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片麻痺のベッド環境づくり、健側と患側で柵の役割はこう違う

看護師国家試験 第109回 午前 第120問 / 成人看護学 / 脳・神経系

国試問題にチャレンジ

109回 午前 第120問

次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん( 75 歳、女性)は、脂質異常症( dyslipidemia )と高血圧症( hypertension )で通院中で、定期受診のため、外来待合室で順番を待っていた。Aさんは、待合室の雑誌を取ろうと立ち上がり、歩こうとしたところ、右足が思うように動かず引きずって歩いた。外来看護師が声をかけると、Aさんは「らいじょうぶ」と返答したが、ろれつが回らなかった。 Aさんは、2 か月間のリハビリテーションの結果、健側をつかってベッド上で端坐位ができるようになり、補装具をつければ軽介助で歩行できる状態まで回復した。退院後はベッド柵をつけた介護用ベッドを設置し、自宅で生活をする予定である。Aさんが自宅で使用する介護用ベッドの柵の配置を図に示す。 ベッド柵の配置で適切なのはどれか。

  1. 1. 選択肢1
  2. 2. 選択肢2
  3. 3. 選択肢3
  4. 4. 選択肢4

対話形式の解説

博士 博士

Aさんは回復期リハを終えて、健側を使って端坐位ができるようになったぞ。自宅のベッド環境をどう整えるか考えていこう。

アユム アユム

この問題は図を見て選ぶ形式ですね。麻痺側と柵の位置の関係を理解しておく必要があります。

博士 博士

まず整理しよう。Aさんの脳梗塞はどちら側?

アユム アユム

左脳の運動野です。ということは麻痺は対側の右半身、健側は左半身ですね。

博士 博士

正解。片麻痺患者の起き上がり動作の基本原則を言えるかな?

アユム アユム

『健側から起きる』ですよね。健側の手で柵をつかみ、健側方向へ体を回して、健側の足で患側の足をすくって下ろす、と習いました。

博士 博士

その通り。つまり端坐位の取り方は『健側方向、つまり左側に体を起こして足を下ろす』のじゃ。

アユム アユム

すると健側の左側には『つかまり用』の柵が必要ですね。位置は起き上がりやすい頭側がよさそうです。

博士 博士

うむ。そして患側の右側はどう考える?

