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くも膜下出血急性期で見逃せない瞳孔所見

看護師国家試験 第107回 午後 第92問 / 成人看護学 / 脳・神経系

国試問題にチャレンジ

107回 午後 第92問

Aさん( 52歳、女性 )。自宅で突然激しい頭痛と悪心が出現し、自力で救急車を要請し、搬送された。ジャパン・コーマ・スケール< JCS >Ⅰ-2で頭痛を訴えており、発汗著明であった。瞳孔径は両側3.0mm。上下肢の麻痺はない。Aさんは頭部CTでくも膜下出血( subarachnoid hemorrhage )と診断され、ICUに入室した。入室時のバイタルサインは、体温36.8℃、呼吸数24/分、脈拍92/分、血圧156/98mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度< SpO 2 >95%であった。 ICU入室から24時間以内に注意すべきAさんの症状や徴候はどれか。

  1. 1.Kussmaul< クスマウル >呼吸
  2. 2.膝蓋腱反射の低下
  3. 3.企図振戦
  4. 4.瞳孔散大

対話形式の解説

博士 博士

Aさんはくも膜下出血でICUに入室じゃ。発症から24時間以内に最も警戒すべき徴候はなんじゃ?

アユム アユム

再出血による頭蓋内圧亢進が怖い時期ですよね。瞳孔散大でしょうか。

博士 博士

正解じゃ。鉤ヘルニアが起こると動眼神経が圧迫され瞳孔が散大するんじゃ。

アユム アユム

対光反射の消失もセットで観察するんですよね。

博士 博士

そうじゃ。意識レベルの低下や片麻痺の出現もあわせて確認するとよいぞ。

アユム アユム

クスマウル呼吸は糖尿病性ケトアシドーシスの時ですよね。

博士 博士

その通りじゃ。代謝性アシドーシスを代償する深大呼吸じゃな。

アユム アユム

膝蓋腱反射の低下は末梢神経障害なので、今回は当てはまりませんね。

博士 博士

くも膜下出血では上位運動ニューロンが障害されるから、反射はむしろ亢進する方向じゃ。

アユム アユム

企図振戦は小脳症状ですから、前方循環の動脈瘤では典型的ではないですね。

博士 博士

再出血予防には血圧管理と安静が肝心じゃ。収縮期160mmHg以下を目安に管理するぞ。

アユム アユム

刺激を避けて、排便コントロールにも気を配ります。

POINT

くも膜下出血発症後24時間以内は再出血の最大のリスク期間です。再出血が起これば頭蓋内圧が急上昇し脳ヘルニアへ進展するため、瞳孔散大や対光反射消失を早期に捉えることが命を守る看護につながります。意識レベル、瞳孔所見、運動麻痺、バイタルサインを短時間間隔で観察し、鎮静・鎮痛・厳密な血圧管理によって再出血を防ぐことが急性期の最重要課題です。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:Aさん( 52歳、女性 )。自宅で突然激しい頭痛と悪心が出現し、自力で救急車を要請し、搬送された。ジャパン・コーマ・スケール< JCS >Ⅰ-2で頭痛を訴えており、発汗著明であった。瞳孔径は両側3.0mm。上下肢の麻痺はない。Aさんは頭部CTでくも膜下出血( subarachnoid hemorrhage )と診断され、ICUに入室した。入室時のバイタルサインは、体温36.8℃、呼吸数24/分、脈拍92/分、血圧156/98mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度< SpO 2 >95%であった。 ICU入室から24時間以内に注意すべきAさんの症状や徴候はどれか。

解説:正解は4です。くも膜下出血の発症後24時間以内は再出血の危険性が最も高く、再出血が起これば頭蓋内圧が急激に亢進して脳ヘルニアへ進展します。脳ヘルニアの特徴的所見として瞳孔散大や対光反射消失が出現するため、瞳孔所見の観察は急性期看護の最重要項目です。

選択肢考察

  1. × 1.  Kussmaul< クスマウル >呼吸

    異常に深く大きな呼吸が規則的に続くパターンで、糖尿病性ケトアシドーシスや尿毒症などの代謝性アシドーシス時に代償性に出現します。くも膜下出血の急性期に直接関連する徴候ではありません。

  2. × 2.  膝蓋腱反射の低下

    下位運動ニューロン障害や末梢神経障害で生じる所見で、脚気や末梢神経炎で見られます。くも膜下出血では上位運動ニューロンが障害されるため、むしろ反射は亢進する方向に向かいます。

  3. × 3.  企図振戦

    目的動作に近づくにつれて増強する震えで、小脳半球や小脳路の障害で見られる失調症状の一つです。脳動脈瘤の多くが存在する前方循環系の障害ではなく、急性期に注意すべき所見とは言えません。

  4. 4.  瞳孔散大

    再出血や頭蓋内血腫の増大により頭蓋内圧が亢進し、鉤ヘルニアが起こると動眼神経が圧迫され同側の瞳孔散大と対光反射消失が生じます。24時間以内は再出血のリスクが最も高く、瞳孔所見は早期発見の重要指標です。

くも膜下出血発症後24時間以内の再出血率は約20〜30%と高く、再出血した場合の死亡率は跳ね上がります。鎮静、鎮痛、収縮期血圧160mmHg以下を目安とした厳密な血圧管理、安静、排便コントロール、刺激を避ける環境調整が再出血予防の柱です。瞳孔所見、意識レベル、運動麻痺の有無を経時的に評価しましょう。

くも膜下出血の急性期24時間は再出血が最大リスクであり、頭蓋内圧亢進徴候として瞳孔散大を見逃さないことが重要です。