過呼吸は『深い』、頻呼吸は『速い』——呼吸パターン用語を完全整理
看護師国家試験 第109回 午後 第18問 / 必修問題 / 看護の基本技術
国試問題にチャレンジ
過呼吸で正しいのはどれか。
- 1.吸気時に下顎が動く。
- 2.1 回換気量が増加する。
- 3.呼吸数が 24 /分以上になる。
- 4.呼吸リズムが不規則になる。
対話形式の解説
博士
今日は呼吸の見方じゃ。『過呼吸』と『頻呼吸』の違いを説明できるかの?
アユム
うーん、どっちも呼吸が早くなるイメージで混ざってしまいます…。
博士
そこがひっかけなのじゃ。過呼吸は『深さ』の異常、頻呼吸は『回数』の異常。定義がまったく違う。
アユム
過呼吸って1回換気量が増えているってことですか?
博士
その通り。1回に吸う空気量が多い深い呼吸じゃ。結果としてCO₂排出量が増え、血液がアルカリ性に傾く。これが過換気症候群の本質じゃ。
アユム
過換気症候群ではしびれやテタニーが起こりますよね?
博士
そう。血液pHが上がるとCa²⁺が血漿アルブミンに結合して遊離Caが減少し、神経筋興奮性が亢進する。手指のしびれ、口周囲のしびれ、助産師手位のテタニー発作が起こる。
アユム
治療はどうするんですか?
博士
昔は紙袋再呼吸法が有名だったが、低酸素のリスクから現在は推奨されない。安心させてゆっくり呼吸を促す、腹式呼吸を意識してもらうのが基本じゃ。
アユム
頻呼吸は何回以上でしたっけ?
博士
成人で25回/分以上が目安。発熱・肺炎・心不全・貧血・不安・敗血症などで生じる。逆に12回/分未満は徐呼吸で、中枢抑制や薬物中毒などじゃ。
アユム
リズム異常にはどんなものがありますか?
博士
有名なのはチェーンストークス呼吸——無呼吸→浅→深→浅→無呼吸を周期的に繰り返す。心不全や中枢神経障害で出現する。ビオー呼吸は無呼吸と頻呼吸を不規則に繰り返し、延髄障害を示唆する。
アユム
クスマウル呼吸は?
博士
深くて速い呼吸で、糖尿病ケトアシドーシスなど代謝性アシドーシスの代償で出現する。これも過呼吸の一種と言える。
アユム
下顎呼吸はどんな状態なんですか?
博士
終末期や重度呼吸不全でみられる努力呼吸で、下顎を上下させてあえぐように呼吸する。死期が近づいたサインじゃ。家族への説明と環境整備が重要になる。
アユム
呼吸パターンを『回数・深さ・リズム・努力性』の4軸で整理すれば混乱しないですね!
博士
まさに。呼吸は循環・意識と並ぶバイタルの要。正しい用語で記録しチームで共有することが患者の予後に直結するぞ。
POINT
過呼吸は1回換気量が増加した深い呼吸のことで、呼吸回数の増加を指す頻呼吸とは別概念です。過換気症候群では呼吸性アルカローシスによるしびれ・テタニー・めまいを呈し、紙袋再呼吸法は低酸素リスクから現在は推奨されず安心・ゆっくり呼吸の声かけが第一選択となります。呼吸異常は『回数(頻呼吸・徐呼吸)』『深さ(過呼吸・低呼吸)』『リズム(チェーンストークス・ビオー・クスマウル)』『努力性(下顎呼吸・鼻翼呼吸・陥没呼吸)』の4軸で整理すると混乱せず、正確な記録とチーム共有が可能になります。呼吸の変化は循環・意識と並ぶ急変の早期徴候であり、看護師の観察力が患者の予後を左右する重要な領域です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:過呼吸で正しいのはどれか。
解説:正解は 2 です。過呼吸(hyperpnea)とは『1回換気量が増加した深い呼吸』を指し、呼吸回数そのものよりも呼吸の深さの異常に注目した用語である。運動時や代謝性アシドーシスの代償(クスマウル呼吸)、過換気症候群などでみられる。一方、呼吸回数が24回/分以上に増えた状態は『頻呼吸(tachypnea)』、呼吸リズムが不規則になるのはチェーンストークス呼吸やビオー呼吸などのリズム異常、吸気時に下顎が動くのは終末期の下顎呼吸で、それぞれ区別する。
選択肢考察
-
× 1. 吸気時に下顎が動く。
これは下顎呼吸で、終末期や重度の呼吸不全・意識障害でみられる死前喘鳴に近い努力呼吸。下顎を上下させあえぐように呼吸する。過呼吸とは病態が全く異なる。
-
○ 2. 1 回換気量が増加する。
過呼吸の定義そのもの。1回に吸い込む空気量が増えた深い呼吸で、結果として肺胞換気量が増えCO₂排出量が増す。過換気症候群では呼吸性アルカローシスとなりテタニー・しびれ・めまいを呈する。
-
× 3. 呼吸数が 24 /分以上になる。
これは頻呼吸の定義。成人の正常呼吸数は12〜20回/分で、25回/分以上が頻呼吸の目安。発熱・肺炎・心不全・不安などで生じる。過呼吸とは別概念。
-
× 4. 呼吸リズムが不規則になる。
リズム異常にはチェーンストークス呼吸(無呼吸→浅→深→浅→無呼吸を周期的に繰り返す)、ビオー呼吸(無呼吸と頻呼吸を不規則に繰り返す)などがある。過呼吸はリズム自体は規則的。
呼吸異常は『回数』『深さ』『リズム』『努力性』の4軸で整理すると混乱しない。回数:頻呼吸(≥25)/徐呼吸(<12)/無呼吸。深さ:過呼吸(深い)/低呼吸(浅い)。リズム:チェーンストークス/ビオー/クスマウル(深く速い、代謝性アシドーシス代償)。努力性:下顎呼吸/鼻翼呼吸/陥没呼吸/起座呼吸。過換気症候群では紙袋再呼吸法(ペーパーバッグ法)は現在では酸素低下のリスクから推奨されず、安心させてゆっくり呼吸を促すのが第一選択。
呼吸パターンの用語を正確に区別する問題。過呼吸=深さの異常、頻呼吸=回数の異常、チェーンストークス=リズムの異常と整理する。
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