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漸進的筋弛緩法とは?筋肉を「ぎゅっ→ふわっ」で心まで緩める看護技術

看護師国家試験 第115午後37

国試問題にチャレンジ

115午後37

漸進的筋弛緩法の目的はどれか。

  1. 1.緊張の緩和
  2. 2.褥瘡の予防
  3. 3.片麻痺の改善
  4. 4.全身麻酔の導入

対話形式の解説

博士博士
今日は漸進的筋弛緩法、英語でProgressive Muscle Relaxation、略してPMRについて学ぶぞ。看護のリラクセーション技法の代表選手じゃ。
サクラサクラ
名前は聞いたことがあります。筋肉を弛緩させる方法ですよね?でも、なぜ「漸進的」なんでしょうか?
博士博士
良い着眼点じゃ。漸進的、つまり「段階的に・順を追って」全身の筋肉を一つずつ緊張させてから緩めていくからじゃ。手から始まり、腕、肩、顔、首、胸腹、脚と順番に進めていく。1929年にアメリカの生理学者ジェイコブソンが体系化したんじゃよ。
サクラサクラ
わざわざ緊張させてから緩めるんですか?最初から力を抜けばいいような気もしますけど…。
博士博士
それがミソじゃ。人は普段、自分の筋肉がどれくらい緊張しているか案外気づいておらん。一度ぎゅっと力を入れてから一気に脱力すると、その対比で「弛緩した感覚」が鮮明にわかる。そして体の力を抜くと、自律神経のうち副交感神経が優位になって、心拍も呼吸もゆっくりになるのじゃ。
サクラサクラ
あ、なるほど!体の緊張と心の緊張ってつながっているんですね。だから「緊張の緩和」が目的になるんだ。
博士博士
その通り。設問の選択肢を見てみよう。1の緊張の緩和が正解じゃ。2の褥瘡予防は体位変換や除圧、3の片麻痺改善はリハビリテーション、4の全身麻酔導入は麻酔薬による医療行為で、いずれもPMRの目的ではない。
サクラサクラ
全身麻酔の導入と紛らわしいですね。「筋弛緩」という言葉が共通しているからかな?
博士博士
鋭いぞ。手術での筋弛緩薬、たとえばロクロニウムは神経筋接合部を遮断して骨格筋を一時的に動かなくする薬剤じゃ。PMRはあくまで自分の意志で筋肉を緩めるセルフケア技法。全く別物じゃな。
サクラサクラ
実際の手順はどうやるんですか?
博士博士
静かな環境で仰向けか楽な椅子姿勢になり、たとえば右手をぎゅっと握って10秒ほど7割程度の力で緊張させ、その後20〜30秒かけてふわっと脱力する。これを順次、上腕、肩、額、目、口、首、胸腹、太もも、ふくらはぎ、足と進めるんじゃ。終わったら深呼吸で締めくくる。
サクラサクラ
臨床ではどんな場面で使うんですか?
博士博士
不安が強い患者、不眠を訴える患者、慢性疼痛、術前の緊張、化学療法に伴う悪心や不安など、応用は広いぞ。看護介入分類(NIC)にもリラクセーション療法として位置付けられておる。
サクラサクラ
逆に注意が必要な場合もありますか?
博士博士
うむ。急性の痛みがある部位、筋骨格系の急性炎症、コントロール不良の高血圧や重い心疾患の患者では、収縮時に血圧が一過性に上がるため、医師と相談しながら強度や部位を調整する必要があるのじゃ。
サクラサクラ
同じリラクセーション系の技法って他にもありますか?
博士博士
自律訓練法、腹式呼吸法、イメージ療法、マインドフルネス瞑想などが代表的じゃ。国試では「自律訓練法」と「漸進的筋弛緩法」がよく比較される。自律訓練法は『手足が重たい・温かい』と暗示をかけて副交感神経を優位にする方法、PMRは筋収縮と弛緩の対比を使う方法、と覚えておくとよいぞ。
サクラサクラ
目的はどちらも「心身の緊張緩和」だけれど、アプローチが違うんですね。すっきり整理できました!

POINT

漸進的筋弛緩法というリラクセーション技法の目的を問う基礎的な看護技術問題。「収縮と弛緩の対比により心身の緊張を緩める」という本来の目的を押さえているかがポイント。

解答・解説

正解は1です

問題文:漸進的筋弛緩法の目的はどれか。

解説:正解は 1 です。漸進的筋弛緩法(Progressive Muscle Relaxation:PMR)は、1929年に米国の生理学者エドモンド・ジェイコブソン(E. Jacobson)が体系化したリラクセーション法で、身体各部位の筋肉を意図的に「強く緊張させてから一気に脱力する」動作を順番に繰り返すことで、筋緊張と心理的緊張の両方を軽減することを目的とする技法である。骨格筋の緊張は交感神経の興奮と連動しているため、随意的に筋を弛緩させると副交感神経が優位となり、心拍・呼吸・血圧が落ち着き、不安・ストレス・不眠などの軽減につながる。したがって「緊張の緩和」が漸進的筋弛緩法の本来の目的に最も合致する。

選択肢考察

  1. 1.  緊張の緩和

    漸進的筋弛緩法は手・腕・肩・顔・胸腹・脚など全身の筋群を順序立てて「収縮→弛緩」させ、その対比的な感覚を通して筋緊張を解き、心身のリラクセーションを得る技法である。不安・ストレス・不眠・慢性疼痛の緩和、術前不安や化学療法に伴う悪心・不安の軽減などに広く活用されており、「緊張の緩和」が最も適切な目的である。

  2. ×2.  褥瘡の予防

    褥瘡予防は、体位変換、圧再分配マットレスの使用、栄養状態の改善、皮膚の清潔と保湿などによって行うものであり、漸進的筋弛緩法の目的ではない。

  3. ×3.  片麻痺の改善

    片麻痺の改善には、理学療法・作業療法による運動療法、CI療法、装具療法などの神経リハビリテーションが用いられる。漸進的筋弛緩法は麻痺そのものの回復を目指す訓練ではない。

  4. ×4.  全身麻酔の導入

    全身麻酔の導入は静脈麻酔薬(プロポフォール等)や吸入麻酔薬、筋弛緩薬(ロクロニウム等)を用いて行う医学的処置であり、漸進的筋弛緩法とは全く異なる概念である。

漸進的筋弛緩法は10〜20秒程度の筋収縮(約70%程度の力)と20〜30秒程度の弛緩を、手→上腕→肩→顔面→頸→胸腹部→下肢へと順に行うのが基本手順である。実施前後で呼吸を整え、静かな環境で楽な姿勢(仰臥位または椅座位)で行う。自律訓練法、呼吸法、イメージ療法、マインドフルネスなどと並ぶ代表的なリラクセーション技法であり、看護介入分類(NIC)にも位置付けられている。一方で、急性疼痛がある部位、筋骨格系の急性炎症、高度の循環器疾患、コントロール不良の高血圧などでは収縮負荷の影響を考慮し、医師と相談のうえ実施可否や強度を調整する。

漸進的筋弛緩法というリラクセーション技法の目的を問う基礎的な看護技術問題。「収縮と弛緩の対比により心身の緊張を緩める」という本来の目的を押さえているかがポイント。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。