つわり期の食事指導―『食べられるものを食べられるときに』が正解な理由
看護師国家試験 第115回 午前 第112問(状況設定問題)
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状況設定
Aさん(24歳、初妊婦、事務職)は妊娠8週であり、両親と3人で暮らしている。パートナー(24歳、大学院2年生)は就職が決まっており、Aさんと結婚する予定である。 Aさんは「特に朝の気持ち悪さがつらくて、あまり食べられません。ご飯が炊き上がるにおいだけで吐き気がします」と話す。妊娠経過は順調である。
Aさんへの食事指導で適切なのはどれか。
- 1.「食事は温めましょう」
- 2.「空腹の状態にしましょう」
- 3.「食べたいときに食べましょう」
- 4.「赤ちゃんのために栄養を考えて食べましょう」
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
妊娠初期のつわりに対する食事指導の原則を問う問題。『少量頻回・においの回避・食べられるものを優先』が基本で、栄養バランスや規則正しい食事よりも、まず摂取可能性を高める支援を選ぶ。
解答・解説
正解は3です
問題文:Aさんへの食事指導で適切なのはどれか。
解説:正解は 3 です。妊娠初期のつわりは、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の急上昇やエストロゲンの変化、自律神経の不安定さなどが背景にあり、悪心・嘔吐・嗜好変化・においへの過敏が特徴である。Aさんは妊娠8週で「朝の気持ち悪さ」と「炊飯のにおいでの吐き気」を訴えており、典型的なつわり症状である。妊娠経過は順調で、児の発育や母体の栄養状態にすぐに影響が及ぶ段階ではないため、この時期は『栄養バランスを完璧に整える』ことよりも、『食べられるものを食べられるときに、無理せず少量ずつ摂取する』ことが優先される。空腹は悪心を増悪させるため、こまめに口にできる工夫を支援するのが妥当である。
選択肢考察
- ×1. 「食事は温めましょう」
温かい食事は湯気とともににおいが立ちのぼり、嗅覚過敏の妊婦には悪心を強める要因となる。つわりの時期は『冷たいもの・においの少ないもの(冷ご飯、おにぎり、果物、ゼリー、麺類を冷やしたものなど)』が摂取しやすいことが多く、温めることを一律に勧めるのは不適切である。
- ×2. 「空腹の状態にしましょう」
空腹時は血糖が低下し、胃酸も貯留しやすいため、かえって悪心・嘔吐が強まる(特に朝の悪心は空腹が誘因となる)。少量頻回摂取が基本で、枕元にクラッカーや飴を置き、起床前に少量口にしてから動き出す工夫なども有効である。
- ○3. 「食べたいときに食べましょう」
つわり期は1日3食の規則的摂取にこだわらず、食べられるタイミングで食べられるものを少量ずつ摂取するのが現実的かつ有効。脱水予防のための水分摂取を優先し、栄養バランスはつわりが落ち着いてから整えればよいという考え方が一般的である。
- ×4. 「赤ちゃんのために栄養を考えて食べましょう」
栄養バランスは大切だが、つわりで食事自体がつらい時期にこの言葉をかけると『食べられない自分はダメな母親だ』という罪悪感を生み、心理的負担を増やす。妊娠初期は母体の蓄えで胎児発育は維持できるため、まずは『食べられるものを食べる』支援が優先される。
つわりは妊娠5〜6週頃から始まり、妊娠12〜16週頃には自然に軽快することが多い。指導のポイントは『少量頻回』『においの回避(換気、調理を家族に依頼、冷ます)』『脱水予防(水分・経口補水液・果物)』『無理をしない』こと。一方、頻回嘔吐で食事・水分が摂れない、体重が妊娠前より5%以上減少、ケトン尿陽性、脱水所見がある場合は妊娠悪阻として受診・点滴加療が必要となる。看護師は症状の正常範囲を見極めつつ、罪悪感を抱かせない共感的な関わりを心がける。
妊娠初期のつわりに対する食事指導の原則を問う問題。『少量頻回・においの回避・食べられるものを優先』が基本で、栄養バランスや規則正しい食事よりも、まず摂取可能性を高める支援を選ぶ。
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