新生児の体温を守る4つの経路 ―蒸散・対流・輻射・伝導を使い分ける
看護師国家試験 第109回 午前 第109問(状況設定問題)
国試問題にチャレンジ
状況設定
在胎 39 週 4 日で、正常分娩で出生した児。出生体重 3,000 g 、身長 48.0 cm 。出生直後、児に付着していた羊水をふき取り、インファントラジアントウォーマーの下で観察を行った。体温 37.5 ℃、呼吸数 56 /分、心拍数 150 /分、呼吸音は異常なし。 看護師は観察を終え、温めておいたベビー服を着衣させ、同様に温めておいた寝具を用いて準備をしたコットに児を寝かせた。コットは壁際や窓辺を避け、空調の排気口からの風が当たらない場所に配置した。
看護師が児の体温保持のために行ったことと、それにより予防される熱の喪失経路との組合せで正しいのはどれか。
- 1.羊水をふき取ったこと ------------------------------------------ 蒸散
- 2.観察をインファントラジアントウォーマーの下で行ったこと -------- 対流
- 3.温めたベビー服と寝具を用いたこと ------------------------------ 輻射
- 4.風が当たらない場所にコットを配置したこと ---------------------- 伝導
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
新生児の熱喪失4経路(蒸散・対流・輻射・伝導)と各対応策の組合せを問う頻出問題。機序の違いを整理することがカギ。
解答・解説
正解は1です
問題文:看護師が児の体温保持のために行ったことと、それにより予防される熱の喪失経路との組合せで正しいのはどれか。
解説:正解は 1 です。新生児の熱喪失経路は①蒸散(体表の水分が蒸発する際に気化熱として熱が奪われる)、②対流(皮膚に接する空気の流れで熱が運び去られる)、③輻射(皮膚から電磁波として周囲の低温の物体へ熱が放射される)、④伝導(皮膚が接している低温の物体へ直接熱が伝わる)の4つです。羊水を拭き取る行為は、児体表の水分蒸発による気化熱喪失=蒸散を予防する対応であり、これが正しい組合せです。
選択肢考察
- ○1. 羊水をふき取ったこと ------------------------------------------ 蒸散
蒸散は体表の水分が蒸発する際に気化熱を奪う現象。出生直後の児は羊水で濡れており、蒸散による熱喪失が非常に大きい。羊水を速やかに拭き取ることで蒸散を防げる。
- ×2. 観察をインファントラジアントウォーマーの下で行ったこと -------- 対流
インファントラジアントウォーマーは赤外線(電磁波)で加温するため、予防する熱喪失は「輻射」である。対流は空気の流れによる熱喪失で、対応はエアコンや窓際回避など。
- ×3. 温めたベビー服と寝具を用いたこと ------------------------------ 輻射
温めた衣服や寝具を用いるのは、皮膚と接触する低温物体への直接的な熱移動=伝導を防ぐためで、輻射ではない。
- ×4. 風が当たらない場所にコットを配置したこと ---------------------- 伝導
風(空気の流れ)による熱喪失は対流である。伝導は物体との直接接触による熱移動で、風とは機序が異なる。
新生児の4つの熱喪失経路と対策:①蒸散(羊水・汗など水分の蒸発)→拭き取り・乾燥、②対流(空気の流れ)→風よけ・空調調整・保温カバー、③輻射(周囲の低温物体への電磁波放射)→壁・窓辺を避ける・インファントラジアントウォーマーでの加温、④伝導(接触物体への熱移動)→衣服・寝具・処置台を温める。新生児は体表面積/体重比が大きく皮下脂肪が薄いため熱喪失しやすく、褐色脂肪組織による非ふるえ熱産生(non-shivering thermogenesis)で対応するが、過度の寒冷ストレスは低血糖・代謝性アシドーシス・呼吸窮迫・新生児寒冷傷害の原因になる。出生直後の理想的な環境温は室温24〜26℃、湿度50〜60%程度。WHOのWarm Chain(暖かい連鎖)では①温かい分娩室、②乾かす、③母体との肌と肌の接触、④母乳早期開始、⑤母児同室、⑥蘇生の準備、⑦運搬時の保温、など10のステップが推奨されている。
新生児の熱喪失4経路(蒸散・対流・輻射・伝導)と各対応策の組合せを問う頻出問題。機序の違いを整理することがカギ。
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