StudyNurse

十二指腸潰瘍既往者の急性腹症で観察すべき徴候

看護師国家試験 第104回 午後 第51問 / 成人看護学 / 消化器・栄養代謝系

国試問題にチャレンジ

104回 午後 第51問

Aさん(50歳、男性)は、上腹部痛が突然出現したため、冷や汗をかき腹部を押さえながら家族と来院した。Aさんは十二指腸潰瘍(duodenal ulcer)の既往がある。 このときに観察する徴候として最も適切なのはどれか。

  1. 1.Romberg〈ロンベルグ〉徴候
  2. 2.Blumberg〈ブルンベルグ〉徴候
  3. 3.Courvoisier〈クールボアジェ〉徴候
  4. 4.Trendelenburg〈トレンデレンブルグ〉徴候

対話形式の解説

博士 博士

今日はAさんという50歳男性が、突然の上腹部痛で冷や汗をかきながら来院した場面を考えるぞ。十二指腸潰瘍の既往があるのがポイントじゃ

サクラ サクラ

既往歴があるということは、潰瘍が悪化したり穿孔したりした可能性が高いということでしょうか

博士 博士

その通りじゃ。穿孔すると胃や十二指腸の内容物が腹腔内に漏れて、急性腹膜炎を起こす。これは命に関わる緊急事態なんじゃ

サクラ サクラ

では看護師としてはどんな所見を確認すれば良いのですか

博士 博士

選択肢にあるBlumberg徴候、つまり反跳痛じゃな。腹壁をゆっくり押し込んで、ぱっと離した瞬間に痛みが走るかを見るんじゃ

サクラ サクラ

Romberg徴候とは別物なのですね。名前が似ていて混乱しそうです

博士 博士

Rombergは閉眼立位でふらつくかを見る神経学的検査で、脊髄後索の障害を評価する。腹部とは無関係じゃ

サクラ サクラ

Courvoisier徴候はどうですか

博士 博士

これは無痛性に胆嚢が腫れる所見で、膵頭部癌などで総胆管が慢性的に詰まったときに見られる。急性腹症の鑑別ではないぞ

サクラ サクラ

Trendelenburg徴候は股関節の話でしたよね

博士 博士

そう、中殿筋の機能低下で片脚立位したときに骨盤が傾く徴候で、整形外科領域じゃ

サクラ サクラ

つまりAさんに対しては、腹膜刺激症状を見るためにBlumberg徴候を観察するのが最優先ということですね

博士 博士

加えて筋性防御や板状硬、立位X線でのfree airも忘れてはいかん。ショックに移行しやすいから、バイタル継続観察も命綱じゃ

POINT

本問は急性腹症の代表的徴候であるBlumberg徴候を問うています。十二指腸潰瘍穿孔では腹膜炎を生じ、反跳痛として腹膜刺激症状が現れます。RombergやTrendelenburgは神経・運動器の評価、Courvoisierは胆道閉塞の所見であり、本症例には該当しません。急性腹症では徴候の確認とともにショック徴候の早期発見が看護のポイントです。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:Aさん(50歳、男性)は、上腹部痛が突然出現したため、冷や汗をかき腹部を押さえながら家族と来院した。Aさんは十二指腸潰瘍(duodenal ulcer)の既往がある。 このときに観察する徴候として最も適切なのはどれか。

解説:正解は2のBlumberg〈ブルンベルグ〉徴候です。突然の上腹部痛と冷や汗、十二指腸潰瘍の既往があるAさんでは、消化管穿孔による急性腹膜炎が強く疑われます。腹膜刺激症状のうち代表的なBlumberg徴候の有無を観察することが、緊急性の判断に直結します。

選択肢考察

  1. × 1.  Romberg〈ロンベルグ〉徴候

    両足を閉じて立位をとり、閉眼させたときにふらつきや転倒傾向が出現する徴候で、脊髄後索障害や深部感覚障害の評価に用いられます。腹部の急性疾患の判定には用いられません。

  2. 2.  Blumberg〈ブルンベルグ〉徴候

    腹壁を指でゆっくり垂直に圧迫し、急に手を離した瞬間に強い痛みが走る所見で、反跳痛とも呼ばれます。腹膜の炎症を示唆するため、十二指腸潰瘍穿孔による汎発性腹膜炎を疑うAさんで最優先に確認すべき徴候です。

  3. × 3.  Courvoisier〈クールボアジェ〉徴候

    総胆管が腫瘍などにより慢性的に閉塞した結果、無痛性に胆嚢が腫大して触知される徴候で、膵頭部癌や下部胆管癌などを示唆します。急性発症の腹部所見を捉える指標ではありません。

  4. × 4.  Trendelenburg〈トレンデレンブルグ〉徴候

    中殿筋の筋力低下や麻痺がある側で片脚立ちをすると、対側の骨盤が下方に傾く現象で、変形性股関節症や先天性股関節脱臼などの評価に使われます。腹痛の鑑別とは無関係です。

腹膜刺激症状にはBlumberg徴候のほか、筋性防御(デファンス)や板状硬、咳をしただけで腹痛が増悪するcough tendernessなどがあります。十二指腸潰瘍穿孔では立位胸腹部単純X線でfree airの確認が診断のカギとなり、ショックバイタルへ移行しやすいため血圧・脈拍・呼吸の継続観察が不可欠です。

腹膜刺激症状を示す徴候の名称と臨床的意義を区別できているかを問う問題です。突然発症の上腹部痛と既往歴から消化管穿孔を想起できるかが鍵となります。