潰瘍性大腸炎とクローン病の違いを一発で見抜くコツ
看護師国家試験 第106回 午前 第82問 / 成人看護学 / 消化器・栄養代謝系
国試問題にチャレンジ
潰瘍性大腸炎( ulcerative colitis )の特徴で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1.遺伝性である。
- 2.直腸に好発する。
- 3.縦走潰瘍が特徴である。
- 4.大腸癌( colorectal cancer )の危険因子である。
- 5.大量の水様性下痢が特徴である。
対話形式の解説
博士
今回は国試超頻出の潰瘍性大腸炎についてじゃ。クローン病との鑑別はしっかり押さえておきたいのう。
アユム
潰瘍性大腸炎って名前の通り大腸に潰瘍ができる病気ですよね。でも具体的にどこにできやすいんでしょうか?
博士
良い質問じゃ。潰瘍性大腸炎は直腸から始まって、連続的に口側つまり上行性に広がっていく。だから直腸は100%病変があるんじゃ。
アユム
なるほど、直腸が好発部位なんですね。クローン病はどこにできるんですか?
博士
クローン病は口から肛門まで全消化管のどこにでもできるが、特に回盲部つまり小腸と大腸のつなぎ目に好発する。しかも病変が飛び飛びに現れる「非連続性」が特徴じゃ。
アユム
連続性と非連続性が大きな違いなんですね。潰瘍の形にも違いがありますか?
博士
あるぞ。クローン病は「縦走潰瘍」と「敷石像」が特徴。潰瘍が縦に長く走り、間の粘膜が石畳のように見えるんじゃ。一方、潰瘍性大腸炎はびまん性に粘膜が障害されて、びらんや浅い潰瘍が広がる。
アユム
選択肢3の縦走潰瘍はクローン病のものだから×なんですね。
博士
その通りじゃ。では便の性状はどうかの?
アユム
下痢…大量の水様便ですか?
博士
そこが間違えやすいポイントじゃ。潰瘍性大腸炎の特徴は「粘血便」や血便を伴う下痢。直腸にびらんがあるから出血するんじゃよ。水様便が大量に出るのは感染性腸炎などが多い。
アユム
あ、だから選択肢5は×なんですね。じゃあ選択肢4の「大腸癌の危険因子」というのは?
博士
これは正解じゃ。発症から10年以上経過した全大腸炎型では、大腸癌の発生リスクが健常者より有意に高まる。だから長期罹患の患者さんには定期的な内視鏡サーベイランスが推奨されておる。
アユム
難病で、しかも癌のリスクもあるんですね…。看護師として何を観察すれば?
博士
排便回数、血便の有無、腹痛、体重減少、発熱などじゃ。重症例では中毒性巨大結腸症という命に関わる合併症もあるので、腹部膨満感や頻脈にも注意が必要じゃ。
アユム
治療はどうするんですか?
博士
軽症〜中等症は5-ASA製剤、つまりメサラジンが基本。重症例ではステロイド、免疫調整薬、抗TNF-α抗体などの生物学的製剤、最近はJAK阻害薬も使われるぞ。
アユム
腸管外症状もあるって聞いたことがあります。
博士
よく知っておるな。関節炎、強膜炎・ぶどう膜炎、結節性紅斑、原発性硬化性胆管炎などが有名じゃ。国試でも腸管外症状は問われることがあるから覚えておくのじゃ。
POINT
潰瘍性大腸炎は大腸粘膜にびまん性・連続性の炎症とびらん・潰瘍を生じる原因不明の慢性炎症性腸疾患で、指定難病に位置付けられています。病変は直腸から連続的に口側へ広がり、粘血便を伴う下痢が主症状です。長期罹患例では大腸癌リスクが上昇するため、定期的な内視鏡サーベイランスが重要となります。クローン病との鑑別点(病変部位・連続性・潰瘍形態・便性状)は国試で繰り返し問われる基本事項であり、5-ASA製剤を中心とした治療、腸管外症状、中毒性巨大結腸症などの合併症とあわせて総合的に理解しておきましょう。
解答・解説
正解は 2 ・ 4 です
問題文:潰瘍性大腸炎( ulcerative colitis )の特徴で正しいのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は 2 と 4 です。潰瘍性大腸炎は大腸粘膜にびらんや潰瘍がびまん性・連続性に生じる原因不明の慢性炎症性腸疾患で、厚生労働省の指定難病に指定されている。病変は直腸から始まり連続的に口側(上行性)に広がるのが特徴で、直腸は最も好発する部位である。また、発症から10年以上経過した全大腸炎型では大腸癌の発生リスクが明らかに上昇することが知られており、定期的な大腸内視鏡によるサーベイランスが推奨されている。
選択肢考察
-
× 1. 遺伝性である。
原因は不明で、遺伝的素因に加え、免疫異常・腸内細菌叢・食生活・環境要因など複数の因子が関与する多因子疾患と考えられている。単純な遺伝性疾患ではない。
-
○ 2. 直腸に好発する。
潰瘍性大腸炎の病変は直腸から連続的に口側へ広がるのが特徴で、直腸炎型・左側大腸炎型・全大腸炎型に分類される。いずれの型でも直腸には病変がある。
-
× 3. 縦走潰瘍が特徴である。
縦走潰瘍・敷石像・非連続性病変(skip lesion)・全層性炎症はクローン病の特徴。潰瘍性大腸炎はびまん性・連続性で粘膜層〜粘膜下層にとどまる炎症が特徴である。
-
○ 4. 大腸癌( colorectal cancer )の危険因子である。
発症から10年以上経過した全大腸炎型で大腸癌リスクが有意に上昇する。長期罹患例には定期的な大腸内視鏡でのサーベイランスが推奨される。
-
× 5. 大量の水様性下痢が特徴である。
特徴的症状は粘血便・血便を伴う下痢で、1日に何回もの少量の排便となることが多い。大量水様便は感染性腸炎などを示唆する。
潰瘍性大腸炎とクローン病は合わせて炎症性腸疾患(IBD)と呼ばれ、鑑別が国試頻出。潰瘍性大腸炎は「大腸のみ・連続性・直腸から・粘血便・びまん性」、クローン病は「口から肛門まで全消化管・非連続性・回盲部好発・縦走潰瘍と敷石像・瘻孔や狭窄」と覚えるとよい。治療は5-ASA製剤(メサラジン、サラゾスルファピリジン)が基本で、重症例にはステロイド、免疫調整薬、生物学的製剤(抗TNF-α抗体など)、JAK阻害薬が使われる。合併症として中毒性巨大結腸症に注意が必要である。
炎症性腸疾患の二大疾患である潰瘍性大腸炎とクローン病の鑑別を問う頻出問題。病変部位と潰瘍の形、便性状の違いを押さえる。
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