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うつ病入院当日に何を最優先で見るか

看護師国家試験 第104回 午後 第108問 / 精神看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

104回 午後 第108問

次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(52歳、女性、専業主婦)は、夫と2人の息子との4人で暮らしている。Aさんは内向的な性格であり、順番にまわってきた町内会の役員を引き受けたことで悩むことが多くなった。2か月前から食欲不振と不眠が続いている。1か月前から家事ができなくなり、死んでしまいたいと言い始めたため、夫が付き添って精神科を受診したところ、うつ病(depression)と診断された。 Aさんは「いつも体がだるくて、何もしたくない。生きていても皆に迷惑がかかるだけだ」と話す。体重減少と長期間続く不眠のため、疲れ果てた様子をみせていることから、その日のうちに入院し、薬物治療が開始された。 入院当日の観察項目で優先度が高いのはどれか。

  1. 1.清潔状態
  2. 2.水分摂取量
  3. 3.意識レベル
  4. 4.他者との交流状況

対話形式の解説

博士 博士

学生さん、Aさんは2か月の食欲不振と不眠で疲弊し、入院になったぞ。優先度が高い観察項目は?

アユム アユム

希死念慮もあって心配ですね。意識レベルでしょうか?

博士 博士

Aさんは夫と話せて自分の気持ちも語れておる。意識レベル低下の所見はあるかの?

アユム アユム

ないですね。会話は成立しています。

博士 博士

では他の項目を考えるのじゃ。Aさんはどんな身体状態じゃ?

アユム アユム

2か月の食欲不振と体重減少があります。

博士 博士

水分はどうかの?意欲低下で自分から飲めるじゃろか?

アユム アユム

飲めなさそうです。脱水のリスクが高そうですね。

博士 博士

さよう。脱水は循環血液量を減らし電解質異常を招いて生命に直結する。だから水分摂取量が最優先じゃ。

アユム アユム

清潔状態は?

博士 博士

意欲低下で清潔行動が滞ることはあるが、入院当日に命に直結はしない。生命維持のあとに支援するんじゃ。

アユム アユム

他者との交流状況は?

博士 博士

内向的な性格のAさんに入院当日から交流を促すのは負担じゃ。まずは安全と休養を確保するのが先じゃ。

アユム アユム

脱水が確認されたらどう対応しますか?

博士 博士

輸液療法を考慮し、重症うつ病で飲食ができない場合は経管栄養や点滴を検討するのじゃ。

アユム アユム

希死念慮の評価も継続して行いますね。

博士 博士

もちろんじゃ。安全対策と並行して身体面の評価を最優先にするのじゃぞ。

アユム アユム

入院環境の調整も必要ですね。

POINT

重症うつ病入院当日は身体面、精神面、安全面の3軸で観察を行いますが、最優先となるのは生命維持に直結する身体面の評価です。Aさんは食欲不振と体重減少が続き意欲低下から自発的飲水も困難で、脱水の進行が懸念されます。意識レベル、清潔状態、他者との交流は重要ではあるものの、入院当日の優先度では水分摂取量に劣ります。希死念慮への対応と並行して、輸液療法や栄養補給につなげる判断が大切です。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(52歳、女性、専業主婦)は、夫と2人の息子との4人で暮らしている。Aさんは内向的な性格であり、順番にまわってきた町内会の役員を引き受けたことで悩むことが多くなった。2か月前から食欲不振と不眠が続いている。1か月前から家事ができなくなり、死んでしまいたいと言い始めたため、夫が付き添って精神科を受診したところ、うつ病(depression)と診断された。 Aさんは「いつも体がだるくて、何もしたくない。生きていても皆に迷惑がかかるだけだ」と話す。体重減少と長期間続く不眠のため、疲れ果てた様子をみせていることから、その日のうちに入院し、薬物治療が開始された。 入院当日の観察項目で優先度が高いのはどれか。

解説:正解は2です。Aさんは2か月にわたる食欲不振と体重減少があり、意欲低下から自発的な飲水も困難な状態です。脱水は循環不全や電解質異常を招き生命に直結する状態であるため、入院当日は水分摂取量を最優先で観察し、必要に応じて輸液療法へつなげる必要があります。

選択肢考察

  1. × 1.  清潔状態

    うつ病では意欲低下により清潔行動が滞りがちですが、入院当日に直ちに生命を脅かす項目ではありません。生理機能の安定が確認された後に支援を行います。

  2. 2.  水分摂取量

    食欲不振と体重減少が続く中で意欲低下があり、自発的な飲水も低下しやすい状況です。脱水は循環血液量の減少や電解質異常を招き生命に直結するため、入院当日の最優先観察項目となります。

  3. × 3.  意識レベル

    Aさんは夫との受診や自分の心情を語ることができ、意識レベル低下を示唆する所見はありません。優先度は他の項目より低くなります。

  4. × 4.  他者との交流状況

    入院当日は精神的に疲弊しているため、他者との交流を促すよりも安全と休養の確保が優先されます。内向的な性格のAさんには段階的な関わりを計画します。

うつ病入院時の観察ポイントは身体面(脱水、栄養状態、不眠)、精神面(希死念慮、不安、焦燥)、安全面(自殺リスク、環境)の3軸で構成されます。重症うつ病ではうつ性昏迷で水分摂取が著しく減少することがあり、輸液や経管栄養が必要となる場合もあります。希死念慮の評価は入院当日も継続して行いますが、生命維持に直結する身体面の評価が最優先です。

重症うつ病入院当日の優先度の高い観察項目を、生命維持の視点から判断できるかを問う問題です。