ホルモンの「どこから出る?」を一気に整理
看護師国家試験 第106回 午前 第30問 / 人体の構造・機能 / 内分泌系
国試問題にチャレンジ
ホルモンと分泌部位の組合せで正しいのはどれか。
- 1.サイロキシン -------- 副甲状腺
- 2.テストステロン ------ 前立腺
- 3.バソプレシン -------- 副腎皮質
- 4.プロラクチン -------- 下垂体前葉
対話形式の解説
博士
今回はホルモンと分泌部位の組合せ問題じゃ。内分泌系は暗記量が多いが、ポイントを押さえれば怖くないぞ。
アユム
選択肢を見ると、似たような名前で混乱しやすいです。
博士
まず正解から行こう。プロラクチン=下垂体前葉、これが正しい組合せじゃ。プロラクチンは乳汁産生を促すホルモンじゃな。
アユム
プロラクチンってどう調節されるんですか?
博士
面白い仕組みでな、視床下部から分泌されるドパミン(プロラクチン抑制ホルモン、PIH)によって常に抑制されておる。つまり授乳や妊娠でドパミンの抑制が外れるとプロラクチンが増えるのじゃ。
アユム
なるほど、抑制を抑制することで分泌するんですね。
博士
そうじゃ。抗精神病薬などドパミン受容体を遮断する薬で高プロラクチン血症が起こるのもそのためじゃ。
アユム
サイロキシンは甲状腺ですよね?副甲状腺じゃなくて。
博士
正解じゃ。甲状腺からはサイロキシン(T4)、トリヨードサイロニン(T3)、カルシトニンが分泌される。一方、副甲状腺からはパラソルモン(PTH)じゃ。名前が似ているが機能は全く違うぞ。
アユム
パラソルモンは何をするホルモンでしたっけ?
博士
血中カルシウム濃度を上げるホルモンじゃ。骨からカルシウムを溶かし、腎尿細管で再吸収を促し、腸でビタミンD活性化を介して吸収を促進する。
アユム
テストステロンは精巣ですよね?前立腺じゃなくて。
博士
その通り。精巣のライディッヒ細胞から分泌される。一部は副腎皮質網状層からも出ておる。前立腺は精液成分を作る生殖腺で、ホルモン分泌器官ではないぞ。
アユム
前立腺肥大症とかで関係するのはテストステロンですよね?
博士
正しい。テストステロンが5α還元酵素でジヒドロテストステロン(DHT)になり、これが前立腺肥大を促す。治療薬のフィナステリドはこの酵素を阻害するのじゃ。
アユム
バソプレシンは下垂体「後葉」ですよね?前葉じゃなくて。
博士
そうじゃ。視床下部の室傍核・視索上核で合成されて、下垂体後葉から放出される。後葉はホルモンを「作る」のではなく「貯めて放出する」のが特徴じゃ。
アユム
バソプレシンの作用は?
博士
腎集合管での水再吸収を促進する。だから別名「抗利尿ホルモン(ADH)」じゃな。分泌不足で尿崩症、過剰でSIADH(抗利尿ホルモン不適切分泌症候群)になる。
アユム
副腎皮質からは何が出るんですか?
博士
3層構造で、外層の球状帯からアルドステロン、中層の束状帯からコルチゾール、内層の網状帯から副腎アンドロゲン。副腎髄質からはアドレナリン・ノルアドレナリンじゃ。
アユム
下垂体前葉と後葉の区別、甲状腺と副甲状腺、精巣と前立腺、この3つの混同がトラップになりそうですね。
博士
まさにその通りじゃ。国試ではこの混同を狙った問題が定番。表にして貼っておくとよいぞ。
アユム
内分泌系は体系的に覚えると応用が効きますね。
博士
その通り。個別暗記ではなく、どの器官がどのホルモンを出すかをマップで覚えるのが最短ルートじゃよ。
POINT
本問はホルモンと分泌部位の対応を問う典型的な内分泌問題で、正解はプロラクチン─下垂体前葉の組合せです。サイロキシンは甲状腺(副甲状腺ではない)、テストステロンは精巣(前立腺ではない)、バソプレシンは下垂体後葉(副腎皮質ではない)から分泌されます。下垂体前葉と後葉、甲状腺と副甲状腺、精巣と前立腺といった「紛らわしいペア」の区別が得点の決め手です。主要な内分泌腺と代表ホルモンを体系的に整理しておくことで、類題への応用力も身につきます。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:ホルモンと分泌部位の組合せで正しいのはどれか。
解説:正解は 4 の「プロラクチン ─ 下垂体前葉」です。プロラクチン(PRL)は下垂体前葉から分泌されるホルモンで、乳腺の発達と乳汁産生を促進します。妊娠中から分泌が高まり、分娩後の授乳刺激によってさらに増加します。他の選択肢はいずれも分泌部位が誤っており、サイロキシンは甲状腺(副甲状腺ではない)、テストステロンは精巣(前立腺ではない)、バソプレシンは下垂体後葉(副腎皮質ではない)から分泌されます。
選択肢考察
-
× 1. サイロキシン -------- 副甲状腺
サイロキシン(T4)は甲状腺から分泌される甲状腺ホルモン。基礎代謝を亢進させる。副甲状腺から分泌されるのはパラソルモン(PTH)で、血中カルシウム濃度を上昇させる役割を持つ。
-
× 2. テストステロン ------ 前立腺
テストステロンは男性ホルモン(アンドロゲン)で、主に精巣のライディッヒ細胞から分泌される(一部は副腎皮質網状層から)。前立腺はホルモンの分泌器官ではなく、精液の一部を産生する生殖腺である。
-
× 3. バソプレシン -------- 副腎皮質
バソプレシン(抗利尿ホルモン、ADH)は視床下部で合成され、下垂体後葉から分泌される。腎集合管での水再吸収を促進する。副腎皮質から分泌されるのはアルドステロン・コルチゾール・副腎アンドロゲンである。
-
○ 4. プロラクチン -------- 下垂体前葉
プロラクチンは下垂体前葉から分泌され、乳腺の発達と乳汁産生を促す。妊娠・授乳で分泌が亢進し、ドパミンによって分泌が抑制される珍しい調節機構を持つ。
主要な内分泌腺とホルモンの対応を整理:①下垂体前葉=成長ホルモン(GH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、プロラクチン(PRL)。②下垂体後葉=バソプレシン(ADH)、オキシトシン。③甲状腺=サイロキシン(T4)、トリヨードサイロニン(T3)、カルシトニン。④副甲状腺=パラソルモン(PTH)。⑤副腎皮質=アルドステロン、コルチゾール、副腎アンドロゲン。⑥副腎髄質=アドレナリン、ノルアドレナリン。⑦膵ランゲルハンス島=インスリン(β)、グルカゴン(α)、ソマトスタチン(δ)。⑧精巣=テストステロン。⑨卵巣=エストロゲン、プロゲステロン。授乳中にプロラクチン分泌が持続することで、排卵が抑制され避妊的に働く(授乳性無月経)ことも臨床的に重要。
ホルモンと分泌部位の組合せを問う頻出問題。下垂体前葉・後葉の区別と、甲状腺/副甲状腺、精巣/前立腺の混同を避けることがポイント。
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