クローン病と潰瘍性大腸炎の違いを整理
看護師国家試験 第103回 午後 第86問 / 成人看護学 / 消化器・栄養代謝系
国試問題にチャレンジ
潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis)と比べたCrohn〈クローン〉病(Crohn disease)の特徴について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1.悪性化の頻度は低い。
- 2.瘻孔を併発しやすい。
- 3.初発症状は粘血便である。
- 4.炎症は大腸に限局している。
- 5.好発年齢は50歳以上である。
対話形式の解説
博士
今日は炎症性腸疾患の代表である潰瘍性大腸炎とクローン病を比較するぞ。両者の最大の違いは何だと思うかな。
アユム
病変部位の広がりが違うと習いました。
博士
その通り。潰瘍性大腸炎は直腸から大腸に連続性に起こるが、クローン病は口腔から肛門まで全消化管に飛び石状に起こる。
アユム
この問題でクローン病の特徴はどれですか。
博士
正解は1の悪性化の頻度は低いと、2の瘻孔を併発しやすいの2つじゃ。
アユム
瘻孔ができやすいのはなぜですか。
博士
クローン病は炎症が粘膜から漿膜まで及ぶ全層性じゃから、深く貫いて瘻孔・狭窄・膿瘍を作りやすい。痔瘻も特徴的じゃ。
アユム
潰瘍性大腸炎は粘膜層止まりなんですね。
博士
そうじゃ。だから瘻孔は作らないが、長期経過すると大腸癌リスクが高まる。クローン病の悪性化は相対的に低いんじゃ。
アユム
選択肢3の粘血便はどちらですか。
博士
粘血便は潰瘍性大腸炎の典型症状じゃ。クローン病は腹痛、特に右下腹部痛と下痢、体重減少、発熱が初発で多い。
アユム
炎症が大腸に限局するのも潰瘍性大腸炎ですね。
博士
その通り。クローン病は回腸末端部に好発するが全消化管に起こりうる。
アユム
好発年齢は50歳以上ではないんですね。
博士
両疾患とも10〜20歳代の若年成人に好発する。クローン病は男性に、潰瘍性大腸炎は男女ほぼ同等に発症するぞ。
アユム
違いがクリアになりました。
POINT
クローン病は全消化管に非連続性・全層性に炎症が及ぶため、瘻孔・狭窄・膿瘍を併発しやすい一方、悪性化頻度は潰瘍性大腸炎より低いのが特徴です。潰瘍性大腸炎は大腸粘膜に限局し粘血便を主症状とし、長期経過で大腸癌リスクが高まります。両疾患の部位・深さ・症状・合併症を比較して整理することが重要です。
解答・解説
正解は 1 ・ 2 です
問題文:潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis)と比べたCrohn〈クローン〉病(Crohn disease)の特徴について正しいのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は 1 と 2 です。クローン病は炎症が口腔から肛門までの全消化管に非連続性(skip lesion)に起こり、全層性の炎症のため瘻孔・狭窄・膿瘍を併発しやすいのが特徴です。一方、長期経過の潰瘍性大腸炎では大腸癌の合併リスクが高まるのに対し、クローン病からの悪性化頻度は相対的に低いとされます。
選択肢考察
-
○ 1. 悪性化の頻度は低い。
潰瘍性大腸炎は10年以上の経過で大腸癌リスクが高まるのに対し、クローン病からの癌化頻度は比較的低いとされます。
-
○ 2. 瘻孔を併発しやすい。
クローン病は粘膜から漿膜まで及ぶ全層性炎症のため、瘻孔・狭窄・膿瘍を生じやすいのが特徴です。潰瘍性大腸炎は粘膜層に限局するため瘻孔は形成しません。
-
× 3. 初発症状は粘血便である。
粘血便は潰瘍性大腸炎で典型的な初発症状です。クローン病の初発症状は腹痛(特に右下腹部痛)・下痢・体重減少・発熱が多いです。
-
× 4. 炎症は大腸に限局している。
潰瘍性大腸炎が大腸(特に直腸)に限局するのに対し、クローン病は口腔から肛門まで全消化管に非連続性に発生し、回腸末端部に好発します。
-
× 5. 好発年齢は50歳以上である。
クローン病の好発年齢は10〜20歳代の若年成人で、男性に多く発症します。50歳以上が好発というのは誤りです。
両者の鑑別ポイントは『部位(UC:直腸〜大腸連続性/CD:全消化管・非連続性)』『深さ(UC:粘膜層/CD:全層)』『主症状(UC:粘血便/CD:腹痛・下痢・体重減少)』『癌化(UC:高い/CD:相対的に低い)』『瘻孔・狭窄(UC:なし/CD:あり)』。CDでは肛門病変(痔瘻)も特徴的です。
炎症性腸疾患の代表である潰瘍性大腸炎とクローン病の病変部位・深さ・症状・合併症の違いを区別できるかを問う問題です。
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