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精神障害者の退院支援で連携する地域資源を整理しよう

看護師国家試験 第110回 午後 第114問 / 精神看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

110回 午後 第114問

Aさん( 35歳、男性)は1人暮らし。両親は他県に住んでいる。30歳のときに双極性障害( bipolar disorder )と診断され、これまでに4回の入退院を繰り返している。給料をインターネットゲームの利用料金で度々使い果たし、それが原因で両親と何度も口論になったことがある。仕事では同僚とトラブルを起こすたびに転職を繰り返しており、今回も同僚と口論になり自ら退職した。Aさんは「前の職場の同僚に嫌がらせをしてやる」と母親に電話をかけ、心配した両親が一緒に精神科病院を受診した。診察室では多弁で大きな声を出し、椅子を蹴るなどの行為がみられた。医師の診察の結果、入院して治療することになった。 入院後2か月、Aさんの状態は落ち着き、退院に向けての準備が進められている。Aさんは、「会社で同僚と言い合いになってこれまでも仕事を変わってきた。そのたびに調子が悪くなって、何度も入院した。家族と言い合いをしたぐらいで近所から苦情があって、嫌になって引っ越した」と看護師に訴えた。 Aさんの退院に向けて連携をとる機関はどれか。

  1. 1.警察
  2. 2.保健所
  3. 3.保護観察所
  4. 4.地域活動支援センター

対話形式の解説

博士 博士

Aさんは入院2か月で落ち着き退院準備に入ったのう。

アユム アユム

対人トラブルで仕事や住まいを変えてきた経緯が気になります。

博士 博士

そうじゃ。再発予防には地域で相談できる場と居場所が要となる。

アユム アユム

まず選択肢を一つずつ見てみますね。警察は犯罪対応ですよね。

博士 博士

Aさんは加害行為をしておらんから対象外じゃ。

アユム アユム

保護観察所はどうですか。

博士 博士

保護観察所は犯罪や非行を犯した人の更生支援。これもAさんには当てはまらん。

アユム アユム

残るは保健所と地域活動支援センターですね。

博士 博士

保健所には保健師や精神保健福祉士がおって、精神保健相談や訪問支援をしてくれるのじゃ。

アユム アユム

家族や近隣トラブルの相談にも対応してもらえますね。

博士 博士

地域活動支援センターは創作活動や交流の場として機能する。

アユム アユム

対人スキルを育てたり孤立を防ぐのに役立ちますね。

博士 博士

その通り。相談窓口と居場所、この二つが揃うと地域生活が安定するのじゃ。

アユム アユム

正解は2と4ですね。

博士 博士

精神科訪問看護や就労支援事業所なども合わせて覚えておくとよいぞ。

POINT

精神障害者の地域移行では、保健所などの行政相談窓口と地域活動支援センターなどの通所施設を組み合わせた支援が基本です。保健所は保健師・精神保健福祉士による相談・訪問を担い、地域活動支援センターは交流と社会参加の場を提供します。Aさんのように対人関係の困難が再発要因となっている場合、両者の連携が再入院予防に有効です。

解答・解説

正解は 2 4 です

問題文:Aさん( 35歳、男性)は1人暮らし。両親は他県に住んでいる。30歳のときに双極性障害( bipolar disorder )と診断され、これまでに4回の入退院を繰り返している。給料をインターネットゲームの利用料金で度々使い果たし、それが原因で両親と何度も口論になったことがある。仕事では同僚とトラブルを起こすたびに転職を繰り返しており、今回も同僚と口論になり自ら退職した。Aさんは「前の職場の同僚に嫌がらせをしてやる」と母親に電話をかけ、心配した両親が一緒に精神科病院を受診した。診察室では多弁で大きな声を出し、椅子を蹴るなどの行為がみられた。医師の診察の結果、入院して治療することになった。 入院後2か月、Aさんの状態は落ち着き、退院に向けての準備が進められている。Aさんは、「会社で同僚と言い合いになってこれまでも仕事を変わってきた。そのたびに調子が悪くなって、何度も入院した。家族と言い合いをしたぐらいで近所から苦情があって、嫌になって引っ越した」と看護師に訴えた。 Aさんの退院に向けて連携をとる機関はどれか。

解説:正解は2の保健所と4の地域活動支援センターです。Aさんには地域での精神保健相談と対人関係スキルを育む居場所の両方が必要であり、公的相談窓口である保健所と、精神障害者の活動拠点である地域活動支援センターへの連携が適切です。

選択肢考察

  1. × 1.  警察

    警察は犯罪や事件への対応機関であり、Aさんは犯罪行為を起こしておらず、退院準備の連携先には該当しません。

  2. 2.  保健所

    保健所は保健師・精神保健福祉士などが精神保健相談、訪問支援、家族支援を行う地域の精神保健拠点です。近隣トラブルや家族関係の相談にも応じ、地域生活の継続を支えます。

  3. × 3.  保護観察所

    保護観察所は犯罪や非行を犯した者の更生を保護観察官・保護司が支援する機関で、Aさんは対象ではありません。

  4. 4.  地域活動支援センター

    地域活動支援センターは精神障害者などが創作活動・生産活動・交流を通じて社会参加を図る通所施設で、対人関係の改善や孤立予防に役立ち、再発防止にもつながります。

精神障害者の地域支援資源には、保健所、精神保健福祉センター、地域活動支援センター、相談支援事業所、就労移行支援・就労継続支援事業所、訪問看護、自立生活援助などがあります。Aさんのように対人トラブルと再発を繰り返す患者には、相談窓口と居場所を組み合わせ、孤立を防ぐネットワークの構築が重要です。

精神障害者の地域移行支援において、各社会資源の役割を正しく理解しているかを問う問題です。