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きょうだい児のストレス対応

看護師国家試験 第110回 午後 第105問 / 小児看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

110回 午後 第105問

Aちゃん( 5か月、女児)は、父親(会社員)、母親(主婦)、兄のB君( 3歳)と4人家族である。近所に祖父母が住んでいる。Aちゃんは3日前から鼻汁と咳嗽があり、昨日夕方より39℃の発熱がみられ小児科外来を受診した。自宅で哺乳量の低下はなく、1日に1、2回咳嗽とともに嘔吐がみられていた。来院時、体温39.3℃、呼吸数45/分、脈拍142/分、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO 2 >98%( room air )であった。診察と検査の結果、RSウイルスによる急性細気管支炎( acute bronchiolitis )と診断され、去痰薬が処方された。 入院後7日、Aちゃんは症状が軽快し、哺乳量も増加して翌日の金曜日に退院が決定した。母親は「Aはだいぶ元気になりました。でもBが泣いたり、かんしゃくをおこしたりすることが増えているようです。どうしたらいいでしょう」と看護師に相談した。入院中、土曜日、日曜日は父親がB君の世話をしており、平日は祖父母が世話をしているとのことであった。退院時、父親は休暇をとりAちゃんと母親を迎えに来る予定である。 母親への看護師の対応として適切なのはどれか。

  1. 1.「B君のかかりつけ医に相談しましょう」
  2. 2.「B君の保育所への入所を検討しましょう」
  3. 3.「B君に関わる時間をたっぷりとりましょう」
  4. 4.「お兄ちゃんだから頑張りなさいと伝えましょう」

対話形式の解説

博士 博士

今回はちょっと視点が違うぞい。患児Aちゃんではなく、3歳のお兄ちゃんB君の話じゃ。

サクラ サクラ

母親が「Bが泣いたりかんしゃくをおこしたりすることが増えた」と相談していますね。

博士 博士

3歳児で、妹が1週間も入院して母親と離れていた。しかも平日は祖父母、週末は父親が世話していたんじゃ。B君の立場で想像してみるかのう。

サクラ サクラ

お母さんが急にいなくなって、知らされない理由で離ればなれ…それは不安ですね。

博士 博士

そうじゃ。これを「きょうだい児反応」とか「退行現象」「赤ちゃん返り」と呼ぶんじゃ。

サクラ サクラ

発達心理学的に正常な反応の範囲ということですね。

博士 博士

その通り。では看護師として母親にどう助言する?

サクラ サクラ

選択肢3の「B君に関わる時間をたっぷりとりましょう」が正解だと思います。

博士 博士

よい。ストレスの原因が母親との分離なのじゃから、母親との時間を取り戻すのが根本的な解決になるんじゃ。

サクラ サクラ

選択肢1のかかりつけ医相談はまだ早いですね。

博士 博士

そうじゃ。正常範囲の反応を病理視する必要はない。それで改善しなければ次の段階じゃな。

サクラ サクラ

2の保育所入所は逆効果ですか?

博士 博士

分離をさらに強めてしまうのう。むしろ逆行じゃな。

サクラ サクラ

4の「お兄ちゃんだから頑張れ」は?

博士 博士

これはいまだに言う人がおるが、発達段階を無視した声かけじゃ。3歳児に年長者としての自制を求めるのは無理があるし、自尊感情を傷つけるぞい。

サクラ サクラ

むしろ「寂しかったね」と気持ちを受け止めてあげるのが大切ですね。

博士 博士

その通りじゃ。甘えを受け入れ、特別な時間を作り、スキンシップをしっかり取る。これで多くは落ち着くんじゃ。

サクラ サクラ

家族全体を看る視点が大切ですね。

POINT

3歳のB君に見られるかんしゃくや泣きの増加は、妹の入院に伴う母親との分離によるストレス反応(退行現象)で、発達段階では正常範囲の反応です。最も効果的なのは母親がB君と関わる時間を意識的に確保することです。医療機関への相談や保育所入所、「お兄ちゃんだから」という我慢の強要は不適切です。甘えを受け止め、安心感を取り戻させることが家族全体の回復を支えます。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:Aちゃん( 5か月、女児)は、父親(会社員)、母親(主婦)、兄のB君( 3歳)と4人家族である。近所に祖父母が住んでいる。Aちゃんは3日前から鼻汁と咳嗽があり、昨日夕方より39℃の発熱がみられ小児科外来を受診した。自宅で哺乳量の低下はなく、1日に1、2回咳嗽とともに嘔吐がみられていた。来院時、体温39.3℃、呼吸数45/分、脈拍142/分、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO 2 >98%( room air )であった。診察と検査の結果、RSウイルスによる急性細気管支炎( acute bronchiolitis )と診断され、去痰薬が処方された。 入院後7日、Aちゃんは症状が軽快し、哺乳量も増加して翌日の金曜日に退院が決定した。母親は「Aはだいぶ元気になりました。でもBが泣いたり、かんしゃくをおこしたりすることが増えているようです。どうしたらいいでしょう」と看護師に相談した。入院中、土曜日、日曜日は父親がB君の世話をしており、平日は祖父母が世話をしているとのことであった。退院時、父親は休暇をとりAちゃんと母親を迎えに来る予定である。 母親への看護師の対応として適切なのはどれか。

解説:正解は3です。B君(3歳)のかんしゃくや泣きの増加は、妹の入院に伴う母親との分離と環境変化によるストレス反応、いわゆる「きょうだい児反応(退行現象)」と考えられます。退院後に母親とB君が直接ふれあう時間を意識的に確保することで、愛着の再確認と安心感が得られ、行動は落ち着いていきます。

選択肢考察

  1. × 1.  「B君のかかりつけ医に相談しましょう」

    B君の行動は分離不安に伴う正常な反応の範囲で、病的な問題とは言えません。まず家庭での関わりを調整し、それでも改善しない場合に専門相談を検討する段階です。

  2. × 2.  「B君の保育所への入所を検討しましょう」

    母親との分離がストレス源となっているため、保育所入所はさらに分離時間を増やし症状を助長する可能性があります。現時点では不適切です。

  3. 3.  「B君に関わる時間をたっぷりとりましょう」

    母子分離によるストレスが原因のため、母親がB君と向き合う時間を確保することが最も効果的です。スキンシップや会話を通じて安心感を取り戻させます。

  4. × 4.  「お兄ちゃんだから頑張りなさいと伝えましょう」

    3歳児に年長者としての我慢を強いる言葉はストレスを増幅させ、自尊感情を傷つけます。発達段階に不適切で逆効果となる対応です。

幼児期(特に1〜4歳)のきょうだい入院時には、指しゃぶり、夜尿、赤ちゃん返り、かんしゃく、食欲低下などの退行現象が高率にみられます。対応の基本は「しっかり抱きしめる・認める・特別な時間を作る」で、我慢を強いるより甘えを受け止めることが回復を早めます。長期間持続する場合や自傷・他害を伴う場合は専門家への相談を検討します。

きょうだい児の退行現象に対し、母子関係の再構築を支援する看護介入を選択できるかを問う問題です。