性周期とホルモンを整理しよう
看護師国家試験 第111回 午後 第62問 / 母性看護学 / 女性のライフサイクル各期の看護
国試問題にチャレンジ
性周期とホルモンについて正しいのはどれか。
- 1.増殖期は基礎体温が上昇する。
- 2.プロラクチンによって排卵が起こる。
- 3.プロゲステロンは子宮内膜の増殖を促進する。
- 4.排卵直前に黄体形成ホルモン〈LH〉値が高くなる。
対話形式の解説
博士
今日は月経周期と四つのホルモンを整理していくぞ。正しい選択肢を一つ選ぶ形式じゃ。
アユム
エストロゲンとプロゲステロンとLHとプロラクチンが絡んでくるんですね。
博士
そうじゃ。まず結論から言うと、正解は選択肢4の『排卵直前にLH値が高くなる』。エストロゲンが一定濃度を超えると正のフィードバックでLHが急増する、いわゆるLHサージじゃ。
アユム
LHサージのあとどのくらいで排卵するんですか?
博士
およそ36〜40時間後じゃ。排卵検査薬はこのLH上昇を尿で捉えておる。
アユム
選択肢1の『増殖期に基礎体温が上昇する』が違うのはなぜですか?
博士
増殖期はエストロゲン優位で低温相じゃ。基礎体温を上げるのは排卵後に黄体から出るプロゲステロンで、分泌期が高温相になる。
アユム
なるほど、二相性の仕組みですね。選択肢2の『プロラクチンで排卵』は?
博士
プロラクチンは乳汁分泌ホルモンじゃ。むしろ高いとGnRHを抑制して排卵を止めてしまう。授乳中に月経が来にくいのはこのためじゃ。
アユム
選択肢3の『プロゲステロンが内膜増殖を促す』はどう違うのでしょう?
博士
内膜を増殖・肥厚させるのはエストロゲン。プロゲステロンは増殖した内膜を分泌期に変化させ、着床に備える役割じゃ。
アユム
役割がきれいに分かれているんですね。
博士
うむ。視床下部GnRH→下垂体FSH・LH→卵巣エストロゲン・プロゲステロン、という軸を頭に描いておくと混乱せん。
アユム
不妊治療や避妊指導にも直結する知識ですね。
博士
その通り。基礎体温表、排卵検査薬、ピルの作用機序はすべてこの性周期モデルに基づいておるのじゃ。
POINT
月経周期はGnRH・FSH・LHと卵巣ステロイドの連携で進み、排卵直前のLHサージが最大のポイントです。増殖期は低温相でエストロゲンが内膜を厚くし、分泌期はプロゲステロンが体温を上げ着床環境を整えます。プロラクチンは授乳に関わり排卵には直結しません。LHサージと二相性体温を押さえれば関連問題に幅広く対応できます。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:性周期とホルモンについて正しいのはどれか。
解説:正解は 4 です。性周期は視床下部のGnRH、下垂体前葉のFSH・LH、卵巣のエストロゲン・プロゲステロンの連携で調節されます。卵胞が成熟しエストロゲンがピークに達すると正のフィードバックでLHが急増する『LHサージ』が起こり、およそ36〜40時間後に排卵します。したがって排卵直前にLH値が高くなるという記述が正しいです。
選択肢考察
-
× 1. 増殖期は基礎体温が上昇する。
増殖期(卵胞期)はエストロゲン優位で基礎体温は低温相になります。体温を上げるのは排卵後に分泌されるプロゲステロンです。
-
× 2. プロラクチンによって排卵が起こる。
排卵を誘発するのはLHサージです。プロラクチンは乳汁産生を促すホルモンで、むしろ高値では排卵を抑制する作用があります。
-
× 3. プロゲステロンは子宮内膜の増殖を促進する。
子宮内膜を増殖・肥厚させるのはエストロゲンです。プロゲステロンは増殖した内膜を分泌期に変化させ、着床環境を整えます。
-
○ 4. 排卵直前に黄体形成ホルモン〈LH〉値が高くなる。
エストロゲンの正のフィードバックにより排卵直前にLHが急上昇(LHサージ)し、約36〜40時間後に排卵が起こります。
月経周期28日を基準に、1〜5日目が月経期、6〜14日目が増殖期(卵胞期、低温相)、14日前後が排卵期、15〜28日目が分泌期(黄体期、高温相)と整理すると覚えやすいです。基礎体温の二相性と排卵検査薬(LH尿中検出)の原理はLHサージに基づいており、不妊治療や家族計画の臨床でも重要な知識です。
性周期における視床下部-下垂体-卵巣系のホルモンの働き、とくにLHサージと排卵の関係を理解しているかを問う問題です。
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