髄膜炎が光を嫌うわけ 羞明で読み解く髄膜刺激症状
看護師国家試験 第109回 午前 第46問 / 成人看護学 / 脳・神経系
国試問題にチャレンジ
細菌性髄膜炎( bacterial meningitis )の症状はどれか。
- 1.羞明
- 2.羽ばたき振戦
- 3.Raynaud〈レイノー〉現象
- 4.Blumberg〈ブルンベルグ〉徴候
対話形式の解説
博士
今日は細菌性髄膜炎の症状について学ぼう。古典的な三徴は何だったか覚えておるかの?
アユム
確か、発熱、頭痛、項部硬直ですよね。意識障害を加えて四徴とすることも習いました。
博士
その通り。髄膜が炎症を起こすと、さまざまな『髄膜刺激症状』が出てくる。選択肢の中で髄膜刺激症状に該当するのはどれだと思う?
アユム
羞明…でしょうか?光が眩しくて不快に感じる症状ですよね。
博士
正解じゃ。髄膜の神経が過敏になり、通常量の光でも脳が痛みや不快として解釈してしまう。暗い部屋で頭を抱えてうずくまる患者像はまさに髄膜炎の典型じゃ。
アユム
羽ばたき振戦やレイノー現象、ブルンベルグ徴候は全く別の疾患ですよね?
博士
うむ。羽ばたき振戦は肝性脳症や尿毒症などの代謝性脳症、レイノー現象は膠原病など末梢循環障害、ブルンベルグ徴候は虫垂炎などの腹膜刺激症状じゃ。どれも髄膜炎とは無関係じゃな。
アユム
髄膜刺激症状には他にどんなものがありますか?
博士
項部硬直、ケルニッヒ徴候、ブルジンスキー徴候が古典的な三徴候じゃ。ケルニッヒは股関節90度屈曲位から膝を伸ばそうとすると伸展できず痛むサイン、ブルジンスキーは頸部を前屈させると膝が曲がる反射のことじゃ。
アユム
原因菌にはどんなものがあるんですか?
博士
成人では肺炎球菌と髄膜炎菌が多く、新生児ではB群連鎖球菌や大腸菌、小児ではHibワクチン以前はインフルエンザ菌b型が主体じゃった。ワクチンの普及で小児の発生数は大きく減った。
アユム
診断はどうやって行うんでしょう?
博士
腰椎穿刺による髄液検査が決め手じゃ。混濁、圧上昇、多核球優位の細胞増多、糖低下、蛋白上昇、培養陽性で診断する。ただし頭蓋内圧亢進が強いときは先にCTで脳ヘルニア徴候を除外するのじゃ。
アユム
治療の原則は?
博士
細菌性髄膜炎は時間との戦いじゃ。血液培養を採取したら原因菌の同定を待たずにエンピリックな広域抗菌薬を始める。デキサメタゾンの早期併用も後遺症予防に有用とされる。
アユム
看護では何が重要ですか?
博士
意識レベルとバイタル、呼吸、瞳孔、頭痛・嘔吐の推移を頻回に観察し、暗く静かな環境を整える。感染対策として飛沫予防策を要する場合があり、接触者への予防投薬が必要な菌もある。
アユム
早期の気づきが命を守るんですね。
博士
その通り。発熱+頭痛+項部硬直という組み合わせを見たら、常に髄膜炎を鑑別に挙げることが肝心じゃ。
POINT
細菌性髄膜炎は髄膜の急性細菌感染で、発熱・頭痛・項部硬直の古典的三徴に意識障害や羞明などの髄膜刺激症状が加わる重篤な疾患である。羞明は炎症による神経過敏で通常の光を眩しく不快に感じる症状であり、羽ばたき振戦(肝性脳症)、レイノー現象(末梢循環障害)、ブルンベルグ徴候(腹膜刺激)はそれぞれ別の病態を示すサインであるため区別が必要となる。診断は髄液検査が中心で、疑ったら時間を置かずに抗菌薬とデキサメタゾンを開始するのが原則である。看護は意識・バイタル・頭痛の厳密な観察と、暗く静かな環境の提供、感染対策の徹底が柱となる。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:細菌性髄膜炎( bacterial meningitis )の症状はどれか。
解説:正解は 1 です。細菌性髄膜炎は髄膜腔に細菌が侵入し軟膜・くも膜に強い炎症を起こす重篤な感染症で、髄膜刺激症状と頭蓋内圧亢進症状が現れる。古典的三徴は発熱・頭痛・項部硬直で、これに意識障害を加えた四徴とすることも多い。髄膜炎に伴い髄膜が過敏になると、眩しい光を普段以上に不快に感じる『羞明』が出現する。その他、悪心・嘔吐、ケルニッヒ徴候、ブルジンスキー徴候などの髄膜刺激徴候が揃うと診断の手がかりとなる。発症が急で進行も早く、早期の抗菌薬開始が予後を左右する緊急疾患である。
選択肢考察
-
○ 1. 羞明
髄膜の炎症により視覚刺激への感受性が亢進し、通常では不快を感じない光量でも眩しく感じる。髄膜刺激症状の一つで、細菌性髄膜炎でよくみられる症状である。
-
× 2. 羽ばたき振戦
手関節背屈位で両上肢を伸展させるとみられる粗大で不規則な振戦で、肝性脳症や尿毒症などの代謝性脳症の特徴。髄膜炎の症状ではない。
-
× 3. Raynaud〈レイノー〉現象
寒冷や精神的緊張により指先の小動脈が発作的に収縮し、蒼白→紫→赤と色調変化する現象。膠原病や閉塞性動脈疾患に関連する末梢循環障害であり、髄膜炎とは関係がない。
-
× 4. Blumberg〈ブルンベルグ〉徴候
腹壁を圧迫して急に離すと鋭い痛みが生じる腹膜刺激症状で、急性虫垂炎や汎発性腹膜炎など急性腹症の所見。髄膜炎の症状ではない。
髄膜刺激症状として、項部硬直(頸部を前屈させると抵抗がある)、ケルニッヒ徴候(仰臥位で股関節を90度屈曲した状態から膝を伸展させると135度まで伸ばせず痛む)、ブルジンスキー徴候(頸部を他動的に前屈させると両下肢が屈曲する)が代表的である。原因菌は成人では肺炎球菌と髄膜炎菌が多く、新生児ではB群連鎖球菌や大腸菌、小児ではインフルエンザ菌b型(ワクチン普及で減少)や肺炎球菌が主体。診断は髄液検査(混濁、好中球増多、糖低下、蛋白上昇、培養で起炎菌検出)で行い、早期のエンピリック抗菌薬とデキサメタゾン投与が予後改善に寄与する。
細菌性髄膜炎の髄膜刺激症状(羞明、項部硬直、ケルニッヒ徴候など)を他疾患の所見と区別できるかを問う。
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