慢性膵炎で絶対に避けたいのは?
看護師国家試験 第111回 午前 第45問 / 成人看護学 / 消化器・栄養代謝系
国試問題にチャレンジ
慢性膵炎患者(chronic pancreatitis)の食事療法で制限が必要なのはどれか。
- 1.蛋白質
- 2.カリウム
- 3.食物繊維
- 4.アルコール
対話形式の解説
博士
今日は慢性膵炎の食事療法じゃ。代償期・非代償期の両方を意識して考えるぞ。
サクラ
慢性膵炎って、どんな病気でしたっけ?
博士
長期の炎症で膵実質が線維化・石灰化し、外分泌・内分泌機能が徐々に低下する疾患じゃ。日本ではアルコール性が男性で最多、女性では特発性も多い。
サクラ
症状はどう変化しますか?
博士
代償期は反復する上腹部~背部痛の発作が主体、非代償期になると痛みは軽減するが、脂肪便・るい痩・膵性糖尿病が出現するのじゃ。
サクラ
では選択肢を見ていきましょう。正解は?
博士
4のアルコールじゃ。アルコールはそもそも慢性膵炎の最大原因であり、さらに膵液分泌刺激と膵管内圧上昇で急性増悪を起こす。
サクラ
量を減らせばよいのですか?
博士
原則断酒じゃ。少量の飲酒でも再燃のリスクが高まるのじゃよ。
サクラ
選択肢1の蛋白質は?
博士
栄養状態維持のため適量摂取が推奨される。制限の対象ではない。
サクラ
選択肢2のカリウムは?
博士
カリウムは腎疾患や高カリウム血症で制限する栄養素で、慢性膵炎では標準的に制限しない。
サクラ
選択肢3の食物繊維は?
博士
むしろ便通や血糖調整に役立つので制限は不要じゃ。
サクラ
脂肪はどうですか?
博士
よい質問じゃ。代償期では低脂肪食が基本で、1日30~40g程度に抑える。脂肪は膵液分泌を強く刺激するからの。
サクラ
禁煙も必要でしたよね?
博士
その通り。喫煙は膵外分泌機能低下と石灰化進行を促進する独立危険因子じゃ。
サクラ
非代償期の食事はどう変わりますか?
博士
消化酵素補充(パンクレリパーゼ)を併用し、脂肪制限はやや緩和してエネルギーを確保する。脂溶性ビタミンADEK不足にも注意じゃ。
サクラ
膵性糖尿病があると血糖管理も必要ですね。
博士
そのとおり。インスリン分泌もグルカゴン分泌も低下するため、低血糖になりやすい特徴があるんじゃ。
POINT
慢性膵炎の食事療法で最も厳格に制限すべきはアルコールで、断酒が原則です。代償期は低脂肪食、禁酒、禁煙、規則正しい食事を指導し、非代償期には膵酵素補充と脂溶性ビタミン補充、血糖管理を加えます。蛋白質・食物繊維・カリウムは通常制限しません。急性増悪予防と長期的な栄養状態維持の両立が重要です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:慢性膵炎患者(chronic pancreatitis)の食事療法で制限が必要なのはどれか。
解説:正解は 4 です。慢性膵炎はアルコール性が最多で、膵実質の線維化・石灰化・機能低下を来します。アルコールは膵液分泌を刺激し膵管内圧を上げて急性増悪(代償期の再発痛発作)を招くため、代償期・非代償期を問わず断酒が最重要です。代償期では低脂肪食(1日30~40g程度)とし、禁酒、禁煙、規則正しい食生活が基本となります。非代償期では消化酵素補充と血糖管理が加わります。
選択肢考察
-
× 1. 蛋白質
蛋白質は膵液分泌刺激が弱く、栄養状態維持のため適量摂取が推奨されます。制限する必要はありません。
-
× 2. カリウム
カリウム制限は腎不全や高カリウム血症で必要な指導であり、慢性膵炎の標準的な食事療法では制限は行いません。
-
× 3. 食物繊維
食物繊維は便通改善や糖尿病合併時の血糖管理に有用で、慢性膵炎で積極的に制限する根拠はありません。
-
○ 4. アルコール
アルコールは膵液分泌刺激と膵管内圧上昇を介して慢性膵炎の進展・急性増悪を直接引き起こす最大の危険因子です。原因を問わず断酒が基本であり、これが正解です。
慢性膵炎では代償期は腹痛発作が中心で、低脂肪食(脂肪30~40g/日)と禁酒・禁煙、カフェインや香辛料の控えめな摂取を指導します。非代償期では消化吸収障害によるるい痩・脂肪便、インスリン分泌低下による膵性糖尿病が出現し、膵酵素補充療法(パンクレリパーゼ)と脂溶性ビタミン補充、血糖管理(低血糖になりやすい点にも注意)が必要になります。
慢性膵炎の病態と進展因子を理解し、食事療法で最も厳格に制限すべきものがアルコールであることを選べるかを問う問題です。
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