輸液滴下数と薬液量計算
基礎看護学 / 注射・与薬・輸液・輸血
解説
輸液滴下数と薬液量計算とは、医師の指示に基づき正しい量の薬剤を正しい速度で投与するために、看護師が日常的に行う臨床計算のことをいいます。今回は輸液滴下数と薬液量計算について解説します。
臨床現場では、アンプルやバイアルに入っている薬剤を指示量どおりに取り出したり、所定の時間で輸液を終わらせるために点滴の速度(滴下数)を調節したりする場面が頻繁にあります。これらの計算は単なる算数ではなく、誤れば過量投与や効果不足につながり、患者の生命に直結します。看護師は計算の前後に必ず6R(正しい患者・薬剤・用量・経路・時間・目的)を確認することが原則です。
薬液量の計算
薬液量計算とは、アンプルや溶解後のバイアルから指示された薬用量(mg など)を取り出すために必要な液量(mL)を求めることです。基本となる考え方は「濃度×液量=薬用量」という関係です。ここから次の公式が導かれます。
投与量(mL)=指示量(mg)÷濃度(mg/mL)
濃度はラベルに「○○ mg/△△ mL」と表示されているため、まず1 mL あたりの mg 数を計算してから割り算する方法と、「○○ mg : △△ mL = 指示量 : X」と比の式を立てる方法のどちらでも同じ結果が得られます。
薬液量計算の例
たとえばラベルに「20 mg/2 mL」と書かれている注射薬を15 mg 投与したい場合を考えます。まず濃度は20 mg ÷ 2 mL = 10 mg/mL です。指示量15 mg をこの濃度で割ると、15 ÷ 10 = 1.5 mL となり、これが取り出すべき薬液量です。
同じ考え方で「100 mg/5 mL」の薬液から75 mg を与薬する場合は、比の式で 100 : 5 = 75 : X と立て、X = 5 × 75 ÷ 100 = 3.75 mL を求め、小数第二位を四捨五入して 3.8 mL と答えます。臨床では、シリンジで測定できる桁数までを意識して丸めることが大切です。
希釈液の計算
消毒薬などの希釈計算では、薄める前後で「溶質の量」が変わらないという原理を使います。これを式で表したものがC1V1=C2V2(希釈の公式)です。C は濃度、V は液量を表し、添字1は原液側、添字2は希釈後の液側を意味します。
たとえば5%クロルヘキシジン原液から0.2%の希釈液を2000 mL 作りたい場合、5 × X = 0.2 × 2000 となり、X = 400 ÷ 5 = 80 mL が必要な原液量です。残り1920 mL は精製水などで補います。同様に、6%消毒液から0.02%を1500 mL 作る場合は 6 × X = 0.02 × 1500、X = 30 ÷ 6 = 5 mL が答えになります。さらに、6%次亜塩素酸ナトリウムから0.1%を1000 mL 作る場合は 6 × X = 0.1 × 1000、X = 100 ÷ 6 = 16.67 となり、小数第一位を四捨五入して 17 mL と求めます。
輸液セットの規格と滴下数計算
輸液セットには大きく分けて2種類の規格があります。成人用は1 mL = 20滴、小児用は1 mL = 60滴と覚えてください。小児用は滴が細かく、少量をゆっくり正確に投与するために用いられます。
1分間の滴下数を求める基本公式は次のとおりです。
1分間の滴下数(滴/分)=総輸液量(mL)× 1 mL あたりの滴数 ÷ 指示時間(分)
時間が「○時間」で示されている場合は60を掛けて分に直してから当てはめます。
滴下数計算の例
成人用輸液セット(20滴/mL)で500 mL を3時間30分(210分)で投与する場合、500 ÷ 210 × 20 = 47.6 となり、四捨五入して 48滴/分 に調整します。1500 mL を9時から17時までの8時間(480分)で投与する場合は、1500 ÷ 480 × 20 = 62.5 となり、63滴/分が答えです。
小児用輸液セット(60滴/mL)の場合は、覚えておくと便利な性質があります。1時間あたりの mL 数と1分間の滴下数が等しくなるのです。たとえば体重9.6 kg の小児に1 kg あたり1日100 mL を投与する指示では、1日量は9.6 × 100 = 960 mL、1時間量は 960 ÷ 24 = 40 mL/時となり、小児用セットでは 40滴/分 とそのまま読み替えられます。
残量計算
点滴の途中で残量を尋ねられることもあります。考え方は「すでに何滴落としたか」を求め、それを mL に換算して総量から引くだけです。成人用セット(20滴/mL)で500 mL を50滴/分で80分間滴下した場合、落ちた総滴数は 50 × 80 = 4000滴、これを mL に直すと 4000 ÷ 20 = 200 mL となります。よって残量は 500 - 200 = 300 mL です。
まとめ
輸液滴下数と薬液量計算は、薬液量の公式「投与量 = 指示量 ÷ 濃度」、希釈の公式「C1V1 = C2V2」、滴下数の公式「総量 × 滴数規格 ÷ 時間(分)」の三つを押さえれば多くの問題に対応できます。さらに成人用20滴/mL、小児用60滴/mL という規格と、小児用では1時間量の mL 数がそのまま1分の滴下数になるという性質を覚えておくと、計算がより早く確実になります。臨床では計算後に必ず6Rを確認し、誤薬を防ぐ習慣を身につけることが大切です。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
薬液量を求める基本公式は、投与量(mL)=指示量(mg)÷である。
- 2.
20mg/2mLのフロセミドを15mg投与するときの注射量はmLである。
- 3.
100mg/5mLの薬液から75mgを与薬するときの薬液量は、小数第二位を四捨五入してmLである。
- 4.
希釈計算で用いる、原液と希釈後の濃度・液量の関係を表す公式はC1V1=である。
- 5.
5%クロルヘキシジンから0.2%希釈液2000mLを作るのに必要な原液量はmLである。
- 6.
6%次亜塩素酸ナトリウムから0.1%を1000mL作るときの原液量は、四捨五入してmLである。
- 7.
成人用輸液セットの規格は1mL=滴、小児用輸液セットの規格は1mL=滴である。
- 8.
1分間の滴下数を求める公式は、総輸液量(mL)×滴数規格÷である。
- 9.
成人用輸液セット(20滴/mL)で500mLを3時間30分(210分)で投与するときの1分間の滴下数は、四捨五入して滴/分である。
- 10.
体重9.6kgの患児に1kgあたり1日100mLを小児用輸液セットで投与するときの1分間の滴下数は滴/分である。
- 11.
500mLを成人用輸液セットで50滴/分で80分滴下した後の残量はmLである。
- 12.
誤薬防止のために投与前後に確認する、正しい患者・薬剤・用量・経路・時間・目的の原則をという。
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