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「歩けるようになりたい」を叶える介護サービスは? ―通所リハの役割を学ぶ

看護師国家試験 第109回 午前 第102問 / 老年看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

109回 午前 第102問

次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん( 80 歳、男性)は、妻( 80 歳)と 2 人暮らし。血管性認知症( vascular dementia )でパーキンソニズムがみられる。認知症高齢者の日常生活自立度判定基準ランクⅡb、要介護 2 。普段は妻がAさんの身の回りの世話をしているが、妻が入院したため短期入所療養介護のサービスを受けることになった。入所時のAさんは歩行開始困難、加速歩行、すくみ足などの歩行障害がみられた。Aさんは「最近、家の中でつまずくことが多くなりました」と入所中の施設の看護師に話した。 Aさんは「もっと歩けるようになりたい。妻の負担にならずに生活できるようになりたい」と話している。 退所後にAさんが利用する介護給付におけるサービスで最も適切なのはどれか。

  1. 1.訪問介護
  2. 2.療養通所介護
  3. 3.通所リハビリテーション
  4. 4.認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉

対話形式の解説

博士 博士

続いてAさんの退所後サービスの問題じゃ。「もっと歩けるようになりたい、妻の負担にならずに生活したい」という希望があるぞ。

アユム アユム

本人の意向がはっきりしていますね。歩きたい=リハビリって考えると、通所リハビリテーションでしょうか?

博士 博士

その通りじゃ。通所リハビリテーション、通称デイケアは、医療機関・介護老人保健施設・診療所などに通って、医師の指示のもとで理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がリハビリを提供する介護給付サービスじゃ。

アユム アユム

通所介護(デイサービス)とどう違うんですか?

博士 博士

よくぞ聞いてくれた!ここは国試頻出じゃ。デイサービス(通所介護)は日常生活の支援と生活機能訓練が中心で、医師の指示は不要。一方デイケア(通所リハ)は医師の指示のもと医療専門職が個別リハビリを行う。医療色が強いのがデイケアじゃ。

アユム アユム

なるほど。じゃあ1の訪問介護はなぜ違うんですか?

博士 博士

訪問介護はヘルパーが自宅で入浴・排泄・食事などの身体介護や、掃除・調理などの生活援助を行うサービスじゃ。生活支援としては有用じゃが、機能訓練は主目的ではない。

アユム アユム

2の療養通所介護って、通所リハとどう違うんですか?

博士 博士

療養通所介護は常時看護師の医療的観察が必要な重度要介護者や難病患者、がん末期患者などが対象じゃ。Aさんは医療的ケアを常時要する状態ではないから対象要件に合わんのじゃ。

アユム アユム

4のグループホームは?

博士 博士

認知症対応型共同生活介護は認知症高齢者が5〜9人で少人数共同生活を送る入居型サービスじゃ。Aさんは妻との生活を続けたいと希望しておるから、入居系は合わんのじゃよ。

アユム アユム

パーキンソニズムのある人のリハビリってどんなことをするんですか?

博士 博士

歩行のすくみ足に対してはリズム音や視覚的な目印(床に線を引くなど)を使った「外的手がかり歩行訓練」、加速歩行対策には歩幅を意識する訓練、バランス訓練、起立・方向転換練習などじゃ。転倒予防の環境調整も並行して行う。

アユム アユム

デイケアに通うことで家族の負担も減りますね。

博士 博士

うむ、送迎・入浴・食事もセットで利用できることが多いから、介護する妻のレスパイトケアにもなる。Aさんの「妻の負担にならず」という希望にも応えられるのじゃ。

アユム アユム

要介護2だと区分支給限度額もあるんですよね?

博士 博士

その通り、要介護2は月約19万7千円程度が区分支給限度基準額じゃ。ケアマネジャーがサービスを組み合わせてケアプランを作成する。国試では限度額の数字より「サービスの種類と目的」をしっかり押さえておけば十分じゃよ。

POINT

「歩けるようになりたい、妻の負担にならずに生活したい」と希望するAさんの退所後サービスとしては、通所リハビリテーション(デイケア)が最も適切です。医師の指示のもと理学療法士・作業療法士などの専門職が機能訓練を提供し、パーキンソニズムによる歩行障害の改善・維持を図れるサービスで、要介護2のAさんは介護給付の対象となります。訪問介護は生活支援が中心で機能訓練は主目的でなく、療養通所介護は常時医療的ケアが必要な重度者向け、グループホームは自宅生活継続を望むAさんには合いません。介護保険サービスは「本人の希望」と「病態」の両方を踏まえて選択する視点が重要です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん( 80 歳、男性)は、妻( 80 歳)と 2 人暮らし。血管性認知症( vascular dementia )でパーキンソニズムがみられる。認知症高齢者の日常生活自立度判定基準ランクⅡb、要介護 2 。普段は妻がAさんの身の回りの世話をしているが、妻が入院したため短期入所療養介護のサービスを受けることになった。入所時のAさんは歩行開始困難、加速歩行、すくみ足などの歩行障害がみられた。Aさんは「最近、家の中でつまずくことが多くなりました」と入所中の施設の看護師に話した。 Aさんは「もっと歩けるようになりたい。妻の負担にならずに生活できるようになりたい」と話している。 退所後にAさんが利用する介護給付におけるサービスで最も適切なのはどれか。

解説:正解は 3 です。Aさんの希望は「歩けるようになりたい」「妻の負担にならずに生活したい」という機能回復・維持と自立支援の両立です。通所リハビリテーション(デイケア)は、医師の指示のもと医療機関や介護老人保健施設に通い、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などが機能訓練を提供する介護保険サービスで、パーキンソニズムによる歩行障害の改善・維持に直接的に応えられます。要介護2のAさんは介護給付の対象であり、入浴・食事・送迎も併用できるため妻の負担軽減にもつながります。

選択肢考察

  1. × 1.  訪問介護

    ホームヘルパーが自宅を訪問して入浴・排泄・食事などの身体介護や調理・洗濯などの生活援助を行うサービス。生活支援には有用だが、リハビリテーションは提供されず「歩けるようになりたい」というAさんの希望には直接応えられない。

  2. × 2.  療養通所介護

    常時看護師の医療的観察が必要な重度要介護者や難病患者、がん末期患者などが対象の通所サービス。Aさんは医療的ケアを常時必要とする状態ではないため対象要件に合わない。

  3. 3.  通所リハビリテーション

    医療機関・老健などに通い医師の指示のもとリハビリ専門職が機能訓練を行うサービス。歩行訓練やバランス訓練を通じ、パーキンソニズムによる歩行障害の改善・維持が期待でき、Aさんの自立希望に合致する。

  4. × 4.  認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉

    認知症高齢者が少人数で共同生活を送る入所型サービス。妻と同居する生活継続を希望しているAさんに、自宅を離れる入居サービスは適さない。

介護保険サービスは大きく「介護給付(要介護1〜5)」「予防給付(要支援1・2)」に分かれる。通所系では①通所介護(デイサービス:生活機能訓練中心)、②通所リハビリテーション(デイケア:医師の指示のもと医療専門職による機能訓練)、③療養通所介護(常時医療的観察が必要な重度者向け)の3種がある。パーキンソニズムのある高齢者ではすくみ足・加速歩行により転倒リスクが高く、個別リハビリと環境調整(手すり・段差解消)の併用が推奨される。

利用者の希望(機能回復)と病態(血管性認知症+パーキンソニズム)に合致する介護保険サービスを選ぶ問題。各サービスの目的と対象者の違いを押さえる。