歯を失う最大の理由!歯周病は歯肉炎と歯周炎の総称
看護師国家試験 第112回 午後 第29問 / 成人看護学 / 消化器・栄養代謝系
国試問題にチャレンジ
歯周病(periodontal disease)について正しいのはどれか。
- 1.原因はウイルス感染が多い。
- 2.発症の直接因子として飲酒がある。
- 3.真性ポケットが形成される歯周炎(periodontitis)を含む。
- 4.破壊が歯槽骨まで及んでいるのは歯肉炎(gingivitis)である。
対話形式の解説
博士
今回は歯周病を学ぶぞ。日本人が歯を失う原因の第1位で、看護師にとっても他人事ではない。
サクラ
歯周病って虫歯の仲間ですか?
博士
別物じゃ。虫歯は歯そのものが細菌の酸で溶ける病気、歯周病は歯を支える歯周組織(歯肉、歯根膜、歯槽骨、セメント質)に炎症が起こる病気じゃ。
サクラ
歯肉炎と歯周炎って何が違うんですか?
博士
良い質問じゃ。歯周病は歯肉炎と歯周炎の総称じゃ。歯肉炎は炎症が歯肉(歯ぐき)に限局した状態で、歯槽骨はまだ無事。適切な歯磨きで元に戻せる。
サクラ
歯周炎になると?
博士
炎症が進行して歯根膜や歯槽骨まで破壊が及ぶ。歯槽骨が吸収されて減ってしまい、歯と歯肉の境目が深くなり『真性歯周ポケット』が形成される。歯がぐらつき、最終的には抜け落ちてしまう。
サクラ
真性ポケットと仮性ポケットって違うんですか?
博士
うむ。仮性ポケットは歯肉の腫れだけで歯槽骨が減っていないもの、つまり歯肉炎のポケットじゃ。真性ポケットは歯槽骨吸収を伴うもので歯周炎のポケットじゃ。
サクラ
原因はやっぱり細菌ですか?
博士
そうじゃ。プラーク(歯垢)の中に住む嫌気性菌が主因で、特にPorphyromonas gingivalisなどの『レッドコンプレックス』と呼ばれる菌群が重症化に関与する。ウイルスが主原因ではない。
サクラ
リスク因子は他にもありますか?
博士
うむ。喫煙は最大のリスク因子と言われておる。糖尿病、ストレス、口呼吸、歯列不正、不良補綴物なども悪化因子じゃ。飲酒も関連因子ではあるが、直接の原因というより間接的じゃ。
サクラ
全身疾患との関係もあるって聞きます。
博士
そこが現代医学のホットトピックじゃ。歯周病と糖尿病は双方向性があり、歯周病治療でHbA1cが改善することが知られておる。さらに誤嚥性肺炎、動脈硬化、心血管疾患、早産低出生体重児、関節リウマチとの関連も報告されておる。
サクラ
看護師ができる関わりは?
博士
入院患者の口腔ケアは感染予防の基本じゃ。高齢者の誤嚥性肺炎予防には口腔内の細菌数を減らすことが有効で、看護師が行う口腔ケアは立派な医療行為じゃ。
サクラ
予防はどうすればいいですか?
博士
ブラッシング・デンタルフロス・歯間ブラシによるプラークコントロールと、定期的な歯科受診でのスケーリング(歯石除去)が基本じゃ。一度進行した歯周炎は完全には元に戻らないので、早期発見・早期介入が鉄則じゃ。
サクラ
『静かなる病気』と呼ばれるくらい自覚症状が少ないんですよね。
博士
その通り。痛みが出たときには相当進行しておることが多い。だからこそ予防と定期検診が大切なんじゃ。
POINT
歯周病は歯肉炎と歯周炎の総称で、歯肉炎では炎症が歯肉にとどまる可逆的な段階、歯周炎では歯槽骨の吸収まで及び真性歯周ポケットを形成する不可逆的段階です。主因はプラーク中の嫌気性菌で、喫煙・糖尿病・ストレスなどがリスクを高めます。近年は糖尿病・誤嚥性肺炎・動脈硬化・早産など全身疾患との関連が明らかになり、看護師による口腔ケアは全身の健康を守る重要な介入と位置づけられています。ブラッシング・歯間清掃・定期的なスケーリングによる予防と早期治療が、生涯自分の歯で食べるためのカギです。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:歯周病(periodontal disease)について正しいのはどれか。
解説:正解は 3 の『真性ポケットが形成される歯周炎(periodontitis)を含む』です。歯周病は歯肉に炎症が限局する『歯肉炎』と、炎症が歯槽骨や歯根膜まで及ぶ『歯周炎』の総称で、歯周炎では歯槽骨の破壊により深い真性歯周ポケットが形成されます。
選択肢考察
-
× 1. 原因はウイルス感染が多い。
歯周病の主因はプラーク(歯垢)中の細菌叢で、特にPorphyromonas gingivalis・Tannerella forsythia・Treponema denticolaなどの嫌気性菌(レッドコンプレックス)が代表的。ウイルスが主因ではない。
-
× 2. 発症の直接因子として飲酒がある。
直接因子はプラーク中の細菌。喫煙、糖尿病、ストレス、歯列不正、口呼吸、不良補綴物などはリスクを高める間接因子。飲酒は関連因子ではあるが直接因子ではない。
-
○ 3. 真性ポケットが形成される歯周炎(periodontitis)を含む。
歯周病は歯肉炎と歯周炎の総称。歯周炎では歯肉の炎症が歯槽骨の吸収まで進み、歯と歯肉の付着部が破壊されて真性歯周ポケットが形成される。
-
× 4. 破壊が歯槽骨まで及んでいるのは歯肉炎(gingivitis)である。
歯槽骨まで破壊が及ぶのは『歯周炎』。歯肉炎は炎症が歯肉にとどまる段階で、適切なプラークコントロールで可逆的に治癒する。
歯周ポケットには仮性ポケット(歯肉の腫脹だけで歯槽骨吸収はないもの、歯肉炎に対応)と真性ポケット(歯槽骨吸収を伴うもの、歯周炎に対応)がある。歯周病は『静かなる疾患』と呼ばれ自覚症状に乏しいまま進行し、日本人成人の過半が何らかの歯周病を持つ。近年は糖尿病との双方向性関連(歯周病治療でHbA1cが改善する)、誤嚥性肺炎、動脈硬化、早産低出生体重児、関節リウマチなど全身疾患との関連が注目され、口腔ケアは看護師の重要業務となっている。予防にはブラッシング・フロス・歯間ブラシによるプラークコントロールと、定期的な歯科検診・スケーリングが基本。
歯周病が『歯肉炎+歯周炎』の総称であること、原因がプラーク中の細菌であること、歯槽骨破壊を伴うのが歯周炎で真性ポケットを形成することを押さえる問題。
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