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強迫性障害患者家族への支援

看護師国家試験 第107回 午後 第108問 / 精神看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

107回 午後 第108問

Aさん( 23歳、女性 )。両親との3人暮らし。Aさんは大学受験に失敗して以来、自宅に引きこもりがちになった。1年前から手洗いを繰り返すようになり、最近では夜中も起き出して手を洗い、手の皮膚が荒れてもやめなくなった。心配した母親が付き添って受診したところ、Aさんは強迫性障害(obsessive-compulsive disorder)と診断された。母親は、Aさんについて「中学生までは成績優秀で、おとなしい子どもだった」と言う。Aさんには極度に疲労している様子がみられたことから、その日のうちに任意入院となった。 Aさんは、食事の時間以外は他の患者との接触を避け、病室で1人で過ごしている。両親は共働きで、毎日面会に来ることはできない。Aさんは自宅に面会の催促の電話をかけては母親と口論している。Aさんとの関わりに心身ともに疲れ果てた母親が、看護師に相談してきた。 母親への看護師の対応で最も適切なのはどれか。

  1. 1.父親と交代で毎日面会に来るよう勧める。
  2. 2.Aさんからの自宅への連絡を制限することを約束する。
  3. 3.Aさんの代わりに看護師がAさんの苦悩を母親に伝える。
  4. 4.Aさんと母親との話し合いに看護師が同席することを提案する。

対話形式の解説

博士 博士

博士じゃ。Aさんが毎日のように母親へ催促電話をかけて口論になっておるのう。

アユム アユム

母親も心身ともに疲弊しているようですね。看護師はどう関われば良いのでしょう。

博士 博士

ここで登場するのが「第三者同席」という手法じゃ。

アユム アユム

具体的にはどんなことですか。

博士 博士

Aさんと母親の話し合いに看護師が同席して、双方の気持ちを整理しながら合意形成を支えるのじゃ。

アユム アユム

感情的になりやすい場面で中立的な存在がいると安心ですね。

博士 博士

そうじゃ。対立構造を避け、安全に本音を伝え合える場を作れるのじゃよ。

アユム アユム

父親と交代で毎日面会するよう勧めるのはどうですか。

博士 博士

家族の生活は家族が決めるものじゃ。看護師が一方的に負担を増やすような指示は不適切じゃな。

アユム アユム

Aさんからの連絡を制限する約束はいけませんか。

博士 博士

任意入院の通信制限は原則認められぬし、本人抜きの約束は信頼を損ねるぞ。

アユム アユム

看護師が代弁して母親に伝えるのはどうでしょう。

博士 博士

本人の気持ちは本人の言葉で伝えるのが回復につながる。代弁は自立を妨げる恐れがあるのう。

アユム アユム

家族の巻き込みという現象があるのですね。

博士 博士

うむ、強迫性障害では家族が確認行為に巻き込まれて疲弊しやすいのじゃ。家族教室などの利用も勧めるとよいぞ。

アユム アユム

家族の健康を守ることが患者の回復にもつながるのですね。

POINT

強迫性障害では患者の不安が家族に向かい、家族の巻き込みと呼ばれる現象で家族を疲弊させやすくなります。看護師は双方の気持ちを橋渡しする同席支援により、安全で建設的な対話の場を提供します。本人の自立を尊重して代弁を避け、通信制限は原則行いません。家族教室や家族自助グループも活用しながら、家族自身のセルフケアと健康維持を支えることが長期の回復支援につながります。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:Aさん( 23歳、女性 )。両親との3人暮らし。Aさんは大学受験に失敗して以来、自宅に引きこもりがちになった。1年前から手洗いを繰り返すようになり、最近では夜中も起き出して手を洗い、手の皮膚が荒れてもやめなくなった。心配した母親が付き添って受診したところ、Aさんは強迫性障害(obsessive-compulsive disorder)と診断された。母親は、Aさんについて「中学生までは成績優秀で、おとなしい子どもだった」と言う。Aさんには極度に疲労している様子がみられたことから、その日のうちに任意入院となった。 Aさんは、食事の時間以外は他の患者との接触を避け、病室で1人で過ごしている。両親は共働きで、毎日面会に来ることはできない。Aさんは自宅に面会の催促の電話をかけては母親と口論している。Aさんとの関わりに心身ともに疲れ果てた母親が、看護師に相談してきた。 母親への看護師の対応で最も適切なのはどれか。

解説:正解は4のAさんと母親との話し合いに看護師が同席することを提案することです。Aさんの催促電話と口論は、強迫性障害から生じる不安や焦燥感が家族関係に投影されている状態です。母親も疲弊しており双方だけの話し合いでは感情的になりやすいため、第三者である看護師が同席し、双方の気持ちを整理しながら建設的な合意形成を支える介入が最適です。関係性の悪化を防ぎ、退院後の家族機能の再構築にもつながります。

選択肢考察

  1. × 1.  父親と交代で毎日面会に来るよう勧める。

    家族の生活状況を看護師が一方的に変更させるのは越権であり、家族の負担をかえって増大させます。面会頻度は家族自身が決めるべき事柄です。

  2. × 2.  Aさんからの自宅への連絡を制限することを約束する。

    連絡制限は強迫観念の裏にある不安に応えず症状を悪化させかねません。任意入院患者の通信制限は原則として容認されにくく、本人抜きの約束も倫理的に不適切です。

  3. × 3.  Aさんの代わりに看護師がAさんの苦悩を母親に伝える。

    本人の気持ちは本人の言葉で伝えることが回復につながります。代弁は一時的には有効でも、親子の直接対話の機会を奪い自立を妨げることになります。

  4. 4.  Aさんと母親との話し合いに看護師が同席することを提案する。

    第三者が同席することで感情的対立を避け、双方の気持ちを安全に共有できます。話し合いの構造化により合意形成が進み、退院後の家族関係の調整にも役立ちます。

強迫性障害の患者は家族に確認行為や巻き込みを強要しやすく、家族の疲弊を招きます(いわゆる「家族の巻き込み(family accommodation)」)。看護師は家族のストレスを評価し、家族教室や家族心理教育の利用を勧め、適切な距離感を保つ支援を行います。家族の健康維持が患者の長期回復にもつながります。

強迫性障害の家族支援では看護師が話し合いに同席し、双方の気持ちを整理しながら関係調整を進めることが重要です。代弁や一方的制限は避けます。