StudyNurse

放射線療法中のスキンケア—軟膏と照射の関係

看護師国家試験 第111回 午後 第95問 / 成人看護学 / 脳・神経系

国試問題にチャレンジ

111回 午後 第95問

次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん(38歳、会社員、女性)は夫と2人暮らし。通勤中に突然の頭痛を訴えて倒れ、救急搬送された。入院後に行った頭部CT検査および頭部MRI検査で、脳腫瘍(brain tumor)と診断された。Aさんは脳腫瘍摘出のために開頭術を受けた。 脳腫瘍摘出手術の結果、膠芽腫(glioblastoma)と診断され、Aさんは放射線療法と抗癌薬内服による化学療法を行うことになった。放射線療法を開始して1週後、Aさんが頭皮のかゆみを訴えたため、副腎皮質ステロイド軟膏が処方された。 Aさんへの説明として適切なのはどれか。

  1. 1.「定期的に髪の毛をそります」
  2. 2.「かゆみが強いときは温めてください」
  3. 3.「軟膏は放射線照射前に拭き取ってください」
  4. 4.「かゆみは放射線照射の終了日にはおさまります」

対話形式の解説

博士 博士

今回は膠芽腫と診断されたAさんが、放射線療法開始1週目に頭皮のかゆみを訴え、副腎皮質ステロイド軟膏が処方された場面だよ。

サクラ サクラ

放射線療法では皮膚への副作用が起こりやすいのですね。

博士 博士

そう、放射線皮膚炎と呼ばれ、照射開始2〜3週目頃から紅斑や乾性落屑・湿性落屑が生じる。かゆみ・灼熱感・疼痛も伴うよ。

サクラ サクラ

ステロイド軟膏を塗るときに気をつけることはありますか?

博士 博士

最大のポイントが今回の問題なんだ。選択肢を順に見ていこう。

サクラ サクラ

1の「定期的に髪の毛をそります」は?

博士 博士

カミソリでの剃毛は皮膚を傷つけて皮膚炎を悪化させるから避けるべきだよ。どうしても必要なら電気バリカンで短くする程度にとどめるんだ。

サクラ サクラ

2の「かゆみが強いときは温めてください」はどうですか?

博士 博士

逆だね。温めると血管が拡張してかゆみや炎症が増強する。冷罨法で血管を収縮させる方が効果的だよ。

サクラ サクラ

3の「軟膏は放射線照射前に拭き取ってください」は?

博士 博士

これが正解。軟膏が皮膚表面に残っていると、ビルドアップ効果と呼ばれる現象で表面線量が増えて皮膚炎が悪化するんだ。さらに線量分布も乱れるので、照射前には必ず拭き取り、照射後に再塗布するよ。

サクラ サクラ

4の「かゆみは照射終了日におさまります」は?

博士 博士

これも誤り。放射線皮膚炎の症状は照射終了後2週間〜1か月かけて徐々に軽快するんだ。患者さんには正確な経過を伝えないと不安につながるね。

サクラ サクラ

正しいスキンケアの方法もあれば教えてください。

博士 博士

石鹸は低刺激でよく泡立てて愛護的に洗う、こすらずに押さえ拭き、直射日光や摩擦を避ける、ぬるま湯での洗髪、金属やテープの刺激を避ける、といったことが大切だよ。

サクラ サクラ

皮膚トラブルは治療継続にも影響しますから、予防的ケアを徹底します。

博士 博士

そうだね。医師・放射線技師・看護師の連携で副作用を最小化しながら治療を完遂することが目標だよ。

POINT

放射線療法中の軟膏使用では、照射前に軟膏を拭き取り照射後に再塗布することが原則です。これは軟膏残存によるビルドアップ効果で皮膚表面線量が増加し皮膚炎が悪化するためで、線量分布の乱れを防ぐ意味もあります。かゆみへの対応は冷罨法が基本で温めは禁忌、剃毛は皮膚刺激となるため避け、放射線皮膚炎は照射終了後2週間〜1か月で徐々に改善する経過を患者に正確に伝えることが重要です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん(38歳、会社員、女性)は夫と2人暮らし。通勤中に突然の頭痛を訴えて倒れ、救急搬送された。入院後に行った頭部CT検査および頭部MRI検査で、脳腫瘍(brain tumor)と診断された。Aさんは脳腫瘍摘出のために開頭術を受けた。 脳腫瘍摘出手術の結果、膠芽腫(glioblastoma)と診断され、Aさんは放射線療法と抗癌薬内服による化学療法を行うことになった。放射線療法を開始して1週後、Aさんが頭皮のかゆみを訴えたため、副腎皮質ステロイド軟膏が処方された。 Aさんへの説明として適切なのはどれか。

解説:正解は 3 です。放射線治療部位に軟膏が残ったまま照射すると、軟膏(特に金属成分や油性基剤)により皮膚表面のビルドアップ効果が生じ放射線皮膚炎が悪化する可能性があり、また線量分布が変わって治療効果にも影響します。そのため軟膏は照射前に拭き取り、照射後に再塗布することが原則です。

選択肢考察

  1. × 1.  「定期的に髪の毛をそります」

    剃毛は皮膚への機械的刺激となり放射線皮膚炎を悪化させます。治療中の頭部は電気バリカンなどを用いて愛護的に短くする程度にとどめ、カミソリでの剃毛は避けるのが原則です。

  2. × 2.  「かゆみが強いときは温めてください」

    温めると血管拡張により炎症とかゆみが増強します。放射線皮膚炎のかゆみ対策としては冷罨法で血管を収縮させ、かゆみ物質の放出を抑える方が効果的です。

  3. 3.  「軟膏は放射線照射前に拭き取ってください」

    軟膏を塗布したまま照射するとビルドアップ効果で皮膚表面の線量が増加し皮膚炎が悪化します。さらに線量分布が変化するため、照射前に軟膏を拭き取り、照射後に再塗布するのが標準的な指導です。

  4. × 4.  「かゆみは放射線照射の終了日にはおさまります」

    放射線皮膚炎の症状は照射終了と同時に消失するのではなく、通常2週間〜1か月かけて徐々に軽快します。患者に誤った期待を与えないよう正確に説明する必要があります。

放射線皮膚炎のグレード(CTCAE)は、G1:淡い紅斑・乾性落屑、G2:中等度紅斑・湿性落屑(皺部)、G3:湿性落屑・出血、G4:皮膚壊死・潰瘍、G5:死亡。予防と対応として、①石鹸は低刺激で泡洗浄、②ゴシゴシ拭かず押さえ拭き、③摩擦・圧迫・直射日光を避ける、④温水は避けぬるま湯、⑤照射前は軟膏・湿布・金属・汗をオフ、⑥保湿剤・ステロイド軟膏の使用は医師指示に従う、などがあります。

放射線療法中のスキンケア指導で、軟膏塗布と照射タイミングの関係を問うている。