LES)の張力が弱く、噴門部の閉鎖機能も不十分です。また、胃の形状が成人のような鉤状ではなく縦型・トックリ型に近く、胃と食道の接合角度(His角)も鈍角であるため、胃の内容物が食道へ逆流しやすい解剖学的特徴があります。さらに、乳児は1回に飲む乳量が胃容量に対して比較的多く、横臥位で過ごす時間も長いため、生理的にも胃食道逆流(GER)が起こりやすい状態にあります。これらの理由から、健康な乳児であっても溢乳や吐乳がよくみられます。

選択肢考察

  1. ×1.  出生36時間後に初めて胎便が排泄される。

    正期産児では、胎便は通常出生後24時間以内に初回排泄がみられる。多くは生後12時間以内に排出され、48時間以内に排泄がなければ鎖肛・Hirschsprung病・胎便性イレウスなどの異常を疑う必要がある。

  2. 2.  学童と比べて胃食道逆流現象が起きやすい。

    乳児は下部食道括約筋が未熟で、胃の形状が縦型、His角が鈍角であるため、胃内容が食道へ逆流しやすい。学童期になると消化管機能の成熟により逆流頻度は大きく減少する。

  3. ×3.  母乳栄養児では生後3か月以降も生理的な黄疸が遷延する。

    生理的黄疸は生後2〜3日で出現し、1〜2週間以内に消失するのが一般的である。母乳性黄疸は生後1〜3か月程度まで続くことがあるが、これは「生理的黄疸」とは区別され、3か月以降も続くものは病的黄疸として精査対象となる。

  4. ×4.  経腟分娩で出生した児の腸内細菌叢はDöderlein〈デーデルライン〉桿菌が優勢である。

    Döderlein桿菌(乳酸桿菌)は成人女性の腟内常在菌で、腟内のpHを酸性に保つ。経腟分娩児は母体腟内・産道由来の細菌(Lactobacillus、Bifidobacterium、Bacteroidesなど)の影響を受けるが、新生児・乳児の腸内細菌叢ではビフィズス菌が優勢であり、デーデルライン桿菌が優勢とは言えない。

乳児の解剖生理上の特徴として「胃食道逆流が起こりやすい」点はよく問われる。対応として、授乳後の排気(げっぷ)、上体を少し挙上した体位、頻回少量授乳などの指導が基本となる。生理的なGERは生後4〜6か月で改善し、ほとんどが1歳までに消失する。一方、体重増加不良・誤嚥性肺炎・不機嫌・無呼吸などを伴う場合は胃食道逆流症(GERD)として治療対象となる。胎便の排泄時期、生理的黄疸の経過、新生児・乳児の腸内細菌叢(ビフィズス菌優勢)も同時に整理しておくとよい。

正期産で出生した健康な乳児の生理的特徴を問う問題。乳児は消化管機能・解剖が未成熟であり、胃食道逆流が起こりやすい点を理解しているかが鍵となる。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。