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肝硬変の検査値〜下がるものと上がるものを整理する

看護師国家試験 第112午前50

国試問題にチャレンジ

112午前50

重度の肝硬変(cirrhosis)で基準値よりも低い値を示す血液検査項目はどれか。

  1. 1.血清アルブミン<Alb>
  2. 2.血清ビリルビン<Bil>
  3. 3.血中アンモニア<NH 3 >
  4. 4.プロトロンビン時間<PT>

対話形式の解説

博士博士
今日は肝硬変の血液検査について学ぶぞ。国試でも臨床でも超頻出じゃ。
サクラサクラ
肝硬変って、肝臓が硬くなる病気ですよね。検査値はどうなるんですか?
博士博士
検査値を覚えるコツは、肝臓の機能から考えること。肝臓には大きく4つの機能がある。
サクラサクラ
4つもあるんですか。
博士博士
一つ目が『蛋白合成』、二つ目が『代謝』、三つ目が『解毒』、四つ目が『胆汁生成』じゃ。肝硬変ではこれらが全部障害される。
サクラサクラ
なるほど。検査値にはどう反映するんですか?
博士博士
合成能が低下すると、肝臓で作られていたものが減る。つまり低下する。
サクラサクラ
何が減りますか?
博士博士
アルブミン、凝固因子(プロトロンビンなど)、コリンエステラーゼ、コレステロールじゃ。
サクラサクラ
では上がるものは?
博士博士
代謝・解毒能が落ちると、本来処理されるべきものが血中に蓄積する。ビリルビン、アンモニアが代表じゃ。
サクラサクラ
なるほど、きれいに整理できますね。
博士博士
今回の問題で『低い値を示す』のはアルブミンじゃ。アルブミンは肝臓で作られる主要な血清蛋白で、正常は4.0〜5.0g/dLじゃが、肝硬変では3.5未満、重症では2.0台まで下がる。
サクラサクラ
アルブミンが下がると何が起こるんですか?
博士博士
アルブミンは血管内の水分を保つ『膠質浸透圧』を担っておる。これが下がると水分が血管外に漏れ出て、腹水や浮腫が起こる。
サクラサクラ
肝硬変の患者さんのお腹が膨らむのはそのせいなんですね。
博士博士
その通り。他には門脈圧亢進も関与するが、低アルブミン血症は大きな原因じゃ。
サクラサクラ
プロトロンビン時間(PT)は?
博士博士
凝固因子も肝臓で合成されるから、合成能低下で凝固しにくくなる。PTは凝固にかかる時間じゃから『延長』する。つまり時間としては長くなる、数値としては上昇するのじゃ。
サクラサクラ
あっ、『低い値』ではないんですね。引っかけですね。
博士博士
そう、PTは『低下』と表現されないから注意じゃ。ビリルビンとアンモニアは先ほど言った通り上昇する。
サクラサクラ
肝硬変の重症度はどう評価するんですか?
博士博士
Child-Pugh分類じゃ。アルブミン・ビリルビン・PT・腹水・肝性脳症の5項目でA・B・Cにランク付けする。
サクラサクラ
合併症は何がありますか?
博士博士
四大合併症は『食道静脈瘤・腹水・肝性脳症・肝細胞癌』じゃ。特に食道静脈瘤破裂は致死的で、看護師は吐血への対応を熟知しておく必要がある。
サクラサクラ
肝硬変の看護は全身管理が必要なんですね。

POINT

肝臓の4大機能(蛋白合成・代謝・解毒・胆汁生成)を理解し、肝硬変で『低下する検査値』と『上昇する検査値』を区別できるかを問う問題。

解答・解説

正解は1です

問題文:重度の肝硬変(cirrhosis)で基準値よりも低い値を示す血液検査項目はどれか。

解説:正解は1の『血清アルブミン<Alb>』です。肝臓は血清アルブミン・血液凝固因子・コリンエステラーゼなどの蛋白質を合成する中心臓器であり、重度の肝硬変では合成能が低下するため血清アルブミン値が低下します。アルブミンは膠質浸透圧を保つ役割があるため、低アルブミン血症は腹水や浮腫の原因となります。基準値は約4.0〜5.0g/dLで、3.5g/dL未満で低値と判定されます。

選択肢考察

  1. 1.  血清アルブミン<Alb>

    アルブミンは肝臓で合成される主要な血清蛋白。肝硬変で合成能が低下すると血清Albが低下し、膠質浸透圧が下がることで腹水・浮腫の原因となる。

  2. ×2.  血清ビリルビン<Bil>

    ビリルビンは肝臓で抱合され胆汁へ排泄されるが、肝機能低下で代謝・排泄が滞ると血中に蓄積し高値となる。黄疸として視覚的にも現れる。

  3. ×3.  血中アンモニア<NH 3 >

    腸内細菌が作ったアンモニアは肝臓で尿素に解毒されるが、肝硬変では解毒能低下により血中NH3が上昇し、肝性脳症の原因となる。

  4. ×4.  プロトロンビン時間<PT>

    プロトロンビンなど凝固因子は肝臓で合成される。肝硬変では合成低下でPTが延長(時間が長くなる)する。値としては上昇するので『低い値』ではない。

肝硬変の検査所見を『合成能低下で低下するもの』と『代謝・解毒能低下で上昇するもの』に分けて整理するのがコツ。低下:アルブミン、コリンエステラーゼ、血小板、コレステロール。上昇または延長:総ビリルビン、アンモニア、AST/ALT、PT延長、INR、ヒアルロン酸、γ-グロブリン。肝硬変の重症度はChild-Pugh分類(アルブミン・ビリルビン・PT・腹水・肝性脳症の5項目で評価)で判定する。肝硬変の合併症は食道静脈瘤、腹水、肝性脳症、肝細胞癌が四大合併症として知られる。

肝臓の4大機能(蛋白合成・代謝・解毒・胆汁生成)を理解し、肝硬変で『低下する検査値』と『上昇する検査値』を区別できるかを問う問題。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。