筆談ができるのは誰?失語症と構音障害の決定的な違い
看護師国家試験 第115回 午後 第35問
国試問題にチャレンジ
コミュニケーションの方法として筆談が適しているのはどれか。
- 1.全失語
- 2.構音障害
- 3.運動性失語
- 4.感覚性失語
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラPOINT
言語機能(理解・表出・読み書き)が保たれているか否かで筆談の適否が決まる。構音障害は「話せないが書ける」状態の代表であり、筆談が最も適する。
解答・解説
正解は2です
問題文:コミュニケーションの方法として筆談が適しているのはどれか。
解説:正解は 2 です。構音障害は、発声・発語に関わる口唇・舌・声帯・呼吸筋などの運動機能の障害により、話す動作(構音)がうまく行えない状態である。脳神経や小脳・錐体路の障害、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉などで生じる。重要なのは、言語そのものを司る大脳の言語野(ブローカ野・ウェルニッケ野)は障害されていないため、言葉の理解、語の選択、文字を読む・書くといった言語処理能力は保たれている点である。したがって、口で話すことは不明瞭でも、文字を書いて意思を伝える筆談は十分に成立する。一方、失語症は大脳の言語野そのものの障害であり、聞く・話す・読む・書くという言語機能全般が侵されるため、筆談は適応となりにくい。
選択肢考察
- ×1. 全失語
全失語は、ブローカ野・ウェルニッケ野を含む広範な言語野の損傷で生じ、言語の表出(話す・書く)も理解(聞く・読む)もほぼ全面的に障害される。文字を読むことも書くこともできないため筆談は成立しにくく、絵カード、ジェスチャー、表情、視線などの非言語的コミュニケーションが中心となる。
- ○2. 構音障害
構音障害は発音に関わる運動機能の障害であり、言語理解や読み書きの能力は保たれている。発話が不明瞭で聞き取れない場合でも、文字を書くことで意思を伝えられるため、筆談が最も有効に機能する対象である。あわせて五十音表の指差しやコミュニケーションボードも活用しやすい。
- ×3. 運動性失語
運動性失語(ブローカ失語)は、左前頭葉のブローカ野損傷により言葉の表出が障害される。理解は比較的保たれるものの、書字も同様に障害されやすく、思った言葉を文字にすることが難しい。したがって筆談だけでは意思疎通が十分に成立しにくく、はい/いいえで答えられる閉じた質問、絵やイラストなどの併用が必要となる。
- ×4. 感覚性失語
感覚性失語(ウェルニッケ失語)は、左側頭葉のウェルニッケ野損傷により言語の理解が障害される。話すことは流暢でも内容に錯語が多く、また読んで意味を捉えること自体が難しいため、書いて見せても理解されにくく、筆談は適さない。視覚的な実物提示や身振りなど、状況依存的な手がかりを用いる方が伝わりやすい。
失語症と構音障害の鑑別は国試頻出。失語症は「ことばを処理する大脳のソフトウェアの障害」、構音障害は「ことばを音にするハードウェア(口・舌・喉)の障害」とイメージすると整理しやすい。失語症はさらに、表出が苦手な運動性(非流暢)、理解が苦手な感覚性(流暢だが意味不明)、両方重度の全失語、復唱が苦手な伝導失語などに分類される。コミュニケーション手段の選択は、①障害の種類と程度、②保たれている機能(視覚・聴覚・運動機能)、③本人の慣れ親しんだ手段を踏まえて決定し、五十音表、コミュニケーションボード、文字盤、絵カード、ICT機器(VOCA・タブレット)など多様な選択肢を組み合わせることが望ましい。
言語機能(理解・表出・読み書き)が保たれているか否かで筆談の適否が決まる。構音障害は「話せないが書ける」状態の代表であり、筆談が最も適する。
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