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母乳育児のお母さんに伝えたい食事と嗜好品のキホン

看護師国家試験 第115午前66

国試問題にチャレンジ

115午前66

母乳栄養を希望している母親への説明で適切なのはどれか。

  1. 1.「お母さんは飲酒しても大丈夫です」
  2. 2.「赤ちゃんは日焼けした方が良いです」
  3. 3.「お母さんは納豆を多く摂取しましょう」
  4. 4.「お母さんはコーヒーを1日6杯以上飲んでも大丈夫です」

対話形式の解説

博士博士
今回は母乳栄養を希望するお母さんへの保健指導じゃ。母乳は乳児にとって最良の栄養といわれるが、そのぶんお母さんが口にするものが赤ちゃんへ影響する点が大事なのじゃよ。
サクラサクラ
母乳ってお母さんの食べたものがそのまま赤ちゃんに届くんですか?
博士博士
『そのまま』ではないが、アルコールやカフェイン、一部の薬剤や栄養素は血液から母乳へ移行する。だから授乳期は『何を避けるか』と『何を積極的に摂るか』の両方を整理しておく必要があるのじゃ。
サクラサクラ
なるほど…。まず選択肢1の飲酒はどうですか?
博士博士
アルコールは分子が小さく水に溶けやすいから、母体の血中濃度とほぼ同じ濃度で母乳に出てしまう。乳児は肝臓の代謝能が未熟で、傾眠や哺乳力低下、発達への影響が報告されておる。WHOも授乳中は原則禁酒を推奨しておるのじゃ。
サクラサクラ
じゃあ選択肢2の日焼けはどうでしょう?母乳とは関係なさそうですが…。
博士博士
これは赤ちゃんの皮膚ケアの話じゃな。乳児の皮膚は角質層が薄くてメラニンも少なく、紫外線にとても弱い。日焼けは皮膚がんリスクや熱中症・脱水につながるから、日本小児科学会も生後6か月未満は直射日光を避けるよう勧めておる。
サクラサクラ
ビタミンDを作るために少しは日光浴が必要って聞いたことがありますが…?
博士博士
良いところに気付いたな。確かに必要じゃが、それは木陰や帽子をかぶった状態で短時間でよい。『日焼けするほど』浴びる必要はないのじゃ。
サクラサクラ
選択肢3の納豆はどうですか?逆に納豆って授乳中に食べてもいいのか少し心配です。
博士博士
むしろおすすめじゃ。納豆は良質なタンパク質・ビタミンK・鉄・葉酸・大豆イソフラボンを含み、授乳婦の栄養補給にとても向いておる。授乳期はエネルギーが+350kcal、タンパク質が+20g/日上乗せされるからの。
サクラサクラ
そんなにエネルギーが必要なんですね!母乳を作るのって大仕事ですね。
博士博士
そうじゃ。だから極端な食事制限ではなく、主食・主菜・副菜をそろえたバランスのよい和食が基本になる。納豆はその一例として国試でもよく出るのじゃ。
サクラサクラ
最後の選択肢4のコーヒー6杯は明らかに多そうですね。
博士博士
その通り。カフェインも母乳に移行し、乳児はCYP1A2という代謝酵素が未熟で半減期が大人の数倍長い。WHOやEFSAは授乳婦のカフェインを1日200〜300mg、コーヒーなら2〜3杯までに抑えるよう推奨しておる。6杯はその2倍以上で過剰じゃ。
サクラサクラ
整理すると、アルコールはNG、カフェインは控えめに、食事はバランスよく、赤ちゃんの紫外線対策は必要、ですね。
博士博士
完璧じゃ。さらに母乳には分泌型IgAやラクトフェリンといった感染防御因子が含まれ、母子の愛着形成(ボンディング)にも役立つ。だからこそ母親が安心して授乳を続けられるよう、看護師は具体的な生活指導をすることが大切なのじゃ。
サクラサクラ
『何を避けるか』だけでなく『何を勧めるか』もセットで伝えるのが大事なんですね。勉強になりました!

