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感覚性失語の患者さんとの関わり方を考えよう

看護師国家試験 第108回 午後 第87問 / 成人看護学 / 脳・神経系

国試問題にチャレンジ

108回 午後 第87問

感覚性失語のある成人患者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.短文で話しかける。
  2. 2.身振りを加えて話す。
  3. 3.多くの話題を提供する。
  4. 4.耳元に近づき大きな声で話す。
  5. 5.open-ended question<開かれた質問>を用いる。

対話形式の解説

博士 博士

今日は感覚性失語患者とのコミュニケーションじゃ。

サクラ サクラ

感覚性失語はウェルニッケ失語のことですよね。

博士 博士

そうじゃ。優位半球側頭葉後上部のウェルニッケ野が障害され、話すのは流暢じゃが言葉の意味が理解できない失語じゃ。

サクラ サクラ

運動性失語との違いは?

博士 博士

ブローカ失語は前頭葉の障害で発話は非流暢じゃが理解は保たれる。感覚性は流暢だが理解と復唱が障害される点が対照的じゃ。

サクラ サクラ

コミュニケーションのポイントは?

博士 博士

理解が困難じゃから、一文一内容で短く話すのが鉄則。だから選択肢1は正しい。

サクラ サクラ

身振りを加えるのはなぜですか?

博士 博士

言語理解は障害されても状況判断や視覚的理解は比較的保たれることが多い。ジェスチャー、絵カード、実物を見せると伝わりやすいのじゃ。選択肢2も正しい。

サクラ サクラ

3の多くの話題は?

博士 博士

情報が多いと混乱を深めるだけじゃ。話題を絞って整理するのが原則じゃから誤り。

サクラ サクラ

4の耳元で大きな声というのは?

博士 博士

感覚性失語は聴力障害ではなく言語理解障害じゃ。音量を上げても意味が伝わるわけではない。平易な言葉と視覚支援が大切じゃ。

サクラ サクラ

5のopen-ended questionはどうでしょう?

博士 博士

自由回答を求めると理解も発話もさらに困難になる。はい/いいえで答えられる閉じた質問が望ましいのじゃ。

サクラ サクラ

錯語というのも特徴でしたよね。

博士 博士

そうじゃ。「時計」を「ところ」と言うような音韻性錯語や、全く違う単語に置き換える意味性錯語、意味不明な発話のジャーゴンなどが見られるのじゃ。

サクラ サクラ

日常生活ではどう支援すればよいですか?

博士 博士

絵カードや写真、実物、指差しを活用する。焦らせず患者の反応を待ち、できたことを肯定的にフィードバックするのが信頼関係の鍵じゃ。

サクラ サクラ

家族への指導も大切ですね。

博士 博士

そのとおり。家族が同じ方法で関わることで患者の安心感と理解が深まる。

POINT

感覚性失語は言語理解が障害される失語で、発話は流暢ですが錯語や意味不明な発話が多くなります。看護では短文で一つずつ話し、ジェスチャーや絵など視覚的手がかりを併用することが有効です。音量を上げても効果はなく、自由回答型の質問はかえって混乱を招きます。閉じた質問と視覚支援が基本です。

解答・解説

正解は 1 2 です

問題文:感覚性失語のある成人患者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は 1 と 2 です。感覚性失語(ウェルニッケ失語)は優位半球側頭葉後上部のウェルニッケ野の障害により、言葉の理解が障害される失語です。流暢に話しますが錯語や意味不明な発話が多く、聴覚理解が著しく低下します。短文で簡潔に話し、身振り・絵・実物など視覚的手がかりを添えることで理解を助けます。

選択肢考察

  1. 1.  短文で話しかける。

    長文は処理負荷が大きく理解困難なため、一文一内容で短くゆっくり伝えることが基本です。

  2. 2.  身振りを加えて話す。

    言語理解は障害されていても非言語的な状況判断は保たれやすいため、ジェスチャー・表情・絵を併用すると理解が進みます。

  3. × 3.  多くの話題を提供する。

    情報量が多いと混乱を招き理解がさらに低下します。話題は一つに絞り整理して伝えるべきです。

  4. × 4.  耳元に近づき大きな声で話す。

    聴力低下ではなく言語理解の障害なので、音量を上げても理解は改善しません。必要なのは平易な言葉と視覚支援です。

  5. × 5.  open-ended question<開かれた質問>を用いる。

    自由回答を求める質問は理解・発話ともに困難を増します。はい/いいえで答えられる閉じた質問が適切です。

失語症の代表2タイプを対比すると、運動性失語(ブローカ失語)は前頭葉下部の障害で理解は比較的保たれるが発話が非流暢。感覚性失語は側頭葉後上部の障害で流暢だが理解が悪く、錯語・ジャーゴン・復唱障害が特徴です。感覚性失語では閉じた質問とイエス・ノーカード、絵カードの活用が有効です。

感覚性失語の特徴を踏まえた看護コミュニケーションの工夫を問う問題で、理解障害と聴力低下を混同しないことが鍵です。