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甲状腺腫瘍の確定診断はこれで決まる!穿刺吸引細胞診(FNA)の意味

看護師国家試験 第109午後91(状況設定問題)

国試問題にチャレンジ

109午後91

状況設定

Aさん( 35 歳、女性)は、昨年結婚し、夫( 50 歳)と 2 人暮らし。最近 2 か月で 5 kgの体重減少、首の違和感と息苦しさ、心悸亢進、不眠のため内科を受診した。触診で甲状腺の腫脹、超音波検査で甲状腺内に数か所の石灰化が認められたため、甲状腺腫瘍( thyroid tumor )の疑いで大学病院に紹介された。

嗜好品:飲酒はビール 700 ml /日を週 5 日 趣味:ジョギングとヨガ Aさんの甲状腺腫瘍( thyroid tumor )の確定診断に必要な検査はどれか。

  1. 1.血中サイログロブリン値検査
  2. 2.頸部エックス線撮影
  3. 3.穿刺吸引細胞診
  4. 4.頸部CT

対話形式の解説

博士博士
今日は甲状腺腫瘍の確定診断について学ぶぞ。Aさんは35歳女性で、体重減少や動悸など甲状腺機能亢進を思わせる症状がありつつ、超音波で石灰化を伴う結節が見つかったのじゃ。
サクラサクラ
石灰化があるってことは、悪性の可能性があるんですか?
博士博士
うむ、微細な点状石灰化は乳頭癌で高頻度に見られる所見じゃ。だからこそ、良性か悪性かを細胞レベルで判断する必要が出てくる。
サクラサクラ
でも、どうやって甲状腺の中の細胞を調べるんですか?
博士博士
そこで登場するのが穿刺吸引細胞診、英語で fine needle aspiration、略してFNAじゃ。超音波で結節を見ながら細い注射針を刺し、細胞を吸い取って顕微鏡で見るのじゃ。
サクラサクラ
血液検査のサイログロブリンじゃ診断できないんですか?
博士博士
良い着眼じゃな。サイログロブリンは甲状腺濾胞細胞が作る蛋白で、橋本病でもバセドウ病でも腫瘍でも上昇する。特異性が低いから初回診断には向かんのじゃ。むしろ甲状腺全摘後の再発モニターとして力を発揮する。
サクラサクラ
じゃあ頸部CTは?大きさや転移も分かりそうですが。
博士博士
CTは腫瘍と周囲臓器の関係、リンパ節転移、遠隔転移を見るには優れておるが、細胞の顔つきまでは分からん。良性か悪性かは細胞診でしか確定できんのじゃ。
サクラサクラ
なるほど、画像と病理は役割が違うんですね。
博士博士
その通り。検査のピラミッドは、問診・触診 → 超音波 → FNA → 必要に応じてCT・MRI・シンチという順番じゃ。
サクラサクラ
甲状腺癌で一番多いのは何ですか?
博士博士
乳頭癌じゃ。甲状腺癌の約90%を占め、進行が緩やかで予後も極めて良い。一方、髄様癌ではカルシトニンとCEA、未分化癌は急速進行で予後不良と覚えておくと良い。
サクラサクラ
悪性の超音波所見にはどんなものがありますか?
博士博士
低エコー、境界不明瞭、微細石灰化、縦横比>1の4つが代表じゃ。Aさんの石灰化所見はこのうちの一つに該当するのじゃな。
サクラサクラ
手順と根拠が整理できました!

POINT

甲状腺腫瘍で「確定診断」に必要な検査は何かを問うている。画像検査や血液検査は補助であり、病理学的に細胞を確認する穿刺吸引細胞診が鍵。

解答・解説

正解は3です

問題文:嗜好品:飲酒はビール 700 ml /日を週 5 日 趣味:ジョギングとヨガ Aさんの甲状腺腫瘍( thyroid tumor )の確定診断に必要な検査はどれか。

解説:正解は 3 です。甲状腺腫瘍の良悪性を最終的に決めるためには、病変から直接細胞を採取して顕微鏡で観察する病理学的評価が不可欠である。穿刺吸引細胞診(FNA: fine needle aspiration cytology)は、超音波ガイド下で細い針を結節に刺し吸引した細胞を染色判定する検査で、甲状腺腫瘍領域における標準的な確定診断法とされている。Aさんの場合、超音波で石灰化を伴う結節が複数認められているため、悪性(特に乳頭癌)の鑑別のためFNAが必要となる。

選択肢考察

  1. ×1.  血中サイログロブリン値検査

    サイログロブリンは甲状腺濾胞細胞が産生する蛋白で、良性・悪性を問わず多くの甲状腺疾患で上昇しうる。特に甲状腺全摘術後の再発モニタリングとして有用な腫瘍マーカーであり、初回の良悪性鑑別・確定診断には適さない。

  2. ×2.  頸部エックス線撮影

    気管偏位や大きな石灰化の有無を把握する補助的検査にすぎず、腫瘍内部の性状や細胞異型を評価できないため確定診断には使えない。

  3. 3.  穿刺吸引細胞診

    超音波ガイド下に結節から直接細胞を採取し、悪性細胞の有無・組織型を判定できる。甲状腺腫瘍の確定診断のゴールドスタンダードである。

  4. ×4.  頸部CT

    腫瘍の進展範囲、リンパ節転移、周囲臓器浸潤の評価には有用だが、組織型までは判定できないため確定診断には不十分である。

甲状腺腫瘍の診断は、問診・視触診 → 超音波検査 → 穿刺吸引細胞診の流れで進む。超音波では、低エコー、境界不明瞭、微細石灰化、縦横比>1などが悪性を示唆する所見である。甲状腺癌のうち最多は乳頭癌(全体の約90%)で、予後良好だがリンパ節転移を伴いやすい。血液検査では TSH・FT3・FT4 に加え、髄様癌を疑う場合はカルシトニン・CEA が測定される。

甲状腺腫瘍で「確定診断」に必要な検査は何かを問うている。画像検査や血液検査は補助であり、病理学的に細胞を確認する穿刺吸引細胞診が鍵。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。