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出生1時間後の新生児ケアの優先順位

看護師国家試験 第110午前110(状況設定問題)

国試問題にチャレンジ

110午前110

状況設定

Aさん( 29歳、初産婦)は、妊娠37週0日で2,780gの男児を正常分娩で出産した。出生後5分の児の状態は、心拍数150/分、四肢を屈曲させて啼泣している。顔面を清拭されると激しく啼泣し、全身はピンク色である。

出生後1時間。児の状態は、直腸温37.0℃、呼吸数40/分、心拍数120/分、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO 2 >96%( room air )、四肢冷感やチアノーゼを認めない。哺乳は開始していない。Aさんの経過は順調である。 このときの児への看護で適切なのはどれか。

  1. 1.ビタミンK 2 シロップを経口投与する。
  2. 2.風通しの良いところに児を寝かせる。
  3. 3.先天性代謝異常検査を行う。
  4. 4.早期母子接触を行う。

対話形式の解説

博士博士
児のバイタルサインを見てみよう。直腸温37.0℃、呼吸40/分、心拍120/分、SpO2 96%。どうじゃ?
サクラサクラ
すべて正常範囲内ですね。四肢冷感やチアノーゼもなく、胎外生活への適応は良好です。
博士博士
うむ、母体も順調じゃ。この条件で何をするのが最優先じゃろう?
サクラサクラ
選択肢4の早期母子接触が適していると思います。
博士博士
正解じゃ。STSやカンガルーケアとも呼ばれる、出生直後の裸の児を母の胸に抱かせる方法じゃ。
サクラサクラ
どんなメリットがあるのですか?
博士博士
母子愛着形成、児の体温維持、母乳分泌促進、常在菌の定着、母の不安軽減じゃ。
サクラサクラ
実施中の注意点は?
博士博士
呼吸、皮膚色、体位を常に見守り、気道閉塞や転落を防ぐことじゃ。母が眠ってしまうことにも注意が要る。
サクラサクラ
選択肢1のビタミンK2シロップはどうですか?
博士博士
投与は初回哺乳確立後じゃ。哺乳未開始のこの時点では早すぎる。
サクラサクラ
ビタミンK欠乏性出血症の予防でしたよね。
博士博士
そうじゃ。新生児メレナや頭蓋内出血の予防じゃな。生後すぐ、5〜7日、1か月の3回投与が日本の標準じゃ。
サクラサクラ
選択肢2の風通しの良い場所はどう考えても危険ですね。
博士博士
新生児は体温調節が未熟で、対流・蒸散・放射・伝導の4経路で熱を失いやすい。保温が基本じゃ。
サクラサクラ
選択肢3の先天性代謝異常検査は?
博士博士
これは日齢4〜6日に哺乳確立後に行う。クレチン症やフェニルケトン尿症など20種類以上の疾患をスクリーニングする。
サクラサクラ
出生1時間では早すぎるのですね。
博士博士
その通り。時期が合わない検査は意味をなさんのじゃ。
サクラサクラ
早期母子接触はいつ頃まで続けますか?
博士博士
最初の1〜2時間、児の覚醒期を中心に実施することが多い。

POINT

出生直後の新生児の状態に応じた優先度の高い看護を問う問題です。

解答・解説

正解は4です

問題文:出生後1時間。児の状態は、直腸温37.0℃、呼吸数40/分、心拍数120/分、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO 2 >96%( room air )、四肢冷感やチアノーゼを認めない。哺乳は開始していない。Aさんの経過は順調である。 このときの児への看護で適切なのはどれか。

解説:正解は4です。児のバイタルサインは正常範囲内で安定しており、母体も順調であるため、この時期に推奨される早期母子接触(出生後できるだけ早期に母の胸に裸のまま抱かせるカンガルーケア)を実施するのが適切です。母子愛着形成、体温維持、母乳分泌促進、腸内細菌叢の形成に寄与します。

選択肢考察

  1. ×1.  ビタミンK 2 シロップを経口投与する。

    ビタミンK2シロップは新生児メレナや頭蓋内出血の予防に投与しますが、初回投与は哺乳確立後(生後数時間〜24時間以内の哺乳確認後)に行います。哺乳未開始のこの時点では時期尚早です。

  2. ×2.  風通しの良いところに児を寝かせる。

    新生児は体温調節機能が未熟で低体温になりやすく、対流による熱喪失を避ける必要があります。風通しの良い場所は不適切で、保温環境を整えます。

  3. ×3.  先天性代謝異常検査を行う。

    新生児マススクリーニング(先天性代謝異常等検査)は、日齢4〜6日頃(哺乳が確立した後)に足底採血で実施します。出生1時間後では早すぎます。

  4. 4.  早期母子接触を行う。

    児のバイタルサインが安定し母体も順調なため、早期母子接触の適応です。母子愛着形成、体温維持、母乳育児確立、母子双方の心理的安定に寄与します。

早期母子接触(STS:Skin-to-Skin Contact)は、母体覚醒、児のバイタル安定(心拍、呼吸、SpO2≧95%など)、胎外生活への適応良好を確認して実施します。実施中は児の呼吸・皮膚色・体位を常時観察し、気道閉塞や転落を防ぐ見守りが必須です。ビタミンK2シロップは生後初回哺乳後・5〜7日・1か月の3回、または出生時〜3か月まで週1回の方式で投与します。

出生直後の新生児の状態に応じた優先度の高い看護を問う問題です。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。