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肝臓のがんは沈黙の殺し屋?肝細胞癌の正体に迫る

看護師国家試験 第114午前85

国試問題にチャレンジ

114午前85

肝細胞癌(hepatocellular carcinoma)で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.早期から黄疸が出現する。
  2. 2.原発性肝癌(primary liver cancer)の中で最も頻度が高い。
  3. 3.診断に腹部超音波検査が用いられる。
  4. 4.特異性の高い腫瘍マーカーはCEAである。
  5. 5.肝内胆管の細胞が腫瘍化して発生する癌である。

対話形式の解説

博士博士
今日は肝細胞癌の問題じゃ。日本で多い癌の一つで、看護師国家試験でも頻出じゃぞ。まず原発性肝癌って何種類あるか分かるかの?
サクラサクラ
えっと、肝細胞癌と…胆管細胞癌?
博士博士
お見事!その通り、原発性肝癌は肝細胞由来の「肝細胞癌」と、肝内胆管の上皮細胞由来の「肝内胆管癌(胆管細胞癌)」に大別される。日本ではどちらが多いと思う?
サクラサクラ
肝細胞癌のほうですよね、よく聞きます。
博士博士
その通り。日本では肝細胞癌が原発性肝癌の約90%を占める。だから選択肢2は正解じゃな。
サクラサクラ
残りの10%が胆管細胞癌ということですね。じゃあ選択肢5は胆管細胞癌の説明だから誤り、と。
博士博士
鋭い!肝細胞癌は肝実質を作る肝細胞そのものから生える。胆管細胞癌は肝内胆管の上皮から生える。発生母地が違うのじゃ。
サクラサクラ
肝細胞癌の発症原因は何ですか?
博士博士
最大のリスクはB型・C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎・肝硬変じゃ。近年はウイルス治療の進歩でウイルス性肝炎は減ってきたが、代わりに脂肪肝(NAFLD/NASH)由来の肝細胞癌が増えておる。アルコール性肝障害も重要なリスクじゃな。
サクラサクラ
早期発見の方法は?
博士博士
これが選択肢3の腹部超音波検査じゃ。慢性肝炎・肝硬変患者には3〜6か月ごとに腹部エコーとAFP測定をするサーベイランスが推奨されておる。エコーは簡便で非侵襲、繰り返し使えるのが強みじゃ。
サクラサクラ
CTやMRIは使わないんですか?
博士博士
もちろん使うぞ。エコーで疑わしい結節が見つかったら、ダイナミックCTやEOB-MRIで精査する。肝細胞癌は早期に造影され、後期にwashoutされるという典型パターンを示す。
サクラサクラ
選択肢4のCEAは?
博士博士
これは引っかけじゃな。CEAは大腸癌などの消化管癌で使う腫瘍マーカーで、肝細胞癌の特異性は高くない。肝細胞癌ではAFPとPIVKA-II、AFP-L3分画じゃ。
サクラサクラ
選択肢1の黄疸は早期に出ないんですか?
博士博士
肝細胞癌は「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓に発生するから、早期は無症状のことが多い。黄疸が出るのは腫瘍が進行して胆道を圧迫したり、肝機能が著しく低下した段階じゃ。だからこそサーベイランスが命を救うのじゃ。
サクラサクラ
治療法はどんなものがありますか?
博士博士
病期と肝予備能(Child-Pugh分類)で治療を選ぶ。早期なら肝切除やRFA(ラジオ波焼灼)、進行例ならTACE(肝動脈化学塞栓療法)、さらに進めばソラフェニブやレンバチニブなどの分子標的薬、近年は免疫チェックポイント阻害薬も使われる。条件が揃えば肝移植もある。
サクラサクラ
看護師としては何を意識すればいいですか?
博士博士
ハイリスク群への定期受診の動機付け、生活習慣指導(禁酒・体重管理・ウイルス治療継続)、治療中の合併症観察、そして繰り返し治療になることが多いから心理的支援も欠かせん。
サクラサクラ
肝臓は無症状で進行するからこそ、予防と早期発見の看護が重要なんですね。

POINT

肝細胞癌は原発性肝癌の最多であり、エコーで発見されることを押さえる。腫瘍マーカーAFP・PIVKA-IIと、CEA(消化管癌)の使い分け、胆管細胞癌との区別が頻出ポイント。

解答・解説

正解は2です

問題文:肝細胞癌(hepatocellular carcinoma)で正しいのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は 2 の原発性肝癌の中で最も頻度が高いと、 3 の診断に腹部超音波検査が用いられるです。肝細胞癌は肝臓を構成する肝細胞そのものから発生する悪性腫瘍で、日本における原発性肝癌の約90%を占めます。多くはB型・C型肝炎ウイルス感染や脂肪肝などを背景とする慢性肝炎・肝硬変から発症するため、ハイリスク群への定期スクリーニングとして腹部超音波検査が広く用いられます。確定診断にはダイナミックCTやEOB-MRIなどが追加され、典型的な造影パターン(早期濃染と後期washout)を確認します。

選択肢考察

  1. ×1.  早期から黄疸が出現する。

    肝細胞癌の早期は無症状で経過することが多く、黄疸は腫瘍進行に伴う胆道閉塞や肝不全進行段階で出現する後期症状。早期発見にはサーベイランスが必要となる。

  2. 2.  原発性肝癌(primary liver cancer)の中で最も頻度が高い。

    原発性肝癌には肝細胞癌と肝内胆管癌(胆管細胞癌)があるが、日本では肝細胞癌が約90%を占め、圧倒的に頻度が高い。

  3. 3.  診断に腹部超音波検査が用いられる。

    B/C型肝炎や肝硬変患者へのサーベイランスとして腹部超音波検査が広く用いられる。簡便・非侵襲で繰り返し実施でき、結節性病変の検出に優れる。

  4. ×4.  特異性の高い腫瘍マーカーはCEAである。

    肝細胞癌の特異的腫瘍マーカーはAFP(α-フェトプロテイン)、PIVKA-II(異常プロトロンビン)、AFP-L3分画。CEAは大腸癌など消化管癌で広く用いられるマーカーで、肝細胞癌の特異性は高くない。

  5. ×5.  肝内胆管の細胞が腫瘍化して発生する癌である。

    肝内胆管細胞由来の癌は肝内胆管癌(胆管細胞癌)であり、肝細胞癌とは別の疾患。肝細胞癌は肝実質を構成する肝細胞そのものから発生する。

肝細胞癌の主な治療には、肝切除術、ラジオ波焼灼療法(RFA)、肝動脈化学塞栓療法(TACE)、分子標的薬(ソラフェニブ、レンバチニブなど)、免疫チェックポイント阻害薬、肝移植がある。背景肝障害の重症度(Child-Pugh分類)と腫瘍進展度(病期)を組み合わせて治療方針を決定する。慢性肝炎・肝硬変患者では3〜6ヶ月ごとの腹部エコーとAFP測定が推奨されており、看護では生活習慣指導とサーベイランス継続のための患者教育が重要となる。

肝細胞癌は原発性肝癌の最多であり、エコーで発見されることを押さえる。腫瘍マーカーAFP・PIVKA-IIと、CEA(消化管癌)の使い分け、胆管細胞癌との区別が頻出ポイント。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。