在宅経管栄養の皮膚ケア!固定位置を毎日変える理由
看護師国家試験 第106回 午後 第107問 / 小児看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
Aちゃん(6歳、女児)は、重症の新生児仮死で出生した。誤嚥性肺炎( aspiration pneumonia )で入退院を繰り返しているため、今回の入院で経鼻経管栄養法を導入し、退院後は週1回の訪問看護を利用することになった。現在は四肢と体幹の著しい運動障害があり、姿勢保持が困難で、移動および移乗は全介助である。声かけに笑顔はみられるが、指示に応じることはできない。 訪問看護師が行う母親への経管栄養法の指導で適切なのはどれか。
- 1.注入する前に排便させる。
- 2.注入中は側臥位を保つようにする。
- 3.カテーテルは毎日場所を変えて固定する。
- 4.家族と同じ食事を流動食にして注入する。
対話形式の解説
博士
今日は重症心身障害のAちゃん6歳の在宅経管栄養ケアじゃ。訪問看護師が母親に指導する内容がテーマじゃぞ。
サクラ
経鼻経管栄養って鼻からチューブを胃まで通すんですよね。テープで頬に固定しますよね。
博士
その通り。そのテープ固定が今回のポイントじゃ。毎日同じ場所に貼っているとどうなると思う?
サクラ
粘着剤でかぶれますか?
博士
そうじゃ。粘着剤による皮膚刺激や閉塞性の湿潤で発赤・びらんから進めば潰瘍にもなる。MDRPU(医療関連機器圧迫創傷)と呼ばれる皮膚障害じゃ。
サクラ
特に子どもは皮膚が薄いですもんね。
博士
その通り。だから『カテーテルは毎日場所を変えて固定する』が正解じゃ。皮膚観察や保護剤の使用も組み合わせる。
サクラ
他の選択肢も見ていきます。『注入する前に排便させる』は?
博士
Aちゃんは指示に応じられないため随意排便は困難じゃ。注入前にはおむつや排泄状況、腹部膨満感の確認は行うが、必ずしも排便させる必要はない。
サクラ
『注入中は側臥位を保つ』はダメなんですか?
博士
注入中の体位は上半身30〜60度挙上のファウラー位が基本じゃ。側臥位単独では逆流予防として不十分で誤嚥リスクが高まる。
サクラ
誤嚥性肺炎で入退院を繰り返しているAちゃんには特に重要ですね。
博士
そうじゃな。注入後も30分〜1時間は上半身挙上を保つのが原則じゃ。
サクラ
『家族と同じ食事を流動食にして注入する』はどうですか?
博士
これは要注意じゃ。経管栄養剤は医師が患児の病態・必要エネルギー・必要栄養素を考慮して処方する。家族食をミキサーにかけて注入するミキサー食注入という方法もあるが、衛生面・栄養組成・チューブ閉塞リスクから医師指示なしに行うべきでない。
サクラ
経管栄養の注意点を整理したいのですが。
博士
ポイントは①注入前のチューブ位置確認(気泡音聴取または胃内容物吸引)、②上半身30〜60度挙上、③ゆっくり注入、④注入後30分〜1時間の体位保持、⑤固定部位の変更と皮膚観察、⑥指示通りの量と回数、じゃ。
サクラ
合併症にはどんなものがありますか?
博士
誤嚥性肺炎、チューブ逸脱、皮膚障害、嘔吐・下痢、チューブ閉塞などじゃ。家族への指導ではこれらの観察項目と対処法も伝える。
サクラ
在宅では家族が主な実施者なので、訪問看護師は丁寧に手技確認と観察ポイントを伝える必要がありますね。
博士
その通りじゃ。特にAちゃんのような重症児では小さな合併症が重大な結果を招くから、継続的な指導と家族の負担軽減支援が重要じゃな。
POINT
在宅経鼻経管栄養のケアでは、注入前のチューブ位置確認、上半身30〜60度挙上、注入後の体位保持、皮膚障害予防のための固定部位変更、医師指示通りの栄養剤使用といった基本を家族に指導します。特に固定テープを同一部位に毎日貼り続けると粘着剤による皮膚障害(MDRPU)を生じるため、毎日位置を少しずつ変え皮膚観察を行うことが重要です。Aちゃんは指示に応じられず誤嚥性肺炎を繰り返す重症児のため、体位管理と皮膚管理の徹底が誤嚥予防・合併症予防の要となります。訪問看護師は家族の手技確認と負担軽減の両面から継続的な支援を提供する役割を担います。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:Aちゃん(6歳、女児)は、重症の新生児仮死で出生した。誤嚥性肺炎( aspiration pneumonia )で入退院を繰り返しているため、今回の入院で経鼻経管栄養法を導入し、退院後は週1回の訪問看護を利用することになった。現在は四肢と体幹の著しい運動障害があり、姿勢保持が困難で、移動および移乗は全介助である。声かけに笑顔はみられるが、指示に応じることはできない。 訪問看護師が行う母親への経管栄養法の指導で適切なのはどれか。
解説:正解は 3 です。経鼻経管栄養チューブの固定テープを毎日同じ位置に貼ると、粘着剤による皮膚刺激や閉塞性の湿潤により発赤・びらん・潰瘍などのMDRPU(医療関連機器圧迫創傷)を生じる。小児は皮膚が薄く損傷しやすいため、毎日または数日ごとに固定場所を少しずつ変え、貼り替え時には皮膚の観察と保護剤の使用を組み合わせることが重要である。
選択肢考察
-
× 1. 注入する前に排便させる。
Aちゃんは指示に応じられないため随意的な排便は困難で、必須のケアではない。注入前にはおむつや排泄状況、腹部膨満の確認を行うが、必ず排便させる必要はない。
-
× 2. 注入中は側臥位を保つようにする。
注入中は胃内容物の逆流・誤嚥を防ぐため上半身を30〜60度挙上した半坐位(ファウラー位)が基本。側臥位のみでは逆流予防として不十分で誤嚥リスクが高まる。
-
○ 3. カテーテルは毎日場所を変えて固定する。
同一部位のテープ固定は皮膚障害(発赤・びらん・潰瘍)を招くため、毎日または定期的に固定位置を少しずつ変える。特に小児は皮膚が薄いため重要。
-
× 4. 家族と同じ食事を流動食にして注入する。
経管栄養剤は医師が個々の病態・必要エネルギー・栄養素を考慮して処方したものを使用する。家族の食事をミキサーで粉砕して注入するミキサー食注入は衛生面・栄養組成の管理面から標準的な指導内容ではなく、医師の指示なしに行うべきでない。
経鼻経管栄養のケアのポイントとして、注入前はチューブの位置確認(気泡音の聴取や胃内容物の吸引)、体位は上半身30〜60度挙上、注入速度はゆっくり、注入後は体位保持30分〜1時間、固定テープは部位変更と皮膚観察、1日量・水分量・注入回数は医師の指示通り、という流れを押さえる。合併症として誤嚥性肺炎、チューブ逸脱、皮膚障害、嘔吐・下痢、チューブ閉塞などがある。小児の在宅経管栄養では家族の手技習得が成功の鍵で、訪問看護師は手技の確認と合併症予防の指導を継続的に行う。
在宅経管栄養法における家族指導の基本と、皮膚障害予防のための固定部位変更の重要性を問う問題。
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