「なんで手術するの?」7歳の子にどう説明する?プレパレーションの基本
看護師国家試験 第109回 午後 第103問 / 小児看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aちゃん( 7 歳、女児、小学 1 年生)は、3 歳ころから夜間就寝中や保育所の昼寝の時に時々いびきがあり、保育所の友達に「Aちゃんがうるさくて眠れない」と言われた。母親が心配してAちゃんを小児科外来に連れて行った。その後、Aちゃんは外来で経過観察されてきたが、今年の 4 月から 7 月までの間に、急性扁桃炎( acute tonsillitis )を 3 回起こしていることや、睡眠時無呼吸がみられるようになったことから、8 月中に扁桃腺摘出術を受けることになった。 定期外来の受診時に、手術が決まったことが医師からAちゃんに伝えられた。 Aちゃんは「なんで手術するの」と涙ぐんでいる。 扁桃腺摘出術を受けるAちゃんに対する看護師の説明で適切なのはどれか。
- 1.「寝ているときに息を止めてしまうことがあるからだよ」
- 2.「のどにいる悪い虫をとるためだよ」
- 3.「のどにお熱があるからだよ」
- 4.「いびきが大きいからだよ」
対話形式の解説
博士
今日は扁桃摘出術を控えた7歳女児Aちゃんへの説明の問題じゃ。学童期への声かけの勘どころを学ぶぞ。
サクラ
Aちゃんは3歳からいびきがあり、半年で扁桃炎を3回、睡眠時無呼吸も…かなり扁桃肥大が進んでいるんですね。
博士
そうじゃ。扁桃摘出術の適応は、反復性扁桃炎と閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)が2大適応じゃ。このケースは両方を満たしておる。
サクラ
Aちゃんは「なんで手術するの」と涙ぐんでいる…小児には何と言えばいいんでしょう?
博士
ここで登場するのがプレパレーションという概念じゃ。知っておるか?
サクラ
聞いたことはあります。処置に向けた心の準備を助けるケア、ですよね?
博士
その通り。発達段階に応じて、事実を誤魔化さず、具体的な言葉で伝えるのが基本じゃ。7歳は学童期初期で、因果関係をある程度論理的に理解できる年齢じゃよ。
サクラ
じゃあ選択肢2の「のどの悪い虫」は比喩すぎて、本当に虫がいるのかと誤解しそうです。
博士
そうじゃな。幼児期前半ならまだしも、7歳には不適切な説明じゃ。
サクラ
選択肢3の「のどにお熱があるから」はどうですか?
博士
これも本質を外しておる。熱が下がればもう手術しなくていいのかと誤解するし、今後熱が出るたび手術を連想してしまう。
サクラ
選択肢4の「いびきが大きいから」は…いびきって本人自覚ないですよね。
博士
しかもAちゃんは友達に「うるさくて眠れない」と言われた経験がある。自尊心を傷つける可能性もあるし、将来いびきをかくと手術、と思い込む危険もあるのじゃ。
サクラ
残るは1の「寝ているときに息を止めてしまうことがある」ですね。
博士
これこそ手術の本当の理由、睡眠時無呼吸を7歳にわかる言葉で伝えておる。正直で具体的、そして本人の身体で起きている事実に即しておる。
サクラ
プレパレーションって、大人が「良かれ」と思って嘘や比喩でごまかすのは逆効果なんですね。
博士
その通りじゃ。子どもは大人が思う以上に状況を感じ取る。嘘が発覚すると医療者への信頼が崩れ、以後の処置協力が得られなくなる。
サクラ
説明の際は絵本や人形、手術室の写真なんかも使うんですよね。
博士
うむ。視覚教材と事実の言葉、その両輪じゃ。術前訪問も大事なプレパレーションの機会じゃよ。
POINT
学童期の子どもに対する手術説明では、プレパレーションの原則に基づき、発達段階に応じた正確で具体的な言葉を用いることが重要です。Aちゃんは反復性扁桃炎と閉塞性睡眠時無呼吸症候群のため扁桃摘出術の適応となっており、手術の目的は睡眠中の呼吸停止を防ぐことにあります。比喩的表現や部分的な理由では子どもの誤解や不安を生むため、実際に身体で起きている現象を事実に即して説明するのが最善です。看護師はプレパレーションを通じて子どもの理解と主体的な治療参加を支え、術後の回復と心理的適応を促す役割を担います。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aちゃん( 7 歳、女児、小学 1 年生)は、3 歳ころから夜間就寝中や保育所の昼寝の時に時々いびきがあり、保育所の友達に「Aちゃんがうるさくて眠れない」と言われた。母親が心配してAちゃんを小児科外来に連れて行った。その後、Aちゃんは外来で経過観察されてきたが、今年の 4 月から 7 月までの間に、急性扁桃炎( acute tonsillitis )を 3 回起こしていることや、睡眠時無呼吸がみられるようになったことから、8 月中に扁桃腺摘出術を受けることになった。 定期外来の受診時に、手術が決まったことが医師からAちゃんに伝えられた。 Aちゃんは「なんで手術するの」と涙ぐんでいる。 扁桃腺摘出術を受けるAちゃんに対する看護師の説明で適切なのはどれか。
解説:正解は 1 です。7歳の学童期の子どもには、発達段階を踏まえ、事実に基づいた具体的で理解しやすい言葉で説明することが重要である。Aちゃんは扁桃肥大による睡眠時無呼吸と反復性扁桃炎を有しており、手術の目的は「寝ているときに呼吸が止まってしまうのを防ぐこと」と、身体で実際に起こっている現象に即して伝えるのが適切。プレパレーションの基本である。
選択肢考察
-
○ 1. 「寝ているときに息を止めてしまうことがあるからだよ」
睡眠時無呼吸という手術適応の中心的理由を、学童が理解できる言葉で具体的に伝えている。プレパレーションでは嘘を言わず、事実に沿った説明で子どもの理解と協力を得ることが原則である。
-
× 2. 「のどにいる悪い虫をとるためだよ」
比喩的で不正確な表現であり、Aちゃんの体内に虫がいるかのような誤った認識を与える。7歳は論理的思考が始まる時期であり、事実に基づく説明が求められる。
-
× 3. 「のどにお熱があるからだよ」
熱が下がれば手術は不要と誤解させる可能性があり、また発熱するたびに手術を連想する不安を残してしまう。手術の本来の適応を伝えていない。
-
× 4. 「いびきが大きいからだよ」
いびきは本人が自覚しにくく、友達からの指摘を想起させて自尊心を傷つける恐れがある。また、今後いびきをかけば手術になると思い込ませる危険もある。
プレパレーション(preparation)は、医療処置を受ける子どもに対し、発達段階に応じて認知的・情緒的準備を支援するケアである。学童期では、身体で実際に起こっていることと手術の目的・方法・術後の見通しを、正確な言葉と視覚教材を用いて説明する。小児の扁桃摘出術の主な適応は、反復性扁桃炎(年4回以上を2年以上、など)、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、扁桃周囲膿瘍の既往などで、アデノイド切除術を併施することも多い。
学童期の小児に対する手術のプレパレーションとして、発達段階にふさわしい正確で具体的な説明内容を選ぶ問題。
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