アユム アユム

麻痺側だから自分で体を支えにくい。寝ている間の転落予防のために柵が必要ですね。

博士 博士

その通り。右側は頭側と足側の2か所に柵を置くと転落予防になる。

アユム アユム

整理すると、左側の頭側に1本、右側に2本、という配置ですね。

博士 博士

選択肢1が正にそれじゃ。

アユム アユム

選択肢2は右側頭部と左側足元ですね。どちらも機能していません。

博士 博士

右(患側)側の柵は握れないし、左(健側)側の足元柵は起き上がり時に邪魔になる。動線が崩れる。

アユム アユム

選択肢3は左側全体。柵で塞がれて健側から足が下ろせないですね。

博士 博士

しかも患側右側には柵がなく、転落リスクが残る。

アユム アユム

選択肢4は両側の足元だけ。起き上がり時に握る場所がなく、足も下ろせない。

博士 博士

端坐位支援にも転落予防にも不向きじゃ。

アユム アユム

健側・患側で柵の役割を分ける、という視点が決め手ですね。

博士 博士

うむ。在宅療養では介護保険の福祉用具貸与が活用できる。介護用ベッドや柵、マットレスは要介護2以上で対象じゃ。

アユム アユム

住宅改修費も使えますよね。手すり設置、段差解消など。

博士 博士

よく覚えておった。生涯20万円まで自己負担1〜3割で使える。Aさんが安全に暮らせる環境を、医療と介護の両面から整えるのじゃよ。

POINT

脳梗塞による片麻痺患者のベッド柵配置では、『健側から起きる』という動作原則を踏まえ、健側にはつかまり用の柵を頭側に1本、患側には転落予防のために頭側と足側の2本を配置するのが基本です。Aさんは左脳運動野の脳梗塞により右半身が患側、左半身が健側となるため、左側頭部1本・右側2本の配置(選択肢1)が最適となります。他の選択肢は、柵が起き上がり動作の妨げになったり、患側の転落予防が欠けたりしており、端坐位支援と安全確保の両立が困難です。在宅療養では介護保険の福祉用具貸与(要介護2以上で対象)や住宅改修費(生涯20万円まで1〜3割負担)を活用し、多職種で生活環境を整えることが重要です。画像から読み取る問題ですが、片麻痺の動作分析を根拠にすれば論理的に正答にたどり着けます。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん( 75 歳、女性)は、脂質異常症( dyslipidemia )と高血圧症( hypertension )で通院中で、定期受診のため、外来待合室で順番を待っていた。Aさんは、待合室の雑誌を取ろうと立ち上がり、歩こうとしたところ、右足が思うように動かず引きずって歩いた。外来看護師が声をかけると、Aさんは「らいじょうぶ」と返答したが、ろれつが回らなかった。 Aさんは、2 か月間のリハビリテーションの結果、健側をつかってベッド上で端坐位ができるようになり、補装具をつければ軽介助で歩行できる状態まで回復した。退院後はベッド柵をつけた介護用ベッドを設置し、自宅で生活をする予定である。Aさんが自宅で使用する介護用ベッドの柵の配置を図に示す。 ベッド柵の配置で適切なのはどれか。

解説:正解は 1 です。Aさんの麻痺は左脳運動野の脳梗塞に由来するため、障害側(患側)は右半身、健側は左半身です。端坐位を取るときは健側の腕で柵につかまり、健側方向(ベッドの左側)に体を起こして足を下ろすのが基本です。したがって柵の配置は、健側である左側ベッドサイドの頭側に『つかまり用』の柵を1つ置き、患側である右側には起き上がり時や臥床中の転落を防ぐために足側と頭側の2か所に柵を設けるのが理にかなっています。選択肢1はこの条件を満たしており正答となります。なお本問は図の読み取りが必須ですが、病態と動作分析に基づき論理的に導ける構成です。

選択肢考察

  1. 1.  
    選択肢1

    左側頭部に柵1本(健側の起き上がり把持用)、右側に柵2本(患側の転落予防)という配置。健側で柵を握って端坐位を取り、患側側の転落を柵で防ぐという動作力学と安全要件を満たす最適解。

  2. × 2.  
    選択肢2

    右側頭部に柵、左側足側に柵という配置。右(患側)側に起き上がり用の柵があっても麻痺側ではつかめず、左(健側)側は足元に柵があって起き上がりに使えない。動線として成立しない。

  3. × 3.  
    選択肢3

    左側全体に柵がある配置。健側から端坐位になる際、柵が邪魔で足を下ろせない。さらに患側右側に柵がなく転落リスクが残り、安全面でも不適切。

  4. × 4.  
    選択肢4

    両側の足側に柵がある配置。どちら側に起き上がるにも柵が把持位置になく、かつ足の降ろし動作を妨げる。端坐位支援にも転落予防にも不向き。

片麻痺患者のベッド環境整備では『健側から起き上がる』が基本原則。ベッド柵は『健側のつかまり用』と『患側の転落予防用』を分けて配置し、健側の頭側に把持用柵、患側には頭側と足側の2か所が一般的。起き上がり動作の流れは、仰臥位→健側の手で柵をつかむ→健側方向へ体を回転→健側下肢で患側下肢をすくい上げてベッド端に下ろす→端坐位。介護用ベッドの選定では背上げ・高さ調節機能、手すり、移乗スペースの確保も重要で、介護保険の福祉用具貸与(要介護2以上で原則対象)として給付される。浴室や玄関の段差解消、手すり設置などの住宅改修費(生涯20万円まで1割〜3割自己負担)も併せて活用できる。

片麻痺患者の起き上がり動作原則『健側から起きる』を踏まえ、ベッド柵の適切な配置を選ぶ問題。健側をつかまり用、患側を転落予防用と機能を分けて考えるのがコツ。