月経周期19日目は何が起きている?ホルモンと身体変化を完全整理
看護師国家試験 第106回 午前 第87問 / 母性看護学 / 女性のライフサイクル各期の看護
国試問題にチャレンジ
Aさん(30歳、女性)。月経周期は28日型で規則的である。5日間月経があり、現在、月経終了後14日が経過した。 この時期のAさんの状態で推定されるのはどれか。2つ選べ。
- 1.排卵後である。
- 2.乳房緊満感がある。
- 3.子宮内膜は増殖期である。
- 4.基礎体温は低温相である。
- 5.子宮頸管の粘液量が増加する。
対話形式の解説
博士
今日は月経周期の問題じゃ。30歳女性で28日周期、5日間月経があって月経終了後14日経過…さて何日目かの?
サクラ
えーと、月経は1日目から5日目までで、その後14日経ったから…5+14=19日目ですね!
博士
正解じゃ。では28日周期の中で19日目はどの時期に当たるかの?
サクラ
28日周期の排卵日は通常14日目前後ですよね。だから19日目は排卵後。黄体期です!
博士
素晴らしい。黄体期、別名「分泌期」じゃ。この時期の主役は「黄体」から分泌される「プロゲステロン」じゃよ。
サクラ
プロゲステロンって何をするホルモンですか?
博士
主に4つ覚えてほしい。①子宮内膜を分泌期に変えて着床準備、②基礎体温を上げて高温相にする、③子宮頸管粘液を減らして粘稠にする、④乳腺を発達させる、じゃ。
サクラ
選択肢1の「排卵後である」と選択肢2の「乳房緊満感がある」が正解ですね。
博士
その通りじゃ。乳房緊満感はプロゲステロンとエストロゲンによる乳腺の発達で起こる。PMS、月経前症候群の代表的症状でもあるな。
サクラ
選択肢3の「増殖期」は?
博士
×じゃ。子宮内膜の増殖期は月経終了後から排卵までの卵胞期に相当する時期。エストロゲンが内膜を厚くしていく。排卵後は分泌期に切り替わるんじゃ。
サクラ
選択肢4の「基礎体温は低温相」は?
博士
×。プロゲステロンには体温上昇作用があるから、排卵後は基礎体温が0.3〜0.5℃上がって高温相になる。Aさんは排卵後だから高温相じゃ。
サクラ
基礎体温って何のために測るんですか?
博士
排卵の有無や時期を知るためじゃ。高温相が10〜14日続くのが正常で、10日未満だと黄体機能不全が疑われる。不妊症の検査でも基礎体温測定は基本じゃよ。
サクラ
選択肢5の「頸管粘液量が増加する」はどうですか?
博士
×じゃ。頸管粘液は排卵直前のエストロゲンピーク時に最大量になる。量が多く、牽糸性に富み、シダ状結晶を作って精子が通りやすい状態になるんじゃ。
サクラ
排卵後は粘液はどう変わるんですか?
博士
プロゲステロンの作用で量が減り、粘稠度が増して精子が通りにくくなる。妊娠成立しないなら精子の通過を阻止するわけじゃな。
サクラ
ホルモン動態を整理すると?
博士
卵胞期はFSHが卵胞を育ててエストロゲンが増える。排卵期はエストロゲンのポジティブフィードバックでLHサージが起こり排卵。黄体期は黄体からプロゲステロンとエストロゲンが分泌される、という流れじゃ。
サクラ
妊娠しなかったら黄体はどうなるんですか?
博士
妊娠しなければ黄体は14日ほどで退化して「白体」になり、プロゲステロンが低下して月経が起こる。妊娠すればhCGが黄体を維持し、妊娠黄体として働き続けるんじゃ。
サクラ
看護師として月経周期を理解する意義は?
博士
不妊相談、月経異常の観察、避妊指導、妊娠管理、更年期ケアまで女性のライフサイクル看護の基盤じゃ。基礎体温の見方も指導できるようにしておきたいのう。
POINT
月経開始日から19日目のAさんは、28日周期における黄体期(分泌期)にあたり、排卵後であるため乳房緊満感が出現しやすい時期です。黄体期は黄体から分泌されるプロゲステロンの作用で、子宮内膜は分泌期、基礎体温は高温相、頸管粘液は少量で粘稠となり、精子の通過が妨げられます。この時期はプロゲステロンとエストロゲンによる乳腺発達で乳房緊満感や月経前症候群(PMS)様症状が出やすいことも特徴です。月経周期のホルモン動態と身体変化の理解は、不妊・月経異常・避妊・妊娠管理・更年期ケアなど女性のライフサイクル全体を支える看護の基盤であり、基礎体温指導や周期計算を通して対象者に寄り添う支援が求められます。
解答・解説
正解は 1 ・ 2 です
問題文:Aさん(30歳、女性)。月経周期は28日型で規則的である。5日間月経があり、現在、月経終了後14日が経過した。 この時期のAさんの状態で推定されるのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は 1 と 2 です。月経周期は月経開始日を1日目として数える。Aさんは28日周期で5日間月経があり、月経終了後14日経過しているので、月経開始日から数えて5+14=19日目にあたる。28日周期では通常14日目前後に排卵するため、19日目は排卵後の「黄体期(分泌期)」にあたる。黄体期は黄体からのプロゲステロン分泌が増加し、基礎体温は高温相、子宮内膜は分泌期、子宮頸管粘液は少量で粘稠となる。また、プロゲステロンとエストロゲンの影響で乳房緊満感や月経前症候群(PMS)様の症状が出やすい時期である。
選択肢考察
-
○ 1. 排卵後である。
月経開始日から19日目にあたり、28日周期では14日目前後に排卵するため、Aさんは排卵後(黄体期)にある。
-
○ 2. 乳房緊満感がある。
黄体期はプロゲステロンとエストロゲンの作用で乳腺が発達し、乳房緊満感・張り・痛みなどを感じやすい時期。月経前症候群(PMS)の一症状でもある。
-
× 3. 子宮内膜は増殖期である。
子宮内膜は卵胞期(月経終了後〜排卵まで)に増殖期、排卵後〜次の月経までは分泌期となる。Aさんは排卵後なので分泌期にあたる。
-
× 4. 基礎体温は低温相である。
基礎体温は排卵後の黄体から分泌されるプロゲステロンの体温上昇作用により高温相となる。排卵前の卵胞期が低温相である。
-
× 5. 子宮頸管の粘液量が増加する。
子宮頸管粘液は排卵直前(エストロゲンピーク時)に量が増え、牽糸性に富み透明で精子が通りやすくなる。排卵後はプロゲステロンの作用で量が減少し、粘稠度が増す。
月経周期は卵巣周期では卵胞期(月経〜排卵)→排卵期→黄体期(排卵〜次の月経)、子宮内膜周期では月経期→増殖期→分泌期と対応する。ホルモン動態は、卵胞期は下垂体からのFSH上昇→卵胞発育→エストロゲン増加、排卵期はエストロゲンのポジティブフィードバックによるLHサージ→排卵、黄体期は黄体からのプロゲステロンとエストロゲン分泌、である。基礎体温は排卵直後から0.3〜0.5℃上昇し高温相が10〜14日続く。高温相が短い(10日未満)場合は黄体機能不全が疑われる。
月経周期のどの時期にあたるかを計算し、その時期のホルモン・基礎体温・子宮内膜・頸管粘液・身体症状を理解しているかを総合的に問う問題。
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