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「汗が出て手が震える」原因は?76歳糖尿病患者への指導

看護師国家試験 第107回 午前 第108問 / 老年看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第108問

Aさん( 76歳、女性 )は、長女( 46歳、会社員 )との2人暮らし。Aさんは5年前に2型糖尿病( type 2 diabetes mellitus )と診断された。1年前から血糖測定とインスリン自己注射を朝1回行っている。炊事は主にAさんが担当している。Aさんは、長女の帰宅に合わせて夕食を摂るため、夕食時間にばらつきがある。定期の外来受診時にAさんは「時々汗が出て手が震えることがあります」と外来看護師に相談した。Aさんのバイタルサインは、体温36.4℃、脈拍74/分、血圧128/80mmHg。身長154cm、体重68kgである。 このとき、外来看護師がAさんに行う指導で適切なのはどれか。

  1. 1.糖質を含まない水分を摂取する。
  2. 2.労作後は食事摂取量を増やす。
  3. 3.決まった食事時間を設定する。
  4. 4.空腹感に応じて食事を摂る。

対話形式の解説

博士 博士

今度は76歳のAさん、2型糖尿病でインスリン自己注射中の事例じゃ。

アユム アユム

訴えは「時々汗が出て手が震える」ですね。何の症状でしょうか?

博士 博士

これは典型的な低血糖の交感神経症状じゃ。他にどんな症状がある?

アユム アユム

動悸、顔面蒼白、空腹感、不安感などですね。進行すると眠気や集中力低下、さらに意識障害に進みます。

博士 博士

そう。では低血糖の原因を考えよう。Aさんの生活を振り返ってみよ。

アユム アユム

朝1回インスリン注射、夕食時間がばらつく、長女の帰宅に合わせているので遅くなることも。

博士 博士

そこじゃ。インスリンの作用時間と食事時間が合わないと低血糖が起きる。

アユム アユム

夕食が遅くなれば、日中の活動でエネルギーを使いきって血糖が下がってしまうんですね。

博士 博士

選択肢を見ていこう。1の糖質を含まない水分を摂るのは?

アユム アユム

低血糖対策としては逆効果ですね。糖分が入っていないと血糖は上がりません。

博士 博士

2の労作後に食事量を増やすは?

アユム アユム

労作後の補食は理にかなう場面もありますが、「食事量を増やす」という表現だと総エネルギーが過剰になります。血糖管理の観点では慎重にすべきですね。

博士 博士

3の決まった食事時間を設定するは?

アユム アユム

これが本命ですね。インスリン作用と食事のタイミングを揃えることが低血糖予防の基本です。

博士 博士

4の空腹感に応じて食事を摂るは?

アユム アユム

高齢者は空腹感が鈍くなりやすいですし、そもそもインスリンを使っているので感覚任せは危険です。

博士 博士

その通りじゃ。正解は3。

アユム アユム

では低血糖が実際に起こったときの対処も整理しておきたいです。

博士 博士

意識があるならブドウ糖10g、なければ清涼飲料水150〜200mLを摂り、15分後に血糖を再測定する。

アユム アユム

改善しなければ再度摂取、それでもダメなら救急搬送ですね。

博士 博士

意識がなければ経口摂取は誤嚥リスクがあるから禁忌。家族がグルカゴンを注射できるようにしておくとよい。

アユム アユム

低血糖の予防と対処、両方を指導することが大切なんですね。

博士 博士

そしてAさんのように家族の生活リズムに引きずられて食事時間が乱れる高齢者には、家族を巻き込んだ生活設計の提案も必要じゃ。

POINT

インスリン使用中の高齢糖尿病患者が発汗・振戦を訴えた場合、まず低血糖を疑います。Aさんのケースでは夕食時間のばらつきがインスリン作用との不一致を生み、低血糖を誘発していると考えられます。最も適切な指導は食事時間を一定にすること、つまり血糖変動を小さくする生活リズムの確立です。糖質を含まない水分摂取や空腹感任せの食事は不適切で、労作後の食事増量も血糖管理を乱しやすいため慎重に対応します。あわせて低血糖時の対処法や補食携帯も指導しましょう。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:Aさん( 76歳、女性 )は、長女( 46歳、会社員 )との2人暮らし。Aさんは5年前に2型糖尿病( type 2 diabetes mellitus )と診断された。1年前から血糖測定とインスリン自己注射を朝1回行っている。炊事は主にAさんが担当している。Aさんは、長女の帰宅に合わせて夕食を摂るため、夕食時間にばらつきがある。定期の外来受診時にAさんは「時々汗が出て手が震えることがあります」と外来看護師に相談した。Aさんのバイタルサインは、体温36.4℃、脈拍74/分、血圧128/80mmHg。身長154cm、体重68kgである。 このとき、外来看護師がAさんに行う指導で適切なのはどれか。

解説:正解は3です。Aさんの「汗が出て手が震える」という訴えは低血糖の交感神経症状(発汗、振戦、動悸、顔面蒼白、空腹感)の典型像です。朝1回のインスリン自己注射を行い、かつ長女の帰宅に合わせて夕食時間がばらつくという背景を考えると、インスリン作用時間と食事時間のミスマッチによる空腹時低血糖が疑われます。対策として最も適切なのは、食事時間を一定にしてインスリン作用と食事のタイミングを揃えることです。規則正しい食事リズムは血糖変動を抑え、低血糖と高血糖の両方を予防する基本となります。

選択肢考察

  1. × 1.  糖質を含まない水分を摂取する。

    低血糖時にはブドウ糖や糖分を含む飲料を速やかに摂る必要があります。糖質を含まない水分では血糖は上がらず、症状は改善しません。

  2. × 2.  労作後は食事摂取量を増やす。

    労作後の食事量を増やすのは一時的な低血糖対策にはなり得ますが、食事量増加は総エネルギー量を乱し血糖管理を悪化させる恐れがあります。予防的には運動前の補食や運動時間の調整が適切です。

  3. 3.  決まった食事時間を設定する。

    インスリン使用者では食事時間の一定化が低血糖予防の基本です。Aさんの夕食時間のばらつきが原因と考えられるため、規則的な食事時間の設定が最適です。

  4. × 4.  空腹感に応じて食事を摂る。

    高齢者は空腹感の感覚が鈍くなりやすく、空腹感任せでは食事時間が不規則になりかえって低血糖を招きます。時間を決めて摂る方が安全です。

低血糖の初期症状は交感神経症状(発汗・振戦・動悸・空腹感)、進行するとめまい・眼のかすみ・集中力低下などの中枢神経症状、さらに進むと意識障害・痙攣に至ります。対処はブドウ糖10g(清涼飲料水150〜200mL)を摂取し15分後に再評価、改善なければ再度摂取。意識がなければ経口は避けグルカゴン投与や救急搬送です。外出時は必ずブドウ糖や補食を携帯するよう指導します。

インスリン使用中の高齢者に出現する低血糖症状への指導として最も優先度の高い生活指導を問うています。