StudyNurse

コミュニケーション技法

基礎看護学 / コミュニケーション・対人関係

解説

コミュニケーション技法とは、看護師が患者や家族との間に信頼関係を築き、必要な情報を引き出して支援につなげるための対人援助の技術です。今回は看護師国家試験で問われるコミュニケーション技法について、基本概念から疾患・障害別の対応まで解説します。

言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーション

コミュニケーションには、言葉そのものでやり取りする言語的コミュニケーションと、表情・視線・姿勢・身振り・声のトーン・タッチング・沈黙などで伝わる非言語的コミュニケーションがあります。メラビアンの法則では、感情や態度の伝達は言語7%、聴覚(声の調子)38%、視覚(表情・態度)55%とされ、非言語的要素が大きな影響を与えるとされています。看護師は言葉だけでなく、患者の表情や沈黙の意味を読み取り、自身の非言語的表現にも配慮する必要があります。

信頼関係(ラポール)構築の基本姿勢

患者と信頼関係(ラポール)を築くためには、相手と視線の高さを合わせることが基本です。立ったまま見下ろす姿勢は威圧感を与えるため、椅子に座って同じ目線で話します。座る位置は真正面より、緊張を和らげる直角(90度法)が望ましいとされます。

信頼関係構築の技法としてSOLERが知られています。S(Squarely:相手にまっすぐ向く)、O(Open posture:開いた姿勢)、L(Lean:やや前傾)、E(Eye contact:適度な視線)、R(Relaxed:リラックス)です。これらに加え、傾聴・受容・共感・非審判的態度を基本姿勢とします。

開かれた質問と閉じた質問

面接技法には**開かれた質問(open-ended question)閉じた質問(closed question)**があります。開かれた質問は「はい/いいえ」では答えられず、相手が自由に語る質問で、「どのように過ごしたいですか」「どんな思いがありますか」など5W1Hを用います。患者の感情・価値観・ニーズを幅広く引き出すのに有効です。

閉じた質問は「はい/いいえ」や一語で答えられる質問で、事実確認や緊急時の素早い情報収集に向きますが、会話が広がりにくい欠点があります。通常は開かれた質問で話を広げ、必要に応じて閉じた質問で焦点化します。

カウンセリングの基本的態度(ロジャーズの3条件)

カール・ロジャーズは来談者中心療法において、援助者に必要な3条件として自己一致(純粋性)無条件の肯定的関心(受容)共感的理解を提唱しました。受容とは相手を評価・判断せずありのままに受け入れる態度であり、傾聴を通じて信頼関係を築く土台となります。看護面接でも傾聴・受容・共感が基本となります。

疾患・障害に応じたコミュニケーション

ブローカ失語(運動性失語)は左前頭葉のブローカ野の障害で、言語理解は比較的保たれていますが、発話が非流暢で喚語困難を伴います。発語の負担を軽減するため閉じた質問を活用し、絵カードやジェスチャー、イエス/ノー応答を組み合わせます。一方、**ウェルニッケ失語(感覚性失語)**は発話は流暢ですが意味が通じず、理解も著しく低下します。

構音障害は口唇・舌・声帯などの運動障害により発音が不明瞭になる状態で、言語理解・読み書き・聴力は保たれます。脳血管障害、パーキンソン病、ALSなどで生じ、筆談や文字盤、50音表、音声合成アプリが有効です。失語症との違いを区別することが重要です。

認知症患者には、患者のペースに合わせて短い文でゆっくり穏やかに話しかけます。急かすと混乱しBPSDを誘発します。聴覚障害では補聴器やジェスチャー併用、明るい場所での対応が有効です。

治療的コミュニケーションと家族支援

治療的コミュニケーションの技法には傾聴・反映・要約・沈黙の活用・明確化があります。禁忌は説教・評価・安易な保証・話題そらしです。終末期患者の家族が示す予期悲嘆(キューブラー・ロスの否認・怒り・取引・抑うつ・受容の段階)に対しては、事実を突きつけず、つらい気持ちに寄り添い感情を承認する受容的傾聴が基本です。介護を初めて担う家族にも、励ましより開かれた質問で思いを引き出し、受容・共感する姿勢が求められます。

まとめ

コミュニケーション技法では、非言語的要素の重要性、視線の高さや位置取りといった信頼関係構築の基本、開かれた質問と閉じた質問の使い分け、ロジャーズの3条件(自己一致・受容・共感的理解)、失語症・構音障害・認知症など障害別の対応、予期悲嘆への受容的関わりが要点です。傾聴・受容・共感という基本姿勢を軸に、相手の状態に応じた技法を選択できるようにしておきましょう。

確認問題(穴埋め)

空欄をタップすると答えが表示されます。

  1. 1.

    感情・態度の伝達における非言語的要素の影響を示したものをといい、視覚情報が55%、聴覚情報が38%、言語情報が7%を占めるとされる。

  2. 2.

    面接で「はい/いいえ」では答えられず、相手が自由に語ることができる質問形式を(open-ended question)という。

  3. 3.

    カール・ロジャーズが来談者中心療法で提唱したカウンセラーの3条件は、自己一致(純粋性)、無条件の肯定的関心()、共感的理解である。

  4. 4.

    左前頭葉のブローカ野の障害により、言語理解は保たれるが発話が非流暢となる失語症を(運動性失語)といい、患者の負担軽減のため閉じた質問を活用する。

  5. 5.

    口唇・舌・声帯などの運動障害により発音が不明瞭になるが、言語理解や読み書きは保たれる状態をといい、筆談や文字盤が有効である。

  6. 6.

    患者との面談で信頼関係を築くため、看護師は患者とを合わせ、威圧感を与えない姿勢で接することが基本である。

  7. 7.

    終末期患者の家族が死期が近いことを受け入れがたい時期に示す悲嘆反応をといい、感情を承認する受容的傾聴が基本対応となる。

  8. 8.

    信頼関係構築の非言語的技法としてSOLERがあり、Sはまっすぐ向くこと、Oは開いた姿勢、Lはやや前傾、Eは適度な視線、Rはを意味する。

コミュニケーション技法」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。