POINT

母乳栄養を希望する母親への保健指導として、栄養・嗜好品・乳児ケアのうち適切なものを選ばせる問題。授乳婦の食事は『制限』より『バランス』、嗜好品(アルコール・カフェイン)は『過量回避』が原則であることを押さえる。

解答・解説

正解は3です

問題文:母乳栄養を希望している母親への説明で適切なのはどれか。

解説:正解は 3 です。授乳期の母親には、特定の食品を避けるよう厳しく制限するよりも、主食・主菜・副菜をそろえたバランスのよい食事を勧めることが基本となります。納豆は良質な植物性タンパク質、ビタミンK、鉄、葉酸、大豆イソフラボンなどを含み、母乳産生のための栄養確保に適した発酵食品の一例です。授乳婦は妊娠前に比べてエネルギー必要量が+350kcal/日上乗せされ、タンパク質も+20g/日付加されるため、納豆のような栄養価の高い食品をふだんの食事に取り入れることは合理的な助言といえます。なお「納豆を多く」とは“極端な大量摂取”ではなく、毎日の食事の一部として取り入れる程度の意味で理解します。

選択肢考察

  1. ×1.  「お母さんは飲酒しても大丈夫です」

    アルコールは分子量が小さく水溶性が高いため、母体血中濃度とほぼ等しい濃度で母乳中に移行する。乳児は肝臓のアルコール代謝能が未熟で、傾眠・哺乳力低下・発育への影響などのリスクがあるため、WHOや日本産科婦人科学会も授乳期間中の飲酒は原則として避けるよう推奨している。

  2. ×2.  「赤ちゃんは日焼けした方が良いです」

    乳児の皮膚は角質層が薄くバリア機能が未熟で、メラニン色素も少ないため紫外線の影響を受けやすい。過度な日焼けは将来の皮膚がんリスクを高めるほか、脱水や熱中症の原因にもなる。日本小児科学会も生後6か月未満は直射日光を避け、外出時は帽子や衣服、日陰の利用を勧めている。

  3. 3.  「お母さんは納豆を多く摂取しましょう」

    納豆はタンパク質、ビタミンK、葉酸、鉄、食物繊維、大豆イソフラボンなどを豊富に含み、授乳婦の栄養補給に適している。授乳婦は付加エネルギーやタンパク質の必要量が増えるため、和食を中心としたバランスのよい食事の一例として納豆を取り入れることは適切な指導である。

  4. ×4.  「お母さんはコーヒーを1日6杯以上飲んでも大丈夫です」

    カフェインは母乳中に移行し、乳児はカフェインの代謝能力(主にCYP1A2)が未熟で半減期が長いため、興奮・不眠・哺乳量低下を起こすことがある。WHOや欧州食品安全機関(EFSA)は授乳婦のカフェイン摂取量を1日200〜300mg(コーヒー2〜3杯相当)以下に抑えることを推奨しており、6杯以上は明らかな過剰摂取である。

授乳期は妊娠前よりエネルギー+350kcal/日、タンパク質+20g/日、鉄+2.5mg/日などの付加量が設定されている(日本人の食事摂取基準2025年版)。母乳には乳児を感染から守る分泌型免疫グロブリンA(sIgA)やラクトフェリン、リゾチームが含まれ、消化吸収もよく、母子の愛着形成(ボンディング)にも寄与する。一方で母体から児へ移行しやすい物質として、アルコール、カフェイン、ニコチン、一部の薬剤、放射性ヨウ素などがあり、これらは制限・回避が必要。食事については極端な制限よりも、和食を中心に主食・主菜・副菜をそろえ、水分(1日2〜3L)と鉄・カルシウム・葉酸を意識した内容が望ましい。

母乳栄養を希望する母親への保健指導として、栄養・嗜好品・乳児ケアのうち適切なものを選ばせる問題。授乳婦の食事は『制限』より『バランス』、嗜好品(アルコール・カフェイン)は『過量回避』が原則であることを押さえる。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。