バレー徴候の見方ー錐体路障害を見逃さない診察技術
看護師国家試験 第106回 午前 第39問 / 基礎看護学 / 看護における基本技術
国試問題にチャレンジ
Barré〈バレー〉徴候の査定の開始時と判定時の写真を別に示す。左上肢のBarré〈バレー〉徴候陽性を示すのはどれか。
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1.
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2.
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3.
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4.
対話形式の解説
博士
今日はバレー徴候を学ぶぞ。画像問題じゃが、手技と判定基準を正確に覚えれば迷わない。
サクラ
バレー徴候って、どういう意味のテストなんですか?
博士
錐体路(中枢神経から筋肉までの運動指令路)の障害による軽度の片麻痺を検出するテストじゃ。脳卒中の初期や小梗塞を見逃さないために使う。
サクラ
どうやって行うんですか?
博士
手順は4つ。①両上肢を肩の高さで前に挙げる、②手掌を上向き(回外位)にする、③肘を伸ばす、④目を閉じて10〜30秒保持させる。これだけじゃ。
サクラ
なぜ閉眼させるんですか?
博士
視覚で姿勢を補正させないためじゃ。視覚情報を遮断することで、より純粋な運動制御の左右差が出る。
サクラ
陽性の判定基準は?
博士
麻痺側の上肢だけが「回内(手掌が内側〜下向きに回る)」しながら「下降」する。両方そろって陽性と判定する。
サクラ
選択肢2みたいに、ただ下がるだけじゃダメなんですか?
博士
ただの下降は肩関節痛や筋力低下でも起こる。「回内+下降」のセットが錐体路障害の特徴的所見じゃ。
サクラ
選択肢3の両側下降は?
博士
全身性の筋力低下や加齢、理解不足などの可能性があり、片側性の錐体路障害を示すバレー徴候陽性とは言えない。
サクラ
選択肢4が正解なんですね。画像で左上肢が回内しながら下がっているのが見える形になる。
博士
その通り。左上肢の回内下降=右大脳半球の錐体路障害を示唆する。
サクラ
下肢のバレー徴候もあるんですか?
博士
ある。腹臥位で両膝を90°屈曲させ、保持させる。麻痺側の下肢が徐々に下降すれば陽性。Mingazzini徴候とも関連する。
サクラ
他にも錐体路障害を見るテストはありますか?
博士
Babinski反射(足底を擦って母趾が背屈すれば陽性)、Chaddock反射、Hoffmann反射、下顎反射亢進などがある。
サクラ
脳卒中の早期発見のサインとして「FAST」って聞きました。
博士
FASTは一般向けの症状確認ツールじゃ。Face(顔の左右差・口角下垂)、Arms(腕の片側が下がるか=簡易バレー)、Speech(ろれつ)、Time(発症時刻確認して救急要請)。一般の人でも判定できるよう簡素化されたもので、バレー徴候の考え方がベースになっておる。
サクラ
発症時刻が大事なのはなぜですか?
博士
t-PA(血栓溶解療法)の投与可能時間が発症4.5時間以内、血管内治療も時間制限があるから、発症時刻が治療方針を決める。
サクラ
バレー陽性を見つけたら、何を最優先で行いますか?
博士
意識・バイタル確認、他の神経症状の評価、発症時刻の確認、そして速やかに医師報告・CT/MRIの手配じゃ。脳卒中は時間との勝負(Time is Brain)。
サクラ
たった数十秒の診察で脳卒中を拾えるんですね。
POINT
Barré(バレー)徴候は錐体路障害による軽度の片麻痺を検出する神経診察で、両上肢を肩の高さで前方挙上し、手掌を上向き・肘伸展・閉眼のまま10〜30秒保持させ、麻痺側上肢が「回内しながら下降」すれば陽性です。正解は左上肢がこの典型像を示す選択肢4。ただの下降や両側下降は陽性とは言えません。脳卒中の早期発見ツールFAST(Face・Arms・Speech・Time)のArmsにも応用される基本手技で、Babinski反射など他の錐体路徴候と併せて評価されます。発見時は意識・バイタル確認、発症時刻把握、速やかな医師報告と画像診断が看護師の初期対応として極めて重要です(Time is Brain)。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:Barré〈バレー〉徴候の査定の開始時と判定時の写真を別に示す。左上肢のBarré〈バレー〉徴候陽性を示すのはどれか。
解説:正解は 4 です。Barré(バレー)徴候は、錐体路障害による軽度の運動麻痺を検出するための古典的神経学的徴候です。両上肢を肩の高さで前方挙上し、手掌を上向き・肘を伸展した状態で閉眼して保持させると、麻痺側の上肢だけが徐々に回内しながら下降します。正解の画像は左上肢が回内・下降している状態を示すもので、これが「左上肢のバレー徴候陽性」です。
選択肢考察
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× 1.
画像からは右上肢が挙上し、左上肢に特徴的な回内下降が見られない配置と判断できる。バレー徴候陽性の所見とは一致しない。
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× 2.
左上肢が下がっていても、回内(手掌が下を向く)が伴っていなければバレー徴候とはいえない。単なる筋力低下や肩関節の問題の可能性。
-
× 3.
両上肢が下降している状態はバレー徴候陽性の典型像ではない。片側性の回内・下降が要件。
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○ 4.
左上肢が回内しながら下降している典型的なバレー徴候陽性所見。錐体路障害による軽度の片麻痺を示唆する。
バレー徴候は軽度の錐体路徴候を拾う感度の高い診察手技で、脳卒中(特に軽度の脳梗塞)、脳腫瘍、脊髄病変などを疑う場面で用いられる。手順:①両上肢を肩の高さに前方挙上、②手掌を上向きに(回外位)、③肘を伸展、④目を閉じさせ10〜30秒保持。陽性所見は「麻痺側上肢の回内+下降」。下肢のバレー徴候は腹臥位で両膝を90°屈曲させ、麻痺側の下肢が下降することで判定する(Mingazzini徴候との関連あり)。他の錐体路徴候としてBabinski反射、Chaddock反射、Hoffmann反射、下顎反射亢進などがある。脳卒中の超急性期対応のFASTサイン(Face・Arms・Speech・Time)にもArmsの評価として近い概念が含まれる。
バレー徴候の手技と陽性所見(麻痺側上肢の回内+下降)を理解しているかを問う神経診察の基本問題。画像を使って実際の臨床像と結びつけて学ぶ必要がある。
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