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ERCP後の合併症を見抜く検査値

看護師国家試験 第105回 午後 第43問 / 成人看護学 / 消化器・栄養代謝系

国試問題にチャレンジ

105回 午後 第43問

Aさん(43歳、男性)は、胆道狭窄のため内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉検査を受けた。検査後に心窩部痛が出現したため、禁食、抗菌薬および蛋白分解酵素阻害薬による治療が行われている。 翌日実施した血液検査の項目でAさんに生じている合併症を判断できるのはどれか。

  1. 1.アミラーゼ
  2. 2.アルブミン
  3. 3.クレアチニン
  4. 4.クレアチンキナーゼ

対話形式の解説

博士 博士

今日はAさん43歳男性の事例じゃ。胆道狭窄でERCPを受けたあと心窩部痛が出て、禁食・抗菌薬・蛋白分解酵素阻害薬で治療中という状況じゃ。

サクラ サクラ

博士、ERCPってどんな検査ですか?

博士 博士

内視鏡的逆行性胆管膵管造影といって、十二指腸内視鏡を十二指腸乳頭まで進め、そこからカテーテルを胆管や膵管に挿入して造影剤を注入する検査じゃ。結石や狭窄の診断に使われるのじゃよ。

サクラ サクラ

その検査で何か合併症があるんですね。

博士 博士

最も多いのがERCP後膵炎、略してPEPじゃ。発生率は3〜10%と言われておる。造影剤の注入圧や乳頭部の浮腫が膵管の流出を妨げて膵炎を起こすのじゃ。

サクラ サクラ

Aさんの心窩部痛と蛋白分解酵素阻害薬の治療、まさに急性膵炎ですね。

博士 博士

その通りじゃ。蛋白分解酵素阻害薬はガベキサートやウリナスタチンなどで、膵酵素の活性化を抑えて膵臓の自己消化を防ぐのじゃ。

サクラ サクラ

では正解の選択肢1『アミラーゼ』ですが、膵炎でアミラーゼが上がる仕組みは?

博士 博士

アミラーゼは膵臓と唾液腺から分泌される消化酵素で、膵炎になると膵細胞が壊れて血中に漏れ出し上昇するのじゃ。基準値の3倍以上で診断基準を満たすぞ。

サクラ サクラ

選択肢2『アルブミン』はどうですか?

博士 博士

アルブミンは肝臓で合成されるタンパクで、栄養状態や肝機能の指標じゃ。急性膵炎の即時診断には使えぬ。

サクラ サクラ

選択肢3『クレアチニン』は腎機能ですよね。

博士 博士

その通り。筋肉由来の老廃物で腎臓から排泄されるから腎機能の指標になるのじゃ。膵炎とは直接関係ない。

サクラ サクラ

選択肢4『クレアチンキナーゼ』は?

博士 博士

CKは心筋梗塞や筋疾患で上がる酵素じゃ。膵臓の評価には使わぬぞ。

サクラ サクラ

つまり膵酵素のアミラーゼが正解ですね。

博士 博士

そうじゃ。実臨床ではリパーゼも併用する。リパーゼはより膵特異性が高く、上昇期間も長いのじゃ。看護師はERCP後の心窩部痛・発熱・背部痛を見逃さず、翌朝のアミラーゼ値に注目するのが鉄則じゃぞ。

POINT

ERCPの最も多い合併症は膵炎で、診断には血中アミラーゼの上昇が最も迅速に用いられます。アミラーゼは膵細胞の破壊により血中に漏出し、基準値の3倍以上で急性膵炎の診断基準を満たします。看護師は検査後の心窩部痛・背部痛・発熱を注意深く観察し、翌日の血液検査でアミラーゼ値を確認することが重要です。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:Aさん(43歳、男性)は、胆道狭窄のため内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉検査を受けた。検査後に心窩部痛が出現したため、禁食、抗菌薬および蛋白分解酵素阻害薬による治療が行われている。 翌日実施した血液検査の項目でAさんに生じている合併症を判断できるのはどれか。

解説:正解は 1 です。ERCPは十二指腸内視鏡を用いて十二指腸乳頭部からカテーテルを挿入し、造影剤を注入して胆管・膵管を造影する検査です。最大の合併症がERCP後膵炎(PEP)で、発生率は約3〜10%とされ、造影剤や操作による膵管の刺激・乳頭部浮腫が原因で生じます。Aさんに出現した検査後の心窩部痛、禁食、蛋白分解酵素阻害薬(ガベキサート、ウリナスタチンなど)投与はまさに急性膵炎の治療であり、診断確定には血中アミラーゼやリパーゼの上昇を確認します。

選択肢考察

  1. 1.  アミラーゼ

    アミラーゼは膵臓と唾液腺から分泌される消化酵素で、急性膵炎では基準値の3倍以上に上昇することが診断基準の一つです。ERCP後膵炎の診断には最も迅速で有用な指標であり、早期発見・重症度判定に用いられます。

  2. × 2.  アルブミン

    アルブミンは肝臓で合成される血漿タンパクで、低栄養や肝機能低下(肝硬変)、ネフローゼ症候群などで低下します。ERCP後膵炎の急性期診断には用いられません。

  3. × 3.  クレアチニン

    クレアチニンは筋肉由来の老廃物で腎臓から排泄されるため、腎機能の指標です。腎不全の評価には重要ですが、膵炎の診断には直接関与しません。

  4. × 4.  クレアチンキナーゼ

    クレアチンキナーゼ(CK)は骨格筋・心筋・脳に存在する酵素で、急性心筋梗塞や筋ジストロフィー、横紋筋融解症で上昇します。膵炎の診断指標ではありません。

ERCPの主な合併症は、膵炎、胆管炎、出血、消化管穿孔です。急性膵炎の診断基準は、(1)心窩部・背部痛、(2)血中または尿中膵酵素の上昇(アミラーゼ・リパーゼ)、(3)画像所見の3項目のうち2項目以上です。リパーゼはアミラーゼより膵特異性が高く、上昇期間も長いため有用です。重症度はAPACHEII、SIRS、造影CTグレード(CTグレード)で評価します。

ERCPの代表的合併症である膵炎の診断に用いる血液検査項目を問う問題です。膵酵素であるアミラーゼが指標となることを理解しているかが焦点です。