StudyNurse

食道静脈瘤硬化療法EISの合併症を理解しよう

看護師国家試験 第105回 午後 第73問 / 成人看護学 / 消化器・栄養代謝系

国試問題にチャレンジ

105回 午後 第73問

待機的に行う食道静脈瘤硬化療法について正しいのはどれか。

  1. 1.全身麻酔下で行う。
  2. 2.前日に下剤を内服する。
  3. 3.治療後48時間の安静が必要である。
  4. 4.治療翌日の朝から常食を開始する。
  5. 5.治療後に胸部痛が出現する可能性がある。

対話形式の解説

博士 博士

今日は食道静脈瘤硬化療法、略してEISについて話すよ。主に肝硬変の患者さんで静脈瘤破裂を予防する治療だ。

サクラ サクラ

はかせ、食道静脈瘤って肝硬変と関係があるんですか?

博士 博士

いい質問だ。肝硬変で門脈圧が上がると、血液が側副血行路を通って食道粘膜下の静脈に流れ込んでコブ状に膨らむんだ。これが破裂すると大量吐血で命に関わる。

サクラ サクラ

それは怖いですね。EISはどうやって治療するんですか?

博士 博士

内視鏡を口から挿入して、静脈瘤に硬化剤を注射し血栓化・線維化させて潰すんだ。だから正解は「治療後に胸部痛が出現する可能性がある」だよ。

サクラ サクラ

胸痛が出るのはなぜですか?

博士 博士

硬化剤が化学的に食道粘膜を炎症させるからだ。粘膜潰瘍、最悪の場合は食道穿孔が起こりえて、穿孔すれば縦隔炎で胸痛が強くなる。看護師は胸痛・発熱・皮下気腫に注意が必要だ。

サクラ サクラ

「全身麻酔下で行う」はどうですか?

博士 博士

違うよ。咽頭の局所麻酔と鎮静剤の点滴で十分で、通常上部消化管内視鏡と同じ管理だ。全身麻酔はリスクが高くルーチンでは使わない。

サクラ サクラ

「前日に下剤を内服」はどうですか?大腸検査みたいな感じで。

博士 博士

食道は上部消化管だから下剤は不要だよ。前日夜からの絶食・絶飲水程度でOKだ。大腸内視鏡と混同しないようにね。

サクラ サクラ

「48時間の安静」は?

博士 博士

過剰だよ。当日はベッド上安静だが、翌日以降は合併症がなければ徐々に離床する。絶対安静は肺塞栓や褥瘡リスクも上げてしまうからね。

サクラ サクラ

「翌日の朝から常食」は感覚的に早すぎる気がします。

博士 博士

そのとおり。硬化剤を注入した食道粘膜はもろくなっていて、潰瘍もできている。流動食や軟食から始めて、段階的に食形態を上げるんだ。常食を出したら潰瘍穿孔の危険がある。

サクラ サクラ

よくわかりました。EIS以外にも治療法はあるんですか?

博士 博士

結紮術EVLもあるよ。Oリングで静脈瘤を縛って壊死脱落させる方法で、合併症が少ないので第一選択とされることが多い。どちらも看護上は胸痛・吐血・発熱の観察がカギだね。

POINT

食道静脈瘤硬化療法EISは肝硬変に伴う静脈瘤の破裂予防目的で行われ、局所麻酔下に内視鏡で硬化剤を注入します。合併症として胸痛・発熱・食道潰瘍・食道狭窄・食道穿孔があり、特に胸痛は穿孔の前駆症状として重要です。術後はベッド上安静で始め、食事は流動食から段階的に拡大します。前処置は絶食のみで下剤は不要です。

解答・解説

正解は 5 です

問題文:待機的に行う食道静脈瘤硬化療法について正しいのはどれか。

解説:正解は 5 です。食道静脈瘤硬化療法(EIS: Endoscopic Injection Sclerotherapy)は、肝硬変などで生じた食道静脈瘤に内視鏡下で硬化剤(エタノールアミンオレイン酸塩など)を注入し、静脈瘤を血栓化・線維化させて破裂を予防する治療です。局所麻酔(咽頭麻酔)+鎮静下で行われ、治療後は胸痛・発熱・嚥下障害・食道潰瘍・食道穿孔・食道狭窄などの合併症が起こり得ます。特に胸痛は薬液による化学的炎症や粘膜障害を反映するため、観察上重要な症状です。

選択肢考察

  1. × 1.  全身麻酔下で行う。

    EISは上部消化管内視鏡下に咽頭の局所麻酔と鎮静剤の静脈投与で施行されます。全身麻酔は通常必要ありません。

  2. × 2.  前日に下剤を内服する。

    食道は上部消化管であり、下部消化管内視鏡のような腸管前処置は不要です。前日夕から絶食・絶飲水とする程度の前処置で十分です。

  3. × 3.  治療後48時間の安静が必要である。

    術後当日はベッド上安静としますが、翌日以降は合併症がなければ段階的に離床・ADL拡大を図ります。48時間の絶対安静は過剰です。

  4. × 4.  治療翌日の朝から常食を開始する。

    硬化剤注入部位の粘膜は脆弱化しており、翌日は流動食や軟食から開始し、潰瘍形成や出血がないことを確認しながら段階的に食形態を上げます。いきなり常食は禁忌です。

  5. 5.  治療後に胸部痛が出現する可能性がある。

    硬化剤による化学的食道炎や粘膜障害、食道潰瘍、食道穿孔の前駆症状として胸痛が出現します。胸痛は穿孔や縦隔炎を示唆する重要所見であり、バイタル・発熱・皮下気腫とともに厳重観察が必要です。

食道静脈瘤の治療には硬化療法(EIS)のほかに結紮術(EVL: Endoscopic Variceal Ligation)があり、EVLはOリングで静脈瘤を縛って壊死脱落させる方法で合併症が少なく第一選択となることが多いです。EISの特徴的合併症は食道狭窄(硬化剤による粘膜下線維化)で、治療後数週間してから嚥下困難が出現することがあります。看護では、胸痛・吐血・下血・発熱・皮下気腫(穿孔サイン)・食物残渣のつかえを観察し、安静度・食事形態の段階的拡大を支援します。肝硬変患者が多いため、肝性脳症や出血傾向の管理も並行して行います。

食道静脈瘤硬化療法(EIS)の麻酔方法・前処置・合併症(特に胸痛)に関する正しい知識を問う問題です。