更年期障害の特徴的症状
看護師国家試験 第105回 午後 第54問 / 母性看護学 / 女性のライフサイクル各期の看護
国試問題にチャレンジ
更年期障害(climacteric disorder)の女性にみられる特徴的な症状はどれか。
- 1.異常発汗
- 2.低血圧
- 3.妄想
- 4.便秘
対話形式の解説
博士
更年期障害は卵巣機能の低下に伴いエストロゲンが急減することで、視床下部の自律神経中枢が揺らいで起こるんじゃ。
アユム
どの症状が最も特徴的なのですか。
博士
血管運動神経症状じゃ。ホットフラッシュと呼ばれる急なのぼせや顔のほてり、それに続く異常発汗が代表例じゃよ。
アユム
正解は1番の『異常発汗』ですね。
博士
そうじゃ。女性の6割以上が経験するとされ、閉経前後5年ずつの約10年間に目立つんじゃ。
アユム
2番の低血圧はどうして違うのですか。
博士
エストロゲンは血管拡張作用と脂質代謝改善作用を持つから、減ると逆に高血圧や脂質異常症のリスクが上がるんじゃ。低血圧は更年期の特徴とは言えないぞ。
アユム
3番の妄想は。
博士
イライラ・抑うつ・不安・不眠といった精神症状は確かに多いが、妄想は統合失調症や器質性精神障害の症状じゃ。更年期とは質が異なるんじゃ。
アユム
4番の便秘は。
博士
便秘はあらゆる世代で見られる非特異的症状じゃから『特徴的』とは言えん。設問の『特徴的』がキーワードなんじゃ。
アユム
更年期の検査や治療はどのようなものがありますか。
博士
血中エストラジオールの低下とFSH・LH上昇を確認する。治療の柱はホルモン補充療法(HRT)で、症状が強い場合に選択肢となる。漢方薬や抗うつ薬(SSRI)も有用じゃ。
アユム
HRTの注意点は。
博士
子宮がある女性にはエストロゲン単独ではなくプロゲステロン併用にする、乳がん既往・血栓症既往・肝障害は禁忌というのがポイントじゃ。
アユム
看護のポイントは。
博士
症状の多様性を理解し、『気のせい』と片付けず傾聴すること。そして骨粗鬆症や脂質異常症のスクリーニングを並行して勧めることも大切じゃぞ。
アユム
覚え方のコツは。
博士
『ホットフラッシュ+異常発汗』がセットで最も頻度が高いと記憶するんじゃ。
アユム
理解できました。
POINT
更年期障害の中核はエストロゲン減少に伴う自律神経失調で、血管運動神経症状であるホットフラッシュと異常発汗が最も特徴的です。低血圧や便秘は更年期特有ではなく、妄想は精神病圏の症状です。治療にはHRTや漢方薬があり、同時に骨粗鬆症・心血管リスクへの対策も重要です。正解は1番の異常発汗です。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:更年期障害(climacteric disorder)の女性にみられる特徴的な症状はどれか。
解説:正解は 1 です。更年期障害はエストロゲンの急激な減少により視床下部の自律神経中枢が不安定となり、血管運動神経症状が出現します。代表的なのがホットフラッシュ(のぼせ・ほてり)と異常発汗で、女性の6〜7割が経験するとされます。その他、動悸・めまい・肩こり・不眠・抑うつ気分などが加わり、複数の症状が組み合わさって日常生活に支障をきたすと『更年期障害』と診断されます。
選択肢考察
-
○ 1. 異常発汗
エストロゲン低下に伴う自律神経失調で発汗中枢が不安定となり、ホットフラッシュや寝汗などの異常発汗が起こります。更年期に最も特徴的な症状です。
-
× 2. 低血圧
エストロゲン減少は血管保護作用の低下を招き、むしろ高血圧の頻度が上昇します。低血圧は典型的な更年期症状ではありません。
-
× 3. 妄想
抑うつ気分・不安・イライラなどの精神症状は起こりますが、妄想は統合失調症など他疾患の症状で、更年期障害の特徴ではありません。
-
× 4. 便秘
便秘は更年期に特異的ではなく、全年齢層に認める非特異的症状です。更年期障害の『特徴的』症状とは言えません。
更年期は閉経前後の約10年間(日本人の平均閉経年齢は約50.5歳)で、エストラジオール低下に伴いFSH・LHが上昇します。治療はホルモン補充療法(HRT)、漢方薬(加味逍遙散など)、SSRIなどがあり、骨粗鬆症・脂質異常症・心血管リスクの予防も並行して行います。簡易評価票には『簡略更年期指数(SMI)』があります。
更年期障害の中核症状が血管運動神経症状(ホットフラッシュ・異常発汗)であることを押さえているかを問う問題です。
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