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見逃すな!「死戦期呼吸」がBLSで心停止と判断するカギ

看護師国家試験 第115午後40

国試問題にチャレンジ

115午後40

一次救命処置〈BLS〉で心停止と判断するのはどれか。

  1. 1.奇脈
  2. 2.昏睡
  3. 3.死戦期呼吸
  4. 4.四肢のチアノーゼ

対話形式の解説

博士博士
今日は一次救命処置、いわゆるBLSで「心停止」をどう判断するかを学ぶぞ。これは現場で命を救えるかどうかに直結する超重要テーマじゃ。
サクラサクラ
はい!えっと、心停止ってつまり心臓が止まることですよね。脈を触ればすぐ分かるんじゃないですか?
博士博士
ふむ、確かに脈拍の触知も大事じゃ。しかし一般市民は脈拍確認は行わないし、医療従事者でも頸動脈の触知に時間をかけすぎてはいけない。10秒以内が原則じゃ。
サクラサクラ
10秒以内ですか…意外と短いんですね。じゃあ何を見ればいいんですか?
博士博士
BLSアルゴリズムでは、まず「反応がない」ことを確認し、次に「正常な呼吸がない、または死戦期呼吸がある」場合に心停止と判断する。この『死戦期呼吸』がキーワードじゃ。
サクラサクラ
死戦期呼吸…なんだか怖い名前ですね。普通の呼吸とどう違うんですか?
博士博士
死戦期呼吸はagonal respirationやgaspingとも呼ばれ、しゃくり上げるような、あえぐような不規則で浅い呼吸様運動じゃ。心停止直後に40%程度の頻度でみられると言われておる。一見「呼吸している」ように見えるが、有効な換気にはなっていない。
サクラサクラ
えっ、それを呼吸ありと勘違いしたら大変ですね…胸骨圧迫が遅れちゃう。
博士博士
その通り。実際、119番通報で「いびきをかいてる」「変な呼吸してる」と表現されることが多くて、指令員はそれを聞いた瞬間に心停止を疑ってCPRを口頭指導するのじゃ。
サクラサクラ
なるほど!他の選択肢にあった「昏睡」や「チアノーゼ」だけじゃダメなんですか?
博士博士
鋭いの。昏睡は意識障害の総称で、低血糖や脳卒中などでも起こる。チアノーゼは低酸素血症や循環不全の所見にすぎず、心停止の判断基準ではない。奇脈は心タンポナーデなどで見られる血圧の変動現象で、これも別物じゃ。
サクラサクラ
どれも一見『重症』っぽいけど、BLSで判断に使うのは『反応なし』+『呼吸なし or 死戦期呼吸』の組み合わせなんですね。
博士博士
うむ。そして判断したら即胸骨圧迫じゃ。成人なら胸の真ん中を5cm沈める深さで、1分間に100〜120回のテンポ。中断は10秒以内に抑える。
サクラサクラ
あ、よく『うさぎとかめ』の歌のテンポとか、『アンパンマンのマーチ』とか言われますよね。
博士博士
ほっほ、知っておるな。リズムを掴むのに有名じゃ。さらにAEDが到着したら速やかに装着して解析、ショック適応があれば除細動。これが救命の連鎖(chain of survival)の中核じゃよ。
サクラサクラ
迅速な通報、早期CPR、早期除細動、そして二次救命処置への引き継ぎ…ですよね。
博士博士
その通り!心室細動による心停止では、除細動が1分遅れるごとに救命率が約7〜10%低下すると言われておる。だからこそ、最初の『心停止と気づく目』が命を救うのじゃ。
サクラサクラ
死戦期呼吸を『普通の呼吸』だと思い込まないこと…肝に銘じます!

POINT

BLSで心停止を判断するための所見は何かを問う問題。反応なし+呼吸なしまたは死戦期呼吸という二つの要素から心停止を見抜けるかがポイントとなる。

解答・解説

正解は3です

問題文:一次救命処置〈BLS〉で心停止と判断するのはどれか。

解説:正解は 3 です。一次救命処置(BLS:Basic Life Support)では、傷病者の肩を叩いて声をかけても反応がなく、かつ「呼吸がない」または「死戦期呼吸(あえぎ呼吸、agonal respiration / gasping)」が認められる場合に心停止と判断し、ただちに胸骨圧迫を中心とした心肺蘇生(CPR)を開始する。死戦期呼吸は心停止直後にみられる、しゃくり上げるような不規則で浅く途切れがちな呼吸様運動であり、正常な呼吸ではない。これを「呼吸あり」と誤認すると胸骨圧迫の開始が遅れ、救命率が大きく低下するため、BLSアルゴリズムでは特に強調されている所見である。 JRC蘇生ガイドライン2020およびAHAガイドラインでは、医療従事者は呼吸の確認と頸動脈の脈拍触知を10秒以内に同時に行い、確信が持てない場合は心停止とみなしてCPRを開始する。一般市民は脈拍確認を行わず、反応なし+正常な呼吸なしで胸骨圧迫を開始する。

選択肢考察

  1. ×1.  奇脈

    奇脈とは、吸気時に収縮期血圧が10mmHg以上低下する現象で、心タンポナーデ、収縮性心膜炎、重症喘息発作などで認められる所見である。循環動態の異常を示唆するが、心停止そのものを判断する基準ではない。BLSの現場では血圧測定も行わないため、判断材料にならない。

  2. ×2.  昏睡

    昏睡は強い刺激にも反応しない深い意識障害であり、心停止以外にも脳血管障害・代謝性疾患・薬物中毒など多様な原因で生じる。BLSでは「反応がない」ことは確認すべき所見だが、それだけでは心停止と断定できず、呼吸の有無の評価が必須となる。

  3. 3.  死戦期呼吸

    死戦期呼吸(あえぎ呼吸、gasping)は心停止直後に出現する、しゃくり上げるような不規則で浅い呼吸様運動で、正常な換気ではない。BLSアルゴリズムでは、反応がなく「呼吸がない、または死戦期呼吸」を認めた時点で心停止と判断し、ただちに胸骨圧迫を開始する。この所見を見逃さないことが救命の鍵となる。

  4. ×4.  四肢のチアノーゼ

    チアノーゼは還元ヘモグロビンが5g/dL以上に増加した際に皮膚・粘膜が青紫色を呈する所見で、低酸素血症や末梢循環不全を反映する。心不全・呼吸不全・低体温などでもみられ、心停止の判断基準には含まれない。BLSでは皮膚色ではなく反応と呼吸で判断する。

BLSの基本手順は、(1)安全確認 (2)反応の確認 (3)応援要請とAED・救急通報 (4)呼吸の確認(医療従事者は同時に頸動脈触知、10秒以内) (5)胸骨圧迫開始(成人は深さ約5cm・100〜120回/分) (6)気道確保と人工呼吸(30:2) (7)AED装着と解析、の流れで進む。死戦期呼吸はとくに目撃された心停止直後に約40%でみられるとされ、一般市民の通報時にも頻繁に「いびきをかいている」「変な呼吸をしている」と表現される。119番通報を受けた指令員(口頭指導)が市民に「正常な呼吸ですか?」と問いかけ、迷う場合はCPR開始を促すのもこのためである。胸骨圧迫の中断は最小限(10秒以内)にし、AEDのショック適応があれば速やかに除細動を行うことが救命率向上に直結する。

BLSで心停止を判断するための所見は何かを問う問題。反応なし+呼吸なしまたは死戦期呼吸という二つの要素から心停止を見抜けるかがポイントとなる。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。