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レビー小体型認知症とレム睡眠行動障害

看護師国家試験 第111回 午前 第109問 / 精神看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

111回 午前 第109問

次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん(68歳、男性、自営業)は、妻(73歳)と2人暮らし。Aさんの就寝時刻は21時で、入眠後90分以上が経過した睡眠中に、大声で叫び、腕や足を振り回し暴れる行動が繰り返しみられたが、昼寝では夜間のような行動はみられない。日中、台所で子どもが遊んでいると言い、妻が台所を確認しても誰もいないことが何度かあった。心配になった妻がAさんとともに病院を受診し、Lewy〈レビー〉小体型認知症(dementia with Lewy bodies)と診断された。 Aさんに出現している睡眠障害はどれか。

  1. 1.ナルコレプシー(narcolepsy)
  2. 2.レム睡眠行動障害(REM sleep behavior disorder)
  3. 3.睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome)
  4. 4.睡眠・覚醒スケジュール障害(sleep-wake schedule disorder)

対話形式の解説

博士 博士

111回午前109問じゃ。レビー小体型認知症と診断されたAさんに出ている睡眠障害を判定する問題じゃな。

サクラ サクラ

博士、まずレビー小体型認知症ってどんな病気ですか?

博士 博士

α シヌクレインというタンパク質が神経細胞内に凝集してレビー小体を形成し、認知機能低下をきたす疾患じゃ。アルツハイマー型に次いで多い認知症じゃぞ。

サクラ サクラ

中核的な特徴はどんなものですか?

博士 博士

4つあるぞ。認知機能の動揺、具体的で鮮明な幻視、パーキンソニズム、そしてレム睡眠行動障害(RBD)じゃ。

サクラ サクラ

Aさんは入眠90分以降に叫んだり暴れたりしていますね。これはレム睡眠期ですか?

博士 博士

その通り。入眠後90分ごろから最初のレム睡眠が出現する。通常レム期は骨格筋が弛緩して動けんのじゃが、RBDではこの抑制が外れて夢を行動化してしまうんじゃ。

サクラ サクラ

なるほど、だから大声で叫んだり手足をばたつかせたりするんですね。正解は2番のレム睡眠行動障害。

博士 博士

そうじゃ。RBDはレビー小体型認知症やパーキンソン病の発症数年前から出現することがあり、早期診断の手がかりにもなるんじゃ。

サクラ サクラ

1番のナルコレプシーはどういう病気ですか?

博士 博士

日中に突然強い眠気や情動脱力発作(カタプレキシー)を起こす過眠症じゃ。オレキシン減少が関与しておる。Aさんには日中の眠気はないから違うのう。

サクラ サクラ

3番の睡眠時無呼吸症候群は?

博士 博士

睡眠中に呼吸が繰り返し止まる病気で、いびきや日中の眠気が主症状じゃ。叫ぶ・暴れるは主症状ではないのう。

サクラ サクラ

4番の睡眠・覚醒スケジュール障害は?

博士 博士

概日リズム睡眠障害のことで、時差ぼけや交替勤務、睡眠相後退症候群などが代表じゃ。Aさんは21時就寝とリズム自体に問題はなく行動異常が主体じゃから該当せんぞ。

サクラ サクラ

RBDに対する治療はあるんですか?

博士 博士

クロナゼパムやメラトニン製剤が第一選択じゃ。加えて転落・打撲予防のためベッド周囲に物を置かない、ベッド柵や壁を保護する、パートナーは別室で寝るなどの環境調整も重要じゃ。

サクラ サクラ

幻視への対応も気になりますね。

博士 博士

幻視は頭ごなしに否定せず、安心できる環境を整えるのが基本じゃ。抗精神病薬は過敏性があり使用には慎重を要するぞ。

POINT

レビー小体型認知症はα シヌクレインのレビー小体形成により、認知機能動揺・幻視・パーキンソニズム・レム睡眠行動障害を呈します。Aさんの入眠後90分以降の叫び・四肢運動はRBDに一致し、本疾患の中核症状の一つです。RBDはレビー小体型認知症の早期診断に有用で、転倒・外傷予防の環境整備も重要です。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん(68歳、男性、自営業)は、妻(73歳)と2人暮らし。Aさんの就寝時刻は21時で、入眠後90分以上が経過した睡眠中に、大声で叫び、腕や足を振り回し暴れる行動が繰り返しみられたが、昼寝では夜間のような行動はみられない。日中、台所で子どもが遊んでいると言い、妻が台所を確認しても誰もいないことが何度かあった。心配になった妻がAさんとともに病院を受診し、Lewy〈レビー〉小体型認知症(dementia with Lewy bodies)と診断された。 Aさんに出現している睡眠障害はどれか。

解説:正解は 2 です。入眠後90分以上(レム睡眠出現時期)に大声や四肢運動が生じる症状はレム睡眠行動障害(RBD)に一致します。本来レム睡眠中に抑制される骨格筋活動が抑制されず、夢の内容を実際の行動として表出する疾患で、レビー小体型認知症の中核症状の一つです。

選択肢考察

  1. × 1.  ナルコレプシー(narcolepsy)

    ナルコレプシーは日中に強い眠気や情動脱力発作、睡眠麻痺などを呈する過眠症で、Aさんには日中の眠気の訴えはなく該当しません。

  2. 2.  レム睡眠行動障害(REM sleep behavior disorder)

    入眠後90分以降のレム睡眠期に起こる発声・異常運動で、レビー小体型認知症やパーキンソン病など α シヌクレイノパチーに高率に併発する特徴的な睡眠障害です。

  3. × 3.  睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome)

    睡眠時無呼吸症候群は睡眠中の呼吸停止と低換気、日中の眠気が特徴で、叫びや暴れる行動はその主症状ではないため該当しません。

  4. × 4.  睡眠・覚醒スケジュール障害(sleep-wake schedule disorder)

    概日リズム睡眠障害であり、就寝・覚醒時間のずれやリズム障害が主体です。Aさんは睡眠時間帯に異常がなく、行動異常が主症状のため該当しません。

レビー小体型認知症の中核的特徴は、認知機能の動揺、繰り返す具体的な幻視、パーキンソニズム、レム睡眠行動障害(RBD)です。RBDは認知症発症に数年から十数年先行することも多く、早期診断の手がかりになります。治療はクロナゼパムやメラトニンが用いられます。

レム睡眠行動障害の臨床像を理解し、レビー小体型認知症の中核症状であることを認識できるかを問う問題です。