肝動脈塞栓術TAEが狙うもの 肝細胞癌の血行動態を味方にする治療
看護師国家試験 第109回 午前 第44問
国試問題にチャレンジ
肝動脈塞栓術〈 TAE 〉の適応となる疾患はどれか。
- 1.脂肪肝( fatty liver )
- 2.急性A型肝炎( acute hepatitis A )
- 3.肝細胞癌〈 HCC 〉( hepatocellular carcinoma )
- 4.アメーバ性肝膿瘍( amoebic abscess of the liver )
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
TAEは肝細胞癌の動脈血依存性を利用した治療であることを理解しているかが問われる。肝疾患の治療選択を整理しておく。
解答・解説
正解は3です
問題文:肝動脈塞栓術〈 TAE 〉の適応となる疾患はどれか。
解説:正解は 3 です。肝動脈塞栓術(TAE: Transcatheter Arterial Embolization)は、大腿動脈などから挿入したカテーテルを腹腔動脈・肝動脈へ進め、腫瘍を栄養する枝に塞栓物質を注入して腫瘍血流を遮断し壊死させる治療法である。正常肝実質は約70〜80%を門脈血に依存し、動脈血依存度は20〜30%にすぎないが、肝細胞癌は動脈血の供給を強く受けるという血行動態の違いを利用した選択的治療である。抗がん剤を併用する肝動脈化学塞栓療法(TACE)が一般的で、切除不能あるいは多発性の肝細胞癌、特にBCLCステージB(中間期)症例の標準治療の一つとされる。
選択肢考察
- ×1. 脂肪肝( fatty liver )
肝細胞に中性脂肪が蓄積する疾患で、食事療法・運動療法・原因疾患の治療が基本。血管内治療の適応ではない。
- ×2. 急性A型肝炎( acute hepatitis A )
HAVによる急性肝炎で、安静・補液などの対症療法で自然軽快することがほとんど。塞栓術の対象ではない。
- ○3. 肝細胞癌〈 HCC 〉( hepatocellular carcinoma )
肝細胞癌は肝動脈からの血流に富み、TAE/TACEにより選択的に腫瘍血流を遮断して壊死させることができる。切除不能例や多発例で標準的に用いられる。
- ×4. アメーバ性肝膿瘍( amoebic abscess of the liver )
赤痢アメーバ感染による膿瘍で、メトロニダゾールなどの抗原虫薬が第一選択。必要時に膿瘍ドレナージを行うが、動脈塞栓術は行わない。
肝細胞癌の治療はBarcelona Clinic Liver Cancer(BCLC)分類に基づき、早期(単発・小型)は肝切除・ラジオ波焼灼術(RFA)・肝移植、中間期(多発)はTACE、進行期は分子標的薬(ソラフェニブ、レンバチニブなど)や免疫チェックポイント阻害薬が選択される。TAE/TACEの合併症には発熱・肝機能悪化・腹痛・悪心からなる塞栓後症候群、胆嚢炎、非標的塞栓による十二指腸潰瘍などがあり、術後は安静・補液と肝機能・疼痛・発熱の観察が重要である。
TAEは肝細胞癌の動脈血依存性を利用した治療であることを理解しているかが問われる。肝疾患の治療選択を整理しておく。
「肝・胆・膵」の関連問題
肝性脳症のカギは「アンモニア」!尿素サイクルが止まると脳がやられる理由
肝臓の解毒機能が低下したときに体内に蓄積し中枢神経症状を起こす代表的物質を問う問題。アンモニアと尿素サイクル、羽ばたき振戦などの臨床像をセットで覚えることが鍵。
115回
肝細胞癌に対するTAEを理解しよう
肝細胞癌が肝動脈優位の血流支配を受ける hypervascular な腫瘍であり、その栄養動脈を遮断するTAEが代表的な局所治療となることを理解しているかが問われています。
115回
下肢静脈瘤の危険因子を見抜く!『静脈弁不全』から読み解く2つの正解
下肢静脈瘤の発症機序(静脈弁不全と静脈圧上昇)から危険因子を導けるかを問う問題で、DVTの危険因子と混同しないことがポイントです。
115回
急性膵炎を1問でマスター!症状・検査・治療を整理しよう
急性膵炎の典型的な初発症状(上腹部痛)と、重症度判定における造影CTの位置づけを正しく理解しているかが問われています。
115回
胆汁は酵素じゃない 脂肪を乳化する縁の下の力持ち
胆汁の機能を正確に理解する問題。胆汁は消化酵素を含まないが、脂肪を乳化することで脂肪消化を補助するという点が核心。
114回
