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EC療法と若年女性の副作用

看護師国家試験 第108午前94(状況設定問題)

国試問題にチャレンジ

108午前94

状況設定

Aさん(37歳、女性、会社員)は、夫38歳と2人暮らし。身長155cm、体重57kg。Aさんは、入浴中に右胸のしこりに気づき、病院を受診した。乳房超音波検査で右乳房外側下部に、直径約3cmの腫瘤が認められた。医師から乳癌(breast cancer)の可能性が高いと説明され、検査を受けたところ、右乳癌と診断された。

Aさんは、乳房温存療法を希望したが、腫瘤が大きいため手術前に化学療法を受けることになった。術前化学療法としてEC療法(エピルビシン、シクロホスファミドを3週ごとに、4サイクル受ける予定である。 Aさんに起こりやすい障害はどれか。

  1. 1.嗅覚障害
  2. 2.リンパ浮腫
  3. 3.卵巣機能不全
  4. 4.末梢神経障害

対話形式の解説

博士博士
Aさんは37歳女性で、乳癌の術前化学療法としてEC療法を受けることになったのじゃ。
サクラサクラ
EC療法って何の略ですか?
博士博士
E=エピルビシン、C=シクロホスファミドの組み合わせじゃ。3週ごと4サイクルが標準レジメンじゃよ。
サクラサクラ
正解は3の卵巣機能不全とのことですが、なぜですか?
博士博士
シクロホスファミドはアルキル化薬で、卵巣の卵胞に直接毒性を与えるのじゃ。その結果、無月経や早発卵巣不全を高率に起こすことが知られておる。
サクラサクラ
37歳だと今後の妊娠も視野に入りますよね。
博士博士
まさにその通り。日本癌治療学会のガイドラインでは、化学療法前に妊孕性温存(卵子・胚・卵巣組織の凍結保存)の相談をすることが推奨されておる。
サクラサクラ
エピルビシンの副作用は何がありますか?
博士博士
エピルビシンはアントラサイクリン系で、骨髄抑制・脱毛・悪心嘔吐の他、累積投与量900mg/m²を超えると心筋症を起こす心毒性が重要じゃ。
サクラサクラ
選択肢1の嗅覚障害はどうですか?
博士博士
嗅覚障害はEC療法の典型的副作用ではないのう。味覚障害なら化学療法全般で起こるが、嗅覚はあまり問題にならん。
サクラサクラ
選択肢2のリンパ浮腫は?
博士博士
リンパ浮腫は腋窩リンパ節郭清術や放射線治療によるリンパ流障害で起こるもので、化学療法単独の副作用ではないのじゃ。
サクラサクラ
選択肢4の末梢神経障害は?
博士博士
末梢神経障害はタキサン系(パクリタキセル・ドセタキセル)や白金製剤(オキサリプラチン)で典型的じゃ。EC療法では主要副作用ではないぞ。
サクラサクラ
薬剤ごとに副作用を整理することが大事ですね。
博士博士
うむ。シクロホスファミドはもう1つ、出血性膀胱炎という特徴的副作用もあるから、メスナ併用と十分な水分補給が重要じゃ。
サクラサクラ
若年女性への配慮は特別な視点ですね。
博士博士
治療効果だけでなく、人生設計を踏まえた看護が求められるのじゃよ。

POINT

EC療法の薬剤特性(特にシクロホスファミドの性腺毒性)を理解し、37歳女性で最も起こりやすい障害を判断できるかが問われています。

解答・解説

正解は3です

問題文:Aさんは、乳房温存療法を希望したが、腫瘤が大きいため手術前に化学療法を受けることになった。術前化学療法としてEC療法(エピルビシン、シクロホスファミドを3週ごとに、4サイクル受ける予定である。 Aさんに起こりやすい障害はどれか。

解説:正解は 3 です。EC療法のシクロホスファミドはアルキル化薬で、卵巣の卵胞に直接毒性を与え卵胞数を減少させるため、卵巣機能不全(早発卵巣不全)や無月経を高頻度で引き起こします。特に37歳と妊孕性が問題となる年齢では、治療前に妊孕性温存(卵子・胚凍結など)の相談が不可欠です。エピルビシンはアントラサイクリン系で心毒性や骨髄抑制・脱毛が主な副作用です。

選択肢考察

  1. ×1.  嗅覚障害

    嗅覚障害はEC療法の代表的副作用ではありません。味覚障害は化学療法全般で起こり得ますが、嗅覚障害は通常問題になりません。

  2. ×2.  リンパ浮腫

    リンパ浮腫は腋窩リンパ節郭清などの手術や放射線治療によるリンパ流障害で生じるもので、化学療法単独の副作用ではありません。

  3. 3.  卵巣機能不全

    シクロホスファミド(アルキル化薬)は卵胞毒性が強く、無月経や早発卵巣不全を高率に引き起こします。妊孕性温存の観点で治療前カウンセリングが必要です。

  4. ×4.  末梢神経障害

    末梢神経障害はタキサン系(パクリタキセル・ドセタキセル)や白金製剤(オキサリプラチン)で典型的ですが、EC療法では主たる副作用ではありません。

EC療法(エピルビシン+シクロホスファミド)は乳癌の標準的アンスラサイクリン系レジメンです。エピルビシンの主な副作用は骨髄抑制・脱毛・悪心嘔吐・心毒性(累積投与量900mg/m²超で心筋症リスク増)、シクロホスファミドは骨髄抑制・脱毛・出血性膀胱炎・性腺機能障害です。若年女性への投与前には日本癌治療学会のガイドラインに基づき妊孕性温存を検討します。

EC療法の薬剤特性(特にシクロホスファミドの性腺毒性)を理解し、37歳女性で最も起こりやすい障害を判断できるかが問われています。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。