リエゾン精神看護専門看護師の役割を完全マスター
看護師国家試験 第115回 午後 第90問
国試問題にチャレンジ
リエゾン精神看護を専門とする看護師の役割で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 1.看護管理者に対して職員の部内異動を指示する。
- 2.せん妄がみられる患者に対する処方内容を変更する。
- 3.多職種から依頼を受けてコンサルテーションを行う。
- 4.強い不安を訴える身体疾患患者に心理的ケアを行う。
- 5.身体疾患をもつ患者に対する身体的拘束の判断を行う。
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
リエゾン精神看護専門看護師の役割(実践としての直接ケアと、多職種へのコンサルテーション)を理解しているかを問う問題です。処方変更や人事異動指示、身体拘束の判断などは役割外であることを区別できるかがポイントです。
解答・解説
正解は3です
問題文:リエゾン精神看護を専門とする看護師の役割で適切なのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は3と4です。リエゾン精神看護とは、フランス語で『つなぐ・橋渡しする』を意味する『liaison』に由来し、身体科の医療現場で生じる患者・家族の精神心理的問題に対して、精神看護の専門的知識と技術を用いて支援する活動を指します。リエゾン精神看護専門看護師(リエゾンCNS)は、日本看護協会が認定する13分野ある専門看護師(Certified Nurse Specialist)の一つで、修士課程で所定の教育を受け、認定審査に合格した看護師です。その中核的役割は、身体疾患をもつ患者やその家族に対する精神心理的ケアの直接的提供(実践)と、医師・看護師・薬剤師・心理士など多職種からの依頼に応じた相談支援(コンサルテーション)にあります。選択肢3は多職種からの依頼を受けたコンサルテーション活動を、選択肢4は身体疾患患者への直接的な心理的ケアを示しており、いずれもリエゾンCNSの基本的役割そのものに合致するため正解となります。
選択肢考察
- ×1. 看護管理者に対して職員の部内異動を指示する。
職員の人事異動を指示する権限は、組織における看護部長や看護師長などのライン管理職に属する管理機能であり、リエゾン精神看護専門看護師の役割ではありません。CNSはスタッフを支援するスタッフ職能としての専門職であり、人事権を有しません。職場のメンタルヘルスに関する相談に応じることはあっても、異動の『指示』を行う立場にはなく、誤りです。
- ×2. せん妄がみられる患者に対する処方内容を変更する。
医薬品の処方変更は医師の業務であり、看護師には処方権がありません。これは医師法および保健師助産師看護師法上の業務範囲の区別から明らかで、リエゾンCNSであっても処方変更を独自に行うことはできません。せん妄に対しては、環境調整やケアの工夫、家族への対応指導、医師への薬剤調整の提案や情報提供を行いますが、処方そのものの変更は行えないため、誤りです。
- ○3. 多職種から依頼を受けてコンサルテーションを行う。
コンサルテーションは専門看護師の6つの役割のうちの一つで、リエゾン精神看護の中核的活動です。身体科病棟の看護師や医師、その他の医療職から『せん妄患者への対応に困っている』『不安が強い患者へどう関わればよいか』などの相談を受け、専門的知識に基づき助言・指導を行い、相談者の問題解決能力を高めます。コンサルティ(相談者)の主体性を尊重しつつ支援する関係性が特徴であり、本選択肢は正解です。
- ○4. 強い不安を訴える身体疾患患者に心理的ケアを行う。
身体疾患をもつ患者に対する直接的な精神心理的ケアの提供は、リエゾン精神看護専門看護師の代表的な『実践』の役割です。がんや慢性疾患、手術前後など身体疾患の経過で強い不安や抑うつ、適応障害、せん妄などを呈する患者に対し、専門的な面接技法やリラクセーション、認知的アプローチなどを用いて直接介入します。本選択肢はリエゾンCNSの臨床実践そのものであり、正解です。
- ×5. 身体疾患をもつ患者に対する身体的拘束の判断を行う。
身体的拘束は患者の人権・身体の自由を制限する重大な医療行為であり、その実施判断は医師の指示のもとで多職種チームによる切迫性・非代替性・一時性の三要件の検討を経て組織的に決定されるものです。リエゾンCNSが単独で拘束の可否を判断する立場にはなく、むしろ拘束回避のためのケア改善や倫理的調整に貢献する役割を担います。よって誤りです。
リエゾン精神看護専門看護師(CNS)は、日本看護協会が定める専門看護師制度に基づく資格で、その役割は『実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究』の6つに整理されています。実践は患者・家族への直接ケア、相談はコンサルテーション、調整は多職種チーム間の連携促進、倫理調整は臨床倫理上のジレンマへの介入、教育はスタッフへの教育的支援、研究は実践に基づく研究活動を意味します。リエゾンCNSは特に、身体科でのせん妄ケア、がん患者の心理支援、不安・抑うつへの介入、自殺リスク評価、医療者自身のメンタルヘルス支援、家族ケアなど幅広い領域で活動します。覚え方として『身体科と精神科をつなぐ橋渡し役』『直接ケア+コンサルテーション』『処方・人事・拘束の最終判断はしない』とポイントを整理しておくと選択肢の正誤判断が容易になります。なお類似分野として精神看護専門看護師(うち精神科臨床に重点)があり、リエゾン領域はその中の活動形態として位置づけられます。
リエゾン精神看護専門看護師の役割(実践としての直接ケアと、多職種へのコンサルテーション)を理解しているかを問う問題です。処方変更や人事異動指示、身体拘束の判断などは役割外であることを区別できるかがポイントです。
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