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感染性因子の構造的特徴

看護師国家試験 第105回 午後 第31問 / 疾病の成り立ちと回復の促進 / 基本的な病因

国試問題にチャレンジ

105回 午後 第31問

感染性因子とその構成成分の組合せで正しいのはどれか。

  1. 1.細菌 ――――― 核膜
  2. 2.真菌 ――――― 細胞壁
  3. 3.プリオン ――― 核酸
  4. 4.ウイルス ――― 細胞膜

対話形式の解説

博士 博士

今回は細菌、真菌、ウイルス、プリオンの構造を整理するぞ。

サクラ サクラ

どれも感染症の原因になりますが構造は違うんですね。

博士 博士

その通り。まず細菌は核膜を持たない原核生物。環状DNAが核様体という領域に存在し、細胞壁と細胞膜を持つ。

サクラ サクラ

真菌は?

博士 博士

真菌は核膜を持つ真核生物じゃ。ミトコンドリアや小胞体もある。特徴的なのは細胞膜の外側にβ-グルカンやキチンからなる細胞壁を持つこと。だから正解は2じゃ。

サクラ サクラ

ウイルスはどうですか?

博士 博士

ウイルスは細胞構造を持たん。核酸(DNAまたはRNA)とそれを包むカプシドというタンパク質の殻からなる。一部はエンベロープという脂質膜を持つが、これは宿主細胞膜由来で自前のものではない。

サクラ サクラ

プリオンは?

博士 博士

プリオンは最も特異じゃ。核酸を持たず、異常立体構造を取ったタンパク質のみからなる感染因子じゃ。

サクラ サクラ

プリオンはどんな病気を起こしますか?

博士 博士

クロイツフェルト・ヤコブ病やウシ海綿状脳症、狂牛病などじゃ。脳にスポンジ状の変化を起こし致死的な神経変性疾患となる。

サクラ サクラ

治療薬との関係はありますか?

博士 博士

細菌にはβ-ラクタム系などの細胞壁合成阻害薬が効く。真菌にはアゾール系、エキノキャンディン系、ポリエン系などが使われる。

サクラ サクラ

どうして細菌薬と真菌薬は違うんですか?

博士 博士

細菌の細胞壁はペプチドグリカン、真菌はβ-グルカンやキチンと成分が違うからじゃ。さらに真菌は真核生物なのでヒト細胞と共通する部分が多く薬剤設計が難しい。

サクラ サクラ

ウイルスの治療は?

博士 博士

抗ウイルス薬は核酸合成阻害やプロテアーゼ阻害などウイルス特異的な酵素を狙う。

サクラ サクラ

プリオンの消毒は?

博士 博士

プリオンは通常の滅菌では不活化困難で、134℃1時間以上のオートクレーブや強アルカリ処理が必要じゃ。神経外科手術器具などで特別な扱いが求められる。

サクラ サクラ

細菌とウイルスのサイズの違いは?

博士 博士

細菌はμmオーダー、ウイルスはnmオーダーで約1000分の1の大きさじゃ。ウイルスは通常の光学顕微鏡では見えず電子顕微鏡が必要じゃな。

POINT

細菌は核膜なしの原核生物で細胞壁と細胞膜を持ち、真菌は核膜ありの真核生物で細胞壁を持ちます。ウイルスは細胞構造を持たず核酸とカプシドからなり、プリオンは核酸を持たない異常タンパク質のみです。真菌の細胞壁はβ-グルカンやキチンからなり、抗真菌薬の標的となります。正解は2です。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:感染性因子とその構成成分の組合せで正しいのはどれか。

解説:正解は 2 です。真菌は核膜で囲まれた核を持つ真核生物で、細胞膜の外側にβ-グルカンなどからなる細胞壁を有します。細菌は核膜を持たない原核生物(細胞壁と細胞膜あり)、ウイルスは核酸とタンパク質のカプシドからなり細胞構造を持たず、プリオンは核酸を持たない異常タンパク質のみの感染因子です。

選択肢考察

  1. × 1.  細菌 ――――― 核膜

    細菌は原核生物で核膜を持ちません。核様体に環状DNAが存在します。細胞壁と細胞膜は持ちます。

  2. 2.  真菌 ――――― 細胞壁

    真菌は真核生物で核膜を持ち、細胞膜の外側にβ-グルカンやキチンからなる細胞壁を有します。

  3. × 3.  プリオン ――― 核酸

    プリオンは核酸を持たず、異常立体構造を取ったタンパク質のみの感染因子です。クロイツフェルト・ヤコブ病の原因です。

  4. × 4.  ウイルス ――― 細胞膜

    ウイルスは細胞構造を持たず、核酸(DNAまたはRNA)とカプシド(タンパク質の殻)からなります。一部はエンベロープという脂質膜を持ちますが、これは宿主細胞膜由来で細胞膜そのものではありません。

真菌感染症の治療にはアゾール系(エルゴステロール合成阻害)、エキノキャンディン系(β-グルカン合成阻害)、ポリエン系(アムホテリシンB、エルゴステロール結合)などが使われます。細胞壁の成分が異なるため細菌用抗菌薬は効きません。プリオン病は通常の滅菌では不活化困難で、134℃1時間以上のオートクレーブや強アルカリ処理が必要です。

感染性因子(細菌・真菌・ウイルス・プリオン)の構造上の特徴を区別できるかを問う微生物学の基本問題です。