がん悪液質は『食べられない・痩せる』 栄養サポートでは止まらない代謝異常
看護師国家試験 第109回 午前 第89問
国試問題にチャレンジ
終末期がん患者にみられる悪液質の徴候はどれか。2 つ選べ。
- 1.末梢神経障害
- 2.リンパ浮腫
- 3.がん疼痛
- 4.食欲不振
- 5.体重減少
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラPOINT
がん悪液質の中核症状(体重減少・食欲不振・骨格筋減少)を、他のがん関連症状(疼痛・浮腫・神経障害)と区別する問題。多因子性の代謝異常であることの理解が鍵。
解答・解説
正解は4です
問題文:終末期がん患者にみられる悪液質の徴候はどれか。2 つ選べ。
解説:正解は 4 と 5 です。がん悪液質(cancer cachexia)は『通常の栄養サポートでは完全に回復できない、進行性の機能障害に至る骨格筋量の持続的減少(脂肪量減少の有無を問わない)を特徴とする多因子性の症候群』と定義される(EPCRC 2011)。中核症状は進行性の体重減少と食欲不振、骨格筋減少(サルコペニア)であり、がん患者の約80%が経験し、予後不良因子となる。
選択肢考察
- ×1. 末梢神経障害
がん化学療法(特にタキサン系、白金製剤、ビンカアルカロイド)による副作用や、腫瘍の神経浸潤で生じる症状であり、悪液質の定義には含まれない。
- ×2. リンパ浮腫
腋窩・鼠径リンパ節郭清や放射線治療後、あるいは腫瘍のリンパ管閉塞で発生する。悪液質の徴候ではなく、四肢の浮腫を特徴とする別の病態。
- ×3. がん疼痛
がんによる体性痛・内臓痛・神経障害性疼痛であり、WHO方式の3段階除痛で管理する。悪液質とは独立した症状概念。
- ○4. 食欲不振
悪液質の中核症状の一つ。炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1、IL-6)や腫瘍由来因子による視床下部食欲中枢の抑制で生じ、経口摂取量が減少する。
- ○5. 体重減少
悪液質診断基準の中核。6か月で5%超の体重減少、またはBMI<20で2%超の体重減少、またはサルコペニアを伴う2%超の体重減少が基準。骨格筋・脂肪の両方が減少する。
がん悪液質はEPCRC基準で『前悪液質(食欲不振+5%以下の体重減少)』『悪液質(上記診断基準を満たす)』『不応性悪液質(抗がん治療抵抗性、予後3か月未満)』の3段階に分類される。病態は腫瘍由来因子(PIFなど)と全身炎症(CRP上昇、サイトカイン)による筋蛋白分解亢進・脂肪分解亢進・食欲中枢抑制の複合。治療は多職種で栄養・運動・薬物を組み合わせる集学的アプローチ。薬物では副腎皮質ステロイド(短期)、グレリン受容体作動薬アナモレリン(本邦で非小細胞肺癌・胃癌・膵癌・大腸癌悪液質に適応)がある。看護では食事環境調整、症状管理、家族への食支援指導、予後を踏まえたACPが重要。
がん悪液質の中核症状(体重減少・食欲不振・骨格筋減少)を、他のがん関連症状(疼痛・浮腫・神経障害)と区別する問題。多因子性の代謝異常であることの理解が鍵。
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