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慢性膵炎の食事療法を理解しよう

看護師国家試験 第104回 午前 第41問 / 成人看護学 / 消化器・栄養代謝系

国試問題にチャレンジ

104回 午前 第41問

慢性膵炎(chronic pancreatitis)の患者の食事療法で制限が必要なのはどれか。

  1. 1.糖質
  2. 2.脂質
  3. 3.蛋白質
  4. 4.脂溶性ビタミン

対話形式の解説

博士 博士

今日は慢性膵炎の食事療法について学ぶぞい。まず膵臓の働きを思い出してみよう

サクラ サクラ

はい、膵臓は消化酵素を含む膵液を分泌する外分泌と、インスリンなどを出す内分泌の二つの働きがありますよね

博士 博士

そのとおり。では脂っこいものを食べたとき、どのホルモンが膵酵素分泌を促すか覚えておるかな

サクラ サクラ

コレシストキニン、CCKです。十二指腸から分泌されて膵液を出させると習いました

博士 博士

見事じゃ。慢性膵炎で脂質を多く摂ると、CCKが強く刺激されて弱った膵臓に無理をさせ、痛み発作を招くのじゃよ

サクラ サクラ

だから脂質制限が必要なんですね。では糖質や蛋白質はどうですか

博士 博士

初期から糖質を制限する必要はない。ただし非代償期に入って膵性糖尿病を発症すれば、血糖コントロールのために糖質量の調整が必要になる

サクラ サクラ

蛋白質はむしろ大事と聞きました

博士 博士

そうじゃ。組織を作る大切な栄養素じゃから、高蛋白・適正エネルギーが原則じゃ。脂質を抑える分エネルギーが不足しやすいから工夫が要る

サクラ サクラ

脂溶性ビタミンはどう考えればよいでしょうか

博士 博士

脂質吸収が落ちると一緒に吸収量も下がるから、むしろ欠乏予防で補う側じゃ。制限する栄養素ではないぞ

サクラ サクラ

アルコールも当然ダメですよね

博士 博士

そうじゃ、禁酒は絶対条件じゃ。膵酵素薬で消化を補うことも覚えておくとよい

POINT

慢性膵炎では脂質摂取がCCKを介して膵外分泌を刺激し、痛み発作や病態悪化を招くため脂質制限が食事療法の柱です。蛋白質は適正に確保し、脂溶性ビタミンは欠乏に注意して必要に応じ補充します。糖質制限は膵性糖尿病合併時に検討し、禁酒も重要なポイントとなります。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:慢性膵炎(chronic pancreatitis)の患者の食事療法で制限が必要なのはどれか。

解説:正解は2の脂質です。膵臓は脂肪を消化するリパーゼを含む膵液を分泌しており、脂質摂取は膵外分泌を強く刺激して炎症の再燃や疼痛発作を誘発するため、慢性膵炎では脂質制限が食事療法の中心となります。一般に1日30〜35g以下の低脂肪食が推奨されます。

選択肢考察

  1. × 1.  糖質

    代償期の段階では糖質を一律に制限する必要はありません。非代償期に膵性糖尿病を併発した場合に血糖管理目的で糖質量を調整することはありますが、初期から制限対象になる栄養素ではありません。

  2. 2.  脂質

    脂質はコレシストキニン(CCK)分泌を強力に促し、膵酵素分泌を刺激して膵臓に負荷をかけます。腹痛発作や急性増悪の引き金となるため、低脂肪食が食事療法の柱です。

  3. × 3.  蛋白質

    蛋白質は組織修復や栄養維持に不可欠で、慢性膵炎ではむしろ高蛋白・適正エネルギーの食事が望まれます。膵酵素を強く刺激しない範囲で十分に摂取します。

  4. × 4.  脂溶性ビタミン

    脂質制限により脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収はむしろ低下しやすく、欠乏予防のため補充が必要となる場合もあります。制限すべき対象ではありません。

脂溶性ビタミン欠乏症は、Aで夜盲症、Dで骨軟化症・くる病、Eで溶血性貧血、Kで出血傾向を起こします。慢性膵炎では脂質吸収不良に伴いこれらの欠乏が起こりやすく、必要に応じて消化酵素薬や脂溶性ビタミン製剤で補います。アルコールは病態を悪化させるため厳禁です。

慢性膵炎の食事療法における制限対象栄養素を理解しているかを問う問題で、膵外分泌刺激の観点から脂質制限の意義を押さえることが重要です。