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家族にも「発達段階」がある!介護期の家族に求められる課題とは

看護師国家試験 第115午前56

国試問題にチャレンジ

115午前56

高齢の親の介護が必要となった家族の発達課題で正しいのはどれか。

  1. 1.社会性の縮小
  2. 2.家族役割の維持
  3. 3.家族関係の再構築
  4. 4.子離れ・親離れの確立

対話形式の解説

博士博士
今日は家族看護学の重要テーマ、「家族発達課題」について学ぶぞ。家族にもライフサイクルがあって、各段階で乗り越えるべき課題があるんじゃ。
サクラサクラ
えっ、発達課題ってエリクソンみたいに個人だけじゃなくて、家族にもあるんですか?
博士博士
そうなんじゃ。アメリカの社会学者デュバルが提唱した「家族発達段階」が有名でな、新婚期から始まって、育児期、学童期、思春期、巣立ち期、中年期、老年期と8段階に分けられておる。
サクラサクラ
へえ、家族全体を一つの単位として見るんですね。それぞれの段階で違う課題があるってことですか?
博士博士
その通り。例えば新婚期なら「夫婦としての関係づくり」、育児期なら「親役割の獲得」、思春期なら「子離れ・親離れ」、そして高齢期になると「老親の介護」や「家族関係の再編成」が課題になるんじゃ。
サクラサクラ
なるほど…。じゃあ今回の問題、「高齢の親の介護が必要になった家族の発達課題」は、デュバルでいうと中年期から老年期にあたる段階の課題ってことですね。選択肢を見ると…「家族関係の再構築」が正解でしょうか?
博士博士
お見事じゃ!正解は3の「家族関係の再構築」じゃな。なぜそうなるか説明できるかの?
サクラサクラ
えーと…親が介護される側になることで、今まで「親が子どもを支える」関係だったのが、「子どもが親を支える」関係に逆転しますよね。だから役割や関係を作り直す必要があるってことかな?
博士博士
素晴らしい!まさにそれじゃ。介護が始まると、きょうだい間で「誰がどこまで担うか」を話し合ったり、配偶者や孫も含めて協力体制を作り直したりと、家族全体の関係性を再編する必要があるんじゃ。
サクラサクラ
他の選択肢はなぜダメなんですか?「家族役割の維持」も大事そうに見えますけど…。
博士博士
良い疑問じゃ。「維持」というのは現状をそのまま保つという意味じゃが、介護が必要になった時点で、親が担っていた家事や経済的役割を子世代が引き継ぐなど、役割は必然的に変わるんじゃ。だから「維持」ではなく「調整・再編」が正しい。1の「社会性の縮小」はどうじゃ?
サクラサクラ
これは介護で外出できなくなって結果的に起きちゃう問題ですよね。目指すべき課題じゃなくて、むしろ予防すべきこと…?
博士博士
その通り!介護者の社会的孤立は燃え尽き症候群や介護うつにつながるリスクで、避けるべきものじゃ。発達課題というのは「達成を目指すべき目標」のことだから、リスクとは方向が違うんじゃな。
サクラサクラ
4の「子離れ・親離れ」は、デュバルでいう思春期・青年期の課題ですよね。介護期の話とは段階が違う。
博士博士
完璧な理解じゃ!子離れ・親離れは「子が独立した一人の人間になっていく」過程の話で、高齢期の家族課題ではない。
サクラサクラ
看護師として、家族の関係再構築を支援するには、どんなことが大切なんでしょうか?
博士博士
良い視点じゃ。まず重要なのは、特定の人(多くは長男の嫁や同居の娘など)に介護負担が集中しないように、家族全員で話し合う場を持てるよう促すこと。そして介護保険サービスやレスパイトケア、地域包括支援センターなどの社会資源を上手に使えるよう情報提供することじゃ。
サクラサクラ
家族だけで抱え込まないようにする支援ですね。介護って医学的なケアだけじゃなくて、家族関係まで含めて見ていく必要があるんですね…奥が深いです。

POINT

家族発達段階理論において、高齢の親の介護が必要になった時期の家族に求められる発達課題を問う問題。役割や関係性の「維持」ではなく「再編・再構築」が中心テーマであることがポイント。

解答・解説

正解は3です

問題文:高齢の親の介護が必要となった家族の発達課題で正しいのはどれか。

解説:正解は 3 です。家族発達理論では、家族にもライフサイクルがあり、各段階で乗り越えるべき「発達課題」が存在するとされる。デュバル(Duvall)の家族発達段階によれば、子どもが独立した後の中年期家族や老年期家族では、家族成員の高齢化に伴って、親の介護や配偶者との関係の見直し、世代間の役割交代といった新たな課題に直面する。高齢の親の介護が必要となった段階では、これまで「親が子を支える」関係であったものが「子が親を支える」関係へと逆転し、きょうだい間での介護分担、配偶者や孫を含めた家族全体の協力体制づくりが必要となる。すなわち、従来の役割や関係性をそのまま維持するのではなく、新たな状況に応じて家族内の役割・関係を再編し、支え合える形へと作り直す「家族関係の再構築」こそが、この時期の家族の発達課題となる。

選択肢考察

  1. ×1.  社会性の縮小

    介護負担によって外出や交友の機会が減少することはあり得るが、これは介護の結果として生じうるリスクであって、家族が積極的に達成すべき「発達課題」として位置づけられるものではない。むしろ介護者の社会的孤立は予防すべき問題である。

  2. ×2.  家族役割の維持

    親が要介護状態になると、これまで親が担っていた家事や経済的な役割を子世代が引き継ぐなど、役割の変化が必然的に生じる。従来の役割を「維持」することよりも、状況に応じて役割を柔軟に調整・再編することが求められる。

  3. 3.  家族関係の再構築

    介護を機に、ケアする側とされる側の関係性、きょうだい間の介護分担、配偶者・子・孫を含む家族全体の協力体制を新たに作り直す必要がある。役割や意思決定のあり方を再編し、家族として支え合える形を築くことが、この時期の中心的な発達課題である。

  4. ×4.  子離れ・親離れの確立

    子離れ・親離れは、子どもが思春期から青年期を経て独立していく時期の発達課題であり、家族発達段階でいえば「巣立ちの時期」にあたる。高齢の親を介護する段階の課題ではない。

家族発達段階を提唱したデュバル(E.M.Duvall)は、家族を8段階に分類した。①新婚期、②出産・育児期、③学童前期、④学童期、⑤思春期・青年期(子離れ・親離れ)、⑥巣立ち期、⑦中年期、⑧老年期とされ、それぞれに固有の発達課題がある。高齢の親の介護は主に中年期・老年期家族の課題であり、世代間の役割交代、家族の再編成、配偶者を含めた老親扶養の意思決定などが含まれる。看護師は、介護を担う家族が抱え込まないよう、介護保険サービスの活用や家族間の話し合いの促進、レスパイトケアの提案などを通じて、家族関係の再構築を支援する視点を持つことが重要である。

家族発達段階理論において、高齢の親の介護が必要になった時期の家族に求められる発達課題を問う問題。役割や関係性の「維持」ではなく「再編・再構築」が中心テーマであることがポイント。